表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染み♂「今からQ極TSカプセルで♀になりマース♪」  作者: 山紫朗
【裏話】湖宵とホモる (ド直球) 高校生活
99/255

裏16話 思い出の体育祭④ 三五くんと湖宵ちゃん刺身弁当でお腹壊した選手の代わりにリレーに出場事件 高二 一学期

 はあ~、食べた食べた。

 お姉さん達が作ってくれたお弁当、どれも美味しかったな~。

 ああ~。凄い幸せな気持ちだあ~。


 午後は応援合戦とチアダンスの演技から始まるし、完全にショウを観覧するお客さんの気分になってしまっている。


 席でまったりしていると応援合戦が始まった。

 応援団の男子達の気合いの入った掛け声とドンガドンガ響く鳴り物の音を聞いていると、何だか地味に燃えてくる。やる気が出てきたぞ!


 熱い男達の演技が終わったら、次は可愛い衣装を着た女子達の演技だ。

 両手にカラフルなポンポン、頭に大きなチアリボン、そしてミニスカートのチア女子達が元気良くグラウンドに現れた。


 ウチのクラスの女子達から歓声が飛ぶ。


 「「「キャ~ッ♡ 湖宵ちゃ~ん♡」」」


 そう! 実は湖宵もチアダンスに参加するのだ!

 流石にミニスカートは履けなくて短パンだけど、それ以外は他のチア女子達とお揃いだ。


 過去に一悶着あって湖宵の心が女の子である事を盛大に暴露するハメになってしまったが、元々人気者だった湖宵は皆に受け入れられたのだ。

 怪我の功名ってヤツだな。


 まったりしている場合じゃないぜ! オレも湖宵の晴れ姿をバッチリ目に焼き付けないと!


 ♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪


 明るいアップテンポの曲が流れ、ダンススタート!


 両腕を激しくフリフリ。色とりどりのポンポンが花火みたいに咲き乱れる。

 足を高く上げるラインダンスは一糸乱れぬ連携が圧巻。

 腕をビシッと伸ばして交互にポーズを決めていく姿もカッコイイ。


 皆上手に踊っているけど、中でも湖宵の身体のキレは群を抜いている。かなりの運動量なのに笑顔を絶やさないその演技には華がある。


 「素敵だよ~っ! 湖宵~っ!」


 ニパッと笑う湖宵。女子達の仲間に入れてもらえたのが嬉しくて仕方無いんだね。

 見事なチアダンスと湖宵の輝く笑顔は、オレの心にバッチリ刻まれた。


 「湖宵ちゃん、良かったよ♪」

 「やるわね、湖宵ちゃん♪」


 「へへへ~♪ 皆ありがとう♪」


 一緒に踊っていた仲間達と健闘を称え合う湖宵。感慨深いなあ。見ているオレの方が嬉しい気持ちになるね。


 「ねえ、三五! どうだった!? ボクのチア、どうだった!?」


 「最っ高に輝いてたよっ! 湖宵~っ!」


 「やったぁぁ~っ♪ きゃっほ~ぅ♪」


 サムズアップして湖宵を褒めると、湖宵は喜びの大ジャァ~ンプ! 両腕がVの字に伸びてポンポン花火が打ち上がるぅ!

 今日イチの笑顔頂きました~っ!


 「せ、繊月(せんげつ)って可愛くね?」

 「だ、だよな。心は女の子なんだもんな」


 おや? クラスの男子達が遅まきながら湖宵の魅力に気付いたようだぞ? でも残念。湖宵はもはやオレ専用なのさ!


 モチベーションMAXの内にオレと湖宵の最後の出場種目、二人三脚の出番がやって来た。

 オレと湖宵の足首をギュッと結べばスタンバイOK。


 こうして肩を並べて立つと二人の身長差、体格差が浮き彫りになるな。

 オレは今やクラスで一番背が高くなり身体付きも大分ガッチリしてきた。

 対して湖宵はオレより十センチ程背が小さくて線も細い。歩幅にも少しばかり差があるだろう。


 しかしその程度の事はオレと湖宵のKIZUNA POWERの前ではハンデにもならない。


 「そろそろオレ達の出番だ。行くよ、湖宵!」

 「うん。せ~の、でね! 頑張ろうね、三五!」


 「位置について、よ~いスタート!」


 パァン!


 「「せ~の、一 · 二! 一 · 二!」」


 肩を組んだオレと湖宵は駆け足のペースでギュンギュン進んでいくぅ! 


 速い速い! 


 これが幼馴染みにして人生のパートナー同士のコンビネーションだ!


 二人で一人。オレ達は比翼の鳥。その翼を大きく広げて力強く羽ばたかせ、今一着でゴールイン!


 「すっご~い♪ アンタ達やるじゃない♪ お姉ちゃん鼻が高いわ♪」

 「「「正妻さま~♡ ステキィ~♡ 流石の貫禄ですぅ~♡」」」


 何やかんやと波乱もあったが、有終の美を飾れて良かった。……と、思っていたら最後にもう一つ事件が起きた。




 「えっ!? 隼兄弟がお腹を壊してリレーに出られないって!?」


 隼兄弟とは双子の陸上部員だ。

 二人共オレとは違って小学生の頃から陸上一筋で、揃ってIH(インターハイ)に出場した経験もある当校きってのスター選手なのだ。

 そんな二人が部活動対抗リレーに出場出来ないなんて……。


 オレと湖宵が保健室にお見舞いに行くと、隼兄弟は青い顔をしてベッドに横になっていた。


 「お~い隼兄弟! 大丈夫か! また何か変なモン食べたんだろ!」


 「もう、三五ったら。いつも変なもの食べてるみたいに言っちゃダメだよ」


 「うう……。イサキの昆布締め……ちと締め過ぎたかもしれんな、弟よ」

 「くう……。いや、兄よ。ホタルイカのイカソーメンかもしれんぞ。恐らく下処理が……」


 「本当に食べてる!? ってかお弁当に生モノ入れないでよ!」


 隼兄弟は料理が趣味なのだが、その腕前は陸上とは違ってカラッキシなのだ。よくお腹を壊すせいで大会を欠場した事も有るとか無いとか。


 

