エピローグ
本物語は「タテ書き小説ネット」のPDF縦書きのみですべて文章調整しています。横書き、携帯ですと読みづらいかもしれませんがご了承ください(挿絵は横書き、携帯のみで閲覧できます)。
秋葉原から岩本町、靖国通りをてくてくと……。
なぜか橋の上まで歩いて来てしまった3人。
「あーたーしィ~●●じゃなくってさァ、
●○の○●コスがいいのォ!!♂
●○編の装甲Verは古いってぇ!♂
妙もそー思うじゃろッ!?♂
今度の▲■国際会議場も●■公園も、○●ホールも、
絶対こっちだァ~っぴょ!?♂
カメ小僧コンプ間違いナシなしィ~つゥーのッッ!♂!」
「あちきに言わせてもらえばさァ♀、
忍の●○文化センター寄りのセレクトってさーアレだよねッ♀、
劇公ガン無視&蟲って感じィ!♀? それってばさ、
「だらけ」の店員サンに激ワラ注意報はつれ~って、
感じじゃないサァ★♀☆ あはっ♀♪
…………文化セ○ターキタ――――――ッッ♀☆♀」
「……おっ、お…………おまいら、……早くき・め・ろッッ!!!」
……ぜーはー……ぜーはー…………
「し、死ぬ……っ
……この悪魔的空間圧迫……
――――――くっくくっく……ま、まさに、
死出の道だっつーのォ……」
亞蘭丈太郎は、忍と妙のコスプレショップでのあまりのハイテンションに、何度かひきつけを起こしそうになっていた。
半裸の女性店員がケラケラ笑いながら衣装を持って亞蘭姉妹を追いかけ、忍と妙は天井に這い登って衣装アワセ……
仕舞いには、
「店内全部、衣装買い取りィィ! WRYYYYY!
サイフはこ・い・つゥ♂!♀! 」
と、丈太郎は指差される始末。
会計はカードで済む話でも、変態コスプレ姉妹の保護者だとみなされるのが恥ずかしくて恥ずかしくて……最後はカードを置いて、丈太郎は店外脱出…………。
かつて同様の場面に於いて、思わずカードをほったらかしにしてしまい、ラ●オ会館を全館買い取るハメに陥った苦い過去もあったのだが……。
「……ありあとォ~ございましたァーっっ!!」
……はっ、と気がついたときには、コスプレ店員全員が御出迎え……今回はそのビル店内の商品総買い取りだけで済んだらしい……。
「……あ、あはははは……はは……っ……
おまいらァ、ウチの屋敷にトラック寄越すなよ……
あんな変態衣装、おまいらの家で処理しろよなァ……!?」
涙目の丈太郎。
「しーらねーよぉー☆♂ キャハハッ♪♂♪」
「衣裳部屋、爺のとなり部屋あ・た・りに、よろしくゥ~♪♀」
買い取られたコスプレ衣装数千着は、亞蘭家大屋敷・今井信次郎専用部屋近くにストックされたとか……。
信次郎が夜な夜な変質者の如き衣装で、
屋敷内を闊歩したのは……言うまでも無いが。
「……はぁ、はああぁぁッ…………」
亞蘭丈太郎、長いため息……一献。
狂気乱舞のアキバのコスプレショップ御買い物から数時間経過。
橋の上から、お世辞にも綺麗とは言えぬその河川を眺める三人。
「いやぁ……なんかいっぱい、
オゴッてもらっちゃってさァ……ヒッヒッヒッ♪♂」
「なんか悪かったね、じょーたろう兄ィさァ……♀」
凱旋帰国の体で勝ち誇る姉妹。
悪びれる様子など、あるわけもない。
「おまいら、日本語は正しく使おうな……
アレはおごったんじゃない……あ、あれは……」
言いかけてやめた丈太郎。
怒りより、脱力感より……ふと、今日の本題が頭をよぎった。
これで最後だよォ……と、忍も妙もケラケラ笑いながら、
今日のお買い物に誘われた丈太郎。
姉妹にはよく「ショッピング」という名の「恐喝」につきあわされていたのだが、妙の「あの一言」が、丈太郎にはどうしても無視できなかった。
「………………兄者、いいのかい? 本当に?
後悔したって知らないぜぇ?♂♀」
亞蘭忍はニヤニヤしながら……丈太郎の尻を蹴り上げる。
「あたしは兄様にずっとついてくつもりですわよ♀♂
キャハハハハ♀♪♀」
亞蘭忍が丈太郎の右足をつかんで離さない……ので、彼のジーンズがずるりと下がった。妙はその両手で丈太郎の左足をつかまえながら、泥水のような、眼下の河川を眺めている。
「……ま、忍と妙の言うことが本当なら……まあ、
いいかなって……思ったのさ。
多少……信じ難いと言えば信じ……られんがなァ……」
少し複雑そうな表情で、しかし姉妹を信頼しているぞ……と、
頷く丈太郎。彼に迷いは……ない、らしい。
「……俺は、日本一の金持ちバカ息子さ。
……でも、彼女に出会えて、ほんとうに良かったと思っている。
あの日……
俺は本当にココにいるのか?
―――これって夢じゃないのか? って………
何もかも―――――そう、この世界すべてが…………
何がなんだか、わからなくなったほどさ……」
――――――――だから、俺ハ………
父は、快諾してくれた。
難しいことは爺がすべてやってくれるだろうし、
総理のおっちゃんや、お偉いサンのケツを叩いて…………
俺の願う方向へと、この国の在り様を決めてくれるはずだ。
問題は何ひとつないはずだ、と丈太郎は思う。
ガキの考える恥ずかしい妄想だと、思われたっていい。
あの少女の願う世界。
俺ハ、絶対に実現させてやるんだと、少年は決めていた。
あの日、決断したのだ。
「………亜蘭財閥なんてさぁ……………あんなの、
いらないよなァ」 (笑っちゃうよな)
亞蘭丈太郎は何処に行くのだろう? (……迷うねぇ)
彼自身、それを決めていなかったのもある……ただ (ただ?)
終の彼方まで付き添ってくれる、
このふたりには―――――
何か美味しいものでも……
ごちそうしてあげようと、丈太郎は思っていた。
「……ま、兄者、すぐ……現世に帰ってこられるから、さ……」
少年は、ライトブラウンの緩いウェーブの前髪を、指先でくるんとつまむ。
ポケットには百円玉が……何枚か、………あるなァ…………。
「…………あ、そーゆーことかァ…………」
かつての清流を橋の上から思い浮かべながら、
少年ハ……ふたりの少女に、ささやいた。
「――――――――京ォ、静ゥ……
おまいら、なんか食いたいもん…………あるかァ?」
亞蘭財閥は、亞蘭丈太郎に引き継がれることなく…………
その総資産を……ある人物に託した、という……。
亞蘭丈太郎は現世から消え去り、亞蘭忍、亞蘭妙と共に、時空の彼方へと……何処かへと――――――旅立った。
丈太郎が目覚めたときには……何故か自分の胸のふくらみに……
違和感が……。
……あれっ?
と こ し え
生 々 世 々 に つ た え よ う ――――――――
精 一 郎 様 の ……………… 神 の 息 吹 を 。 (了)
「……クックックッ……クッ……」
「……ヒッヒッヒッ……ヒッ……」




