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明るい婚約破棄~悪役令嬢は高らかに笑う~

前世持ちでも、電波じゃない令嬢に振り回される?

僕の姉上はおかしい。

たくさんのお金を見るとゲスイ笑いでゲヘゲヘと笑う。

ちょっと怖い。


姉上は、前世というものがあるらしい。

その前世がらみで、ものすごくお金に執着していると言っていた。

姉上によると、この世界は『乙女ゲーム世界』らしい。

ゲームッ!? ゲームなの、この世界は!?

その乙女ゲームによると、姉上は悪役令嬢らしい。


姉上はすごい。

我がトライデ公爵領の治安向上をさせた。

なんでも、公爵家の者として領民に尽くすのは当たり前なんだとか。

他領のスラム街の治安はよくないのだけど、ここのスラム街はスラム街じゃなくなっている。

他にも、護衛を置いてけぼりにしてドラゴンに乗って単騎で危機に駆けつけて悪党を成敗したりする。

トライデ公爵領の商人に限り、領内では安全に商売することが保証されている。

その時に姉上は必ず、「ホーホッホッ。 時が来たら必ず、私の役に立ちなさい」と高慢に言い切って、立ち去っていくらしい。

なんで、普通に助けないの?


姉上が、第一王子様との婚約が決まった。

この時、商人たちと領民たちと父上が絶望した。(王家への忠誠はとは突っ込んではいけない)

領地経営、その他いろいろな仲裁など姉上が中心になっているからだ。

姉上も、絶望した。

「ベットにお金を敷き詰めて寝れないじゃない!!!」と言って。

そんなことして寝てたの? 痛くないの?


姉上の学園入学が決まった。

僕も決まった。

僕は年下であと数年後なのに、姉上の『明るい婚約破棄計画』のためだ。

姉上によると、今年『ヒロイン』という男を侍らせるゆるい女の子が入学するらしい。

そのヒロインへの嫌がらせを姉上主犯ということにして、姉上指示通りに僕がウワサを流さなきゃいけないんだ。

領のみんなの期待がかかっている。

頑張らないと。


姉上の言うヒロインは、順調に男を侍らせて虜にしていった。

チョロすぎる。

この国の第一王子様に、騎士団長子息、宰相子息、宮廷魔術師子息、学園教師(実は王弟)が、ヒロインに虜になっていく姿は、実に滑稽だった。

姉上は、「ビジネスチャンスね。商人たちに連絡しなくちゃ」と軽やかに笑った。

その後、商人たちはヒロインの取り巻きたちに女の子が好きそうな物を売っていた。

それを見た姉上は、目をギラギラさせて涎を垂らしていた。

僕は見なかったことにした。


姉上は、ヒロインの取り巻きたちに耳に入るように商人を使って自分の悪評を流した。

ヒロインは、自作自演を熱演?して姉上にいじめられたと訴えだした。

ヒロインとヒロインの取り巻きたちの信者以外信じてないけど。

同じクラスの女の子に聞いたら、「あの方の悪評を信じるなんてありえませんわ。淑女中の淑女のあの方の」と。

お金を見てゲスイ笑いをし、目をギラギラして涎を垂らし、恍惚になるあの姉上が淑女中の淑女!?


これ以上見てられないほど、ヒロインの取り巻きたちが滑稽になった頃、冤罪だと分かりきっている姉上の断罪がはじまった。

「ミレイユ・トライデ公爵令嬢、貴様のマリアへの嫌がらせは度が過ぎる! よって、貴様との婚約を破棄する! そして、私ケヴィン・ラストランドは新たにマリアを婚約者に迎える! 最後にミレイユ・トライデ公爵令嬢、貴様は二度と王都に出入りすることを禁ずる!!!!」

「承りましたわ。 すぐに、ここを出て行きます。 行きますわよ、レオ」

「了解しました。姉上」

姉上と僕は、競歩をするようにこの場を去って行った。

噂によると、この後、ヒロインとヒロインの取り巻きたちは姉上を冤罪で断罪したことによって、平民に堕とされたらしい。

平民たちもいい迷惑だよね。

ちなみに、迷惑料として姉上と僕は学園により卒業資格をもらったんだ。


僕は、領地経営を習うようになった。

そして、分かったんだ。

姉上は、お金を貯め込んでなかったんだ。

姉上のお小遣いは、すべて領民のために使ってたんだ。



今日も、姉上と商人たちは稼いだお金をみてゲスく高らかに笑う。

高らかに笑うのはいいけど、そのゲスイ笑いで嫁のもらい手がなくなるよ。

人前では止めてよね!



「大丈夫よ、レオ。 私は、お金と結婚しているんだから。 ホーホッホッ!」

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