 「高波に繊月よ。我らの代わりにリレーに出場してくれんか?」


 「えっ? オレ、新入部員なんですけど?」

 「ボクなんてマネージャーなんですけど?」


 オレは誘われて春に入部したばかりのぺーぺーだし、湖宵なんて「三五が入るならボクも入る~」とか言って入部したゆるふわマネージャーだ。

 オレ達みたいなライトな部員じゃなくても他に適任者が居るのでは?


 「お前達の二人三脚、見事だったぞ。リレーの要とは即ちチームワークに他ならぬ。お前達ならば適任であろう。なあ、弟よ」

 「ああ、兄よ。高波と繊月であれば、我ら以上のコンビネーションを発揮するに相違あるまい」


 おお~♪ こんなに凄いヤツらに認めてもらえるなんて♪ これは嬉しいぞ♪


 「「へへ♪ 任せてよ♪ 立派に代役を務めて見せるからさ♪」」


 いい気分になったオレと湖宵はノリノリで隼兄弟の代役を引き受けたのだった。



 あれよあれよと言う間にプログラムが進み、部活動対抗リレーの順番が回ってきた。


 「位置について、よ~いスタート!」


 パァァン!


 最初の走者が走り出した。

 ヤベ~な。今になって緊張してきたぞ。

 しかもオレ、アンカーなんだよな。責任重大だあ!

 安請け合いするんじゃ無かったかなぁ? この待ってる時間がすげ~ドキドキするんだよなぁ。


 「「「「隼兄弟が居ない……フッフッフッフッ! これはチャンスだな!」」」」


 「な、何ィ! お、お前らは!」


 「盗塁の鬼と呼ばれたオレが陸上部の栄光を盗んでやるぜ!」

 「ファンタジスタのオレチャンが魔法の足を魅せてやんよ♪」

 「押忍! 足ならオレも負けんぞ! グラウンドを蹴りまくってくれる!」

 「相撲取りが動けるという所を存分に見せつけるでゴワス!」


 順番に野球部、サッカー部、空手部、相撲部だ。どいつもこいつもわかりやすいキャラクターをしている。


 「何を~っ! 陸上部がリレー勝負で負けるわけ無いだろ! やってやるぜ!」


 挑発にすぐ乗るこのオレも、わかりやすさでは負けていない。

 いざ、尋常に勝負!


 リレーは陸上部優勢で進んでいき、今バトンが最後から一つ前の走者……湖宵の手に渡った。


 湖宵、足速い! でも他の走者も速い! ほとんど横並びだ。

 これはバトンの受け渡しがどれだけスムーズに出来るかが勝負の鍵を握るだろうな。


 バトンを受け取る為、オレ達最終走者はトラックに出て準備する。


 「三五~っ!」


 湖宵がオレに向かって駆けてくる。


 オレはそれをじっくり待ちタイミングを見計らって前に駆け出す! 


 後ろは振り返らない。

 その代わりに手を大きく開き、腕を大きく振る。

 

 バシン! とオレの掌にバトンが叩きつけられる!

 ナイス湖宵! これで一抜けたァ!


 「陸上部凄い! バトンの受け渡し完璧!」


 後はトラック半周 · 二百メートルを全力疾走するだけだ。


 「うおおぉぉ~っ!」


 「待てぇぇ~!」「陸上部ぅ~!」


 くっ! 他の走者にジリジリ距離を詰められる!

 やっぱりニワカ陸上部のこのオレでは、運動部に太刀打ち出来ないのか!?


 「三五ちゃぁ~ん! ここまで来たら気合いよ! 気合いで走るのよ!」

 「三五さぁん! ファイトぉ~!」


 メイお姉さん! アンお姉さん! 大きな声で応援してくれてる!


 「「「「三五さまぁ~! 負けないで~!」」」」

 「「「お兄さみゃぁぁ! みゃ~っ! みゃ~っ! にゃあぁぁぁ!」」」


 ファンの皆さんだ! あんなに拳を振り上げて……ネコさん達なんて言葉すら忘れる程興奮している。


 「三五ぉぉ~っ!」


 湖宵の声が聞こえる。湖宵……ああ、湖宵っ!

 湖宵にカッコイイ所を見せたい! 絶対見せたい!

 今こそ限界を越える時ィィ! 心臓よ鳴れ! 全身の筋肉を燃やせぇぇ!


 迫る栄光のゴールテープ!

 

 切るのは一体誰だ!?


 「オレに決まってんだろうがぁぁぁ~!」


 いやったぁぁぁ! 超ギリギリで一着をもぎ取ってやったぜ!


 「三五ぉぉ! ちょ~世界一カッコイイ~っ!」


 大興奮の湖宵にむぎゅぅぅ~っと抱き着かれる。

 大輪の花の様に咲く湖宵の笑顔は最高のご褒美だ。

 オレはこの笑顔を、この体育祭の思い出を、一生忘れないだろう。


 しかし渾身の力を出し尽くした一日だった。

 フラフラになりながら家に帰ったオレは家に帰るなりベッドに直行。母さんが叩き起こそうとしても朝まで目覚めなかった。


 

 バカみたいに満足そうな顔で眠ってた、って起きた後に母さんに言われてしまったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