リリーちゃんと私
ホラーと言えば、呪いの人形。
ホラーっぽさは、全くありません。
リリーちゃんは、アンティーク人形です。
私の生まれる前から、家に飾ってあるのです。
お母さんは、リリーちゃんを見ると発狂します。
何度捨てても、焼却炉に直接捨てに行っても、旅先の海で重しを付けて沈めても、家を引越しても、何度も何度も憑いてくるから。
そんなリリーちゃんですが、いつも私と一緒にいます。
妹が生まれてきて病弱だと分かった頃、お母さんとお父さんは私の存在を無視して、妹だけを優先しました。
だけど、リリーちゃんは私の側にいます。
お隣の優しいおじさんとおばさんは、私を心配して自分たちの家に来るよう言ってくれるようになりました。
ある日、久しぶりにお母さんとお父さんと妹が家に帰ってきたようです。
その様子を私はお隣のおじさんの家から見てました。
そしたら、おばさんがご飯の時間と私を呼びました。
「アレッ!? リリーちゃんがいない!」
私が慌てると、おじさんが
「リリーちゃんが帰ってきてから食べようね」
と優しく言いました。
隣の席を見たら、さっきまでいなかったリリーちゃんが座っていました。
隣の家から金切り声や叫び声が聞こえたのは、きっと気のせい。
だって、おじさんとおばさんがニコニコしながら食事をしているのだから。
おじさんとおばさんとリリーちゃんと私で、楽しくテレビを見ていると、警察官さんたちがおじさんの家の前に立っていました。
なんでも、私がかつていた家から誘拐の通報が来たらしいのです。
いつの間に、妹が誘拐されたの???。
詳しく聞くと、誘拐されたのは私らしい。
私はリリーちゃんを抱きしめながら、不思議に思いました。
なぜか、私はおじさんの家に来た警察官さんに保護されました。
なんでだろう???
数日後、私は保護施設から解放されておじさんの家に帰りました。
そして、お母さんとお父さんと妹は私がおじさんの家に帰る前に、何処かに引越していきました。
よく分からないけど、私は法的におじさんとおばさんの子どもになりました。
元お母さんと元お父さんは、これで私に全く関係なくなりました。
小学校に通って数年たった頃、私はイジメられました。
なんでも、私を産んだだけの人たちに捨てたれたかららしいです。
私は、イジメられる度に「リリーちゃーん」とリリーちゃんに助けを求めました。
その度にリリーちゃんはどこからともなく音を立てずにいじめっ子たちの背後に立ち、クルクルと周りを回り続けました。
その後、いじめっ子たちはなぜか身を潜めるように大人しくなりました。
ある日、担任の先生は私に「人形を学校に持ってくるな」と鬼のような顔をして言いました。
持ってきてないのに...
すると、リリーちゃんは教室の中に音もなく突然現れ先生の顔に張り付きました。
翌日から先生は、リリーちゃんが教室に音もなく現れる度に、発狂し金切り声を上げるようになりました。
結果、私は先生に気を遣い学校にリリーちゃんを持参する許可をもぎ取りました。
高校に入って進路相談する時期になった頃のことです。
私を引き取ってくれたお父さんとお母さんが、凄腕のエクソシストであることが判明したのです。
リリーちゃんはリリーちゃんでなく上級の悪魔が取り憑いていることも。
すっごい悪魔が取り憑いていようと、リリーちゃんはリリーちゃんです。
そうと決まれば、私はエクソシストを目指すことに決めました。
いつか、リリーちゃんを認めないエクソシストたちにリリーちゃんを認めさせるその日を来させるために!!!
『リリーちゃん』
上級の悪魔が取り憑いた人形。
上級の悪魔が人間界に降りてきたのは、ブラック企業な悪魔社会の元凶である魔王を『ざまぁ』するため。
リリーちゃんは、人間界に存在するための媒体。
主人公の側にいるのは、主人公の元父親と元母親の鬼畜な虐待ぶりを見て守らないといけないと使命感に目覚めたのと自分のことを疑問もなく受け入れたため。
エクソシストとなった主人公のパートナーとなる。
『主人公を引き取った夫妻』
上級の悪魔たちが束になっても勝てない最強のエクソシスト。
家を留守にする際は、リリーちゃん(取り憑いた上級の悪魔)に主人公を守るようお願いしてる。
リリーちゃんに取り憑いた上級の悪魔を祓わないのは、人間に対して悪を行っていないから。
『主人公の元両親』
自分たちと主人公の元妹で、『自分たちの世界』が完結している。
誘拐の通報をしたことで、育児放棄が世間にバレて主人公を捨てて引っ越しを夜逃げ同然にした。
その後、主人公が学生生活の間に様々な意味で優秀と評判になると、自分たちのために取り戻そうとするが、リリーちゃんに脅迫される。
結果、犯罪まがいのことを主人公に対して計画した元母親は発狂し精神病院に裁判所命令で強制的に送り込まれる。
元母親の凶行を止めなかったことを全国に知られた元父親と元妹は、世間から白い目で見続けられる。




