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私は、モブ山モブ子。~行け 行け ヒロインちゃん~

ヒロインちゃんが転生者で物語の終盤に前世の記憶を思い出したら、乙女ゲームはどこか遠くに逃げていきます。

モブ山モブ子によるこれまでのちょっとした解説。

この世界は、『恋に恋する乙女たち』という定番の乙女ゲームの世界。

ヒロインちゃんによる天真爛漫・純粋培養な魅力で魅了されていった攻略対象たち。

そして、ヒロインちゃんは攻略対象たちにとっての悪役令嬢の断罪劇に否応なしに巻き込まれる。

卒業生のためにパーティーなのに。



「オフィーリア・タクラマカン公爵令嬢! 貴様のティターニア・ファラフラ子爵令嬢に対する数々の仕打ちは、すべてにおいて許しがたい! よって、私エドマンド・アタカマ第一王子との婚約は破棄する! そして、新たにティターニア・ファラフラ子爵令嬢との婚約を正式に宣言する!」

ちょっと待とうよ。顔にすべての栄養源を持って行かれたと評判のエドマンド・アタカマ第一王子様。

ヒロインちゃんは、悪役令嬢ちゃんに嫌がらせやイジメをされたなんて一言も言ってないですよ。

お隣に立つヒロインちゃんが、顔を真っ青にしているって気付こうよ。

王子様に続けと、王子様の取り巻きその一騎士団長子息は、「フンッ、相変わらず性悪な女だな!」

取り巻きその二自称天才魔術師のショタッ子は、「ブーッ、ブーッ、ブーッ、しんじらんな~いっ」

取り巻きその三インテリ風眼鏡な宰相子息は上から目線で、「いい加減、素直に罪を認めなさい」

取り巻きその四悪役令嬢ちゃんの義弟は、「義姉上、我が家にこれ以上泥を塗らないで下さい。大人しく処罰を受けた方が身のためですよ」

「待って下さいませ。エドマンド・アタカマ第一王子様! 私に身に覚えはございません」

必死に訴える悪役令嬢ちゃん。

「私も何のことを言ってるか分からないんですけど――――!!!!」

とパニックを起こすヒロインちゃん。

「優しいティターニア。怖い思いをしたんだね。無理に思い出さないんでいいんだよ」

話を聞かない系王子様は、ヒロインちゃんに優しく語りかける。

やはり、王子と同じく話を聞かない系攻略対象たちもヒロインちゃんを慰める。

「誰か私の話を聞いて――――!!!!」

もうどうしようと焦って必死になるヒロインちゃん。

そんなヒロインちゃんを無視して、やってもない罪を認めろと悪役令嬢ちゃんに迫る残念極まりない攻略対象たち。

そこでキレた騎士団長子息は、自分の前にいるヒロインちゃんになぜか気付かないでヒロインちゃんの後頭部を思い切り拳で殴りつけてしまった。

焦る騎士団長子息は、「お前のせいだぞ! オフィーリア・タクラマカン公爵令嬢。何てことをしてくれたんだ!」

自分のことを棚に上げて悪役令嬢ちゃんに激高する騎士団長子息。

生きてピクピクしているヒロインちゃん。

そして、ヒロインちゃんは前世を思い出してしまったのです。

なんと、ヒロインちゃんは転生者だったのだ。

起き上がったヒロインちゃんは、オリハルコン製の靴で騎士団長子息の股間を蹴り上げる。

口から泡を吹いて気絶した騎士団長子息。

説明しよう。

ヒロインちゃんは辺境の片隅にある領地の出身。

そこでは、魔物が跋扈し、そこを治める子爵家の皆様は王家から与えられた軽くて丈夫なオリハルコン材料にを靴として製造し、領民を守るために日々魔物を蹴り殺していたのです。

「よっしゃー! 勝ったぞー」

拳を天に掲げて勝利宣言するヒロインちゃん。

それと見た両陛下と悪役令嬢ちゃんの父親は親指を立てていい顔をされていました。


「私はこの世界に愛されしヒロイン。盤上遊戯を演じさせられるなんて冗談じゃないわ。今から、この盤上遊戯を楽しんでいる神を蹴り殺しに行くわ」

「その心意気、しかと認めた」

と力強い声と共に現れた魔王さん。

「うむ。その決意なら、儂と共に神と戦おうぞ」

続く竜王さん。

「でも、私で大丈夫かしら」

「もちろんだとも。其方にこれを授けよう」

魔王さんは、私の前世の遺物をヒロインちゃんに差し出した。

「これは、伝説の∞ランク漆黒の白き死神様の伝説の釘バットじゃないですか!」

「そうだ。これは、漆黒の白き死神が冒険を始めた頃の相棒だ」

「そんな貴重なものを。私に」

いやいや。貴重じゃないですから。私の前世の遺物ですから。

魔王さんと戦っていた時になくなったと思っていたんだけどな。

「私、魔王、竜王で、神に勝てるかしら」

神相手に、ちょっと自信をなくすヒロインちゃん。

「大丈夫に決まっている。ここに、漆黒の白き死神がいるのだからな」

「もちろん、来るに決まっているであろう。漆黒の白き死神よ」

私を見て不敵に笑う魔王さんと竜王さん。

「そんな!伝説の∞ランク漆黒の白き死神が、モブ山モブ子だなんて。魔王を殴り倒し、竜王を蹴り倒した伝説の∞ランク漆黒の白き死神がこの学園にいたなんて。これは、神に勝てるわ!」

ヒロインちゃん、学園に通うのはある程度の階級に属するものの義務ですよ。

なんで、表舞台に立たせるのかなー?



その後の話をしよう。

ヒロインちゃんは、釘バットとオリハルコン製の靴を駆使して自称神様を倒しました。

私は、神代級失われし魔術で、自称神様が使う神術を完全封印。

その自称神様は、良識のある神様たちに連行されていった。

ちなみに、ヒロインちゃんが自称神様と戦っている間の魔王さんと竜王さんは、その他の有象無象ゴミを相手にしてた。


アタカマ王国とその他の国は、世界が正常に動き出したということで私たちに褒賞を与えることにしたのです。

もちろん、私たちは辞退しました。

そんなものより、ヒロインちゃんの出身地で転生者に人気のスローライフですよ。スローライフ。

どうしてもというので、ヒロインちゃんは攻略対象たちに鉱山で労働の刑を要求した。

身分? 両陛下に丸投げですね。

私たちに関係ないし。

そして、ヒロインちゃんは攻略対象たちに送られた貢ぎ物は一切使用してなかったので、国に返還してその後の対応は丸投げ。

それを見た財務大臣は、「これなら、返品できますね」とホクホク顔。

宰相は、「返品なら、おまかせ下さい」とニヤリと不敵に笑った。


ヒロインちゃんと私は無事に学園を卒業し、ヒロインちゃんの住むファラフラ子爵領にいます。

そこに、たまに遊びに来る魔王さんと魔族たち・竜王さんと竜族たちが混じるのはご愛敬。

現在、ファラフラ子爵領は魔物が恐れる地として有名になっています。

他の種族も、この地に流れてきているので友好関係をうまく築けるようにしないと。

と思っていたのだけど、他の種族の王が友好的なのであまり心配しなくていいかもしれません。

「なに言ってるの? モブ山モブ子。ここには、伝説の∞ランク漆黒の白き死神ことモブ山モブ子がいるのよ。心配する必要ないじゃない」

と不適に笑った。


私かよ!!!

ふわっと降りてきたので、久久に投稿。

仕事が忙しくて、妄想が降りてこない...

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