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第49話 繊月 こよいと寄り添いラブラブデート [真 ・ 神速激写篇] 

 ネコさん達は「C(キュア) C(キュア) C(キャット)」のあるビルの地下にもゲーセンがあって面白いプリントシール機があると教えてくれた。

 アニメ ・ ゲームとコラボした機種や、撮影後のお絵描き機能が充実した機種などが一杯あるとのこと。


 「楽しい思い出を一杯残したい」 という今回のデートの趣旨にピッタリ合致しているので、是非行ってみようという話になった。


 最近のプリントシール機の流行は美白 ・ 美肌になるように写してくれたり、エステや美容院に行った後みたいに髪をツヤツヤにしてくれたり、美人に写してくれたりするものが主流だ。

 だけれども、それらのプリント機は今回の目的にはあまりそぐわない。

 ていうか画像加工なんかするまでもなく、こよいは美人で可愛いし。

 

 だから今日はあえてイロモノ系の面白シール機を探しちゃおう!


 てなわけでエレベーターで地下1階へ向かう。

 早速プリントシールコーナーに顔を出してみると、ジャカジャカと賑やかな音楽が聞こえてきた。

 ネコさん達に聞いた通りアミューズメント性に富んだプリントシール機が揃っている。


 「ねえ、三五♪ わたし、これが良いな♪」


 こよいが選んだプリントシール機は可愛らしいキャラクターが撮影を案内してくれるようで、初心者のオレ達にちょうど良さそうだ。早速カーテンの中に入ってお金を入れてみよう。


 ボールの様にまん丸なネコのキャラが上下に跳ねながらアナウンスしてくれる。


 『画面を見て、好きなフレームを選んでね~♪』


 「わ~カワイイ♪」

 「まん丸だね、このネコ。ふっかふかだ」


 『余計なお世話だよ~。お兄さん~』


 何ぃ!? 口答えしただと!? オレの言葉が認証されている!?


 『それよりお兄さんアゴ引いてよ~。カッコ良く写らないよ~』


 凄い! オレの顔の向きなんかも指摘してくれるんだ!

 悪戯心が芽生える。敢えてアゴをグイ~っと上に向けてみたりして。


 『お兄さ~ん、こっち向いてよ~。ボクが話しているんだよ?』


 「あ゛?」


 カチンと来る言い方するなあ!


 「ちょっと! 三五に対して生意気よっ!」


 こよいもカワイイと言っていたキャラに対して容赦ないな。


 『何だい? 写真の写りが悪くなっても、構わないって言うのかい?』


 こ、こいつ無駄に高機能! だがテクノロジーを使うベクトルが間違ってる!


 「キイィ~ッ! 脅迫するなんて卑怯よっ! このまりもネコ!」

 「そうだそうだ! お前首から下はどこ行ったんだよ! 肉に埋もれてんのか!?」


 「「毛玉! まりも! 生首! 肉達磨! へちゃむくれ! 性悪! たぷたぷ! 更迭マスコット! もどきネコ! 雑種! ノミの温床!」」


 『そこまで言ったのは君等が初めてさ! 画質の低下も怖くないと見えるね!』


 オレ達の罵詈雑言が全て聞き取れている! 凄いぞゲーム業界! 無駄に!


 「上等だ! 低画質だろうがなんだろうがバシッと撮ってやらぁ!」

 「そうよそうよ! 三五のイケメンっぷりはそんなもんじゃくすんだりしないんだから!」


 『フレームを選べるなんて思わない事さ! 行くよぉぉ! 撮影開始ぃぃ!』


 パシャッ!


 第一枚目は二人揃ってカメラ目線でメンチを切り、指をビシッと画面に突きつけるポーズの一枚となった。完全に男友達との悪ノリのテンションだ。


 一応撮る時の要領は掴めたので、他の機種でもドンドン撮ってみる。


 「わたし、この魔法少女のフレームが良いな♪」


 パシャッ!


 「あ、懐かしい。このゲームのシリーズ、まだ続いてたんだ。次はこのフレームで撮ろうよ」


 パシャッ!


 ネコさん達のおススメは男の子やお子さんでも楽しめるようなラインナップで、とても楽しめた。これならこよいがまた男の子の姿になっても二人で撮りに来れそうだ。


 お次はコスプレ衣装を借りて撮影できるというプリントシール機をお目当てに違うゲーセンに向かう。

 

 今日のこよいの愛らしい格好を見たのとネコメイド喫茶を楽しんだことで、オレはコスプレに若干の興味が湧いていた。

 色々な可愛らしい格好をしたこよい……。想像するだけでドキドキしてくる。


 「いらっしゃいませ~。貸衣裳のご利用ですね。こちらの試着室をお使い下さい~」


 「三五、これ来てみて♪ 執事さん♪」


 「うん。こよいはネコミミメイドさん?」


 「うん♪ わたしも着てみたくなったの~♪」


 衣装を受け取り試着室に入る。執事服の作りはかなり簡素で着替えるのは楽チンだ。その分見た目もそれなりなのだが、プリントシール用のコスプレならこれでも充分だ。


 ササッと着替て少し待つと、試着室からネコメイド姿のこよいが出て来た。

 そのメイド服はネコメイド喫茶のネコさんの着ていたものより大分簡素なものだったが、着ているこよい自体が超一級美少女だったのでオレはぽ~っと見とれてしまった。


 「ふわぁ♡ 三五の執事さん♡ うぅ~♡ お世話してもらいたい~♡ でもネコちゃんメイドで三五のお世話もしたい~♡」


 「こよいカワイイよっ! ネコちゃんこよい専属執事になるのもまたイイネ!」


 さあ。執事 & ネコメイドさんで一枚撮ってみよう。


 「繊月(せんげつ) こよい様専属執事、高波 三五です」

 「にゃ~ん♡ 三五様のネコちゃんのこよいですにゃ~♡」

 

 パシャッ!


 お次は学ラン & セーラー服に着替えてみる。中学 ・ 高校と制服はブレザーだったので新鮮だ。


 「こよい、お嬢様ヘアとセーラー服って何だか妙に似合うね」

 「三五も男の子~って感じでカッコ良いよ♡」

 

 パシャッ!


 「お客様にはこの衣装なんてどうでしょ~?」


 店員さんがこよいにすすめてくれたのは、魔法少女の衣装。なんでもセレブなお嬢様が魔法と実家の力で世界を守るアニメのヒロインの衣装だそうで、お嬢様かつスター性のあるこよいにピッタリだ。


 「ちょ、ちょっと恥ずかしいなぁ♡ ま、魔法少女こよい♡ さんじょ~♡」

 「オレのこの格好は何なのかな? また執事?」

 「お助けキャラでヒロインの想い人だって♡ 三五にピッタリ♡」


 パシャッ!


 撮ったシールを改めて見てみると、普段の生活じゃなかなか撮れないシーンが盛り沢山。こよいもホクホクした顔でシールを大事そうに見つめている。


 「こよい、シールを貼る手帳を買って帰ろうか?」


 「お揃いのを買いましょうね♡ 嬉しい~♡ 二人の宝物ね♡」


 オレとこよいの笑顔がたくさん写った写真。

 オレ達だけの宝物をこれからもっともっと増やしていこうね、こよい。  

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