第6話 確認と危険
第四位階下位
休みたい。
と言ったが『再生』のお陰だろうか?
疲労感は直ぐに消えてなくなった。無傷だったのも良かったんだろう。
それよりも、謎の音が気になる。
最初に聞こえた電子音と同じ物だったように思うが……説明の続きと言う訳では無いだろう。
とりあえず自分を調べて見る事にする。
霊人 ミツキLV1
『桜色の瞳』
『--の加護』
『■■の■■』
ミツキ〈英雄LV1〉男16
変更可能ジョブ
〈村人LV5〉
〈見習い剣士LV1〉
〈見習い拳士LV1〉
〈見習い戦士LV1〉
〈見習い魔法使いLV1〉
〈狩人LV1〉
BP74
LVが上がって変更可能なジョブが増えていた。
というかジョブが勝手に変わっていた。
おそらく、魔物を倒した事で経験値を稼げたのだろう。
強くなったかどうかは分からないがLVを上げて行く事は悪いことでは無い筈だ。
残りのBPを経験値系の2つとジョブ数増加に振る事にする。
「んん?」
経験値増加と必要量減少の2つには問題なくBPを振る事が出来た。
だが、ジョブは3ジョブ以降が灰色のままでそれ以上BPを振る事が出来ない。
何か別の条件があるのだろうか?
まぁ、分からない事を考えても仕方ないので差し障りの無い内は放置しよう。
残りのBPは9ポイント、これらは現状良い使い道がないから残して置こうと思う。
◇
「……無惨だ」
そう、無惨だ。
残念な事に俺には生物を解体する技術は無かったらしい。
思う気ままにやっていたのはいけなかったか。
最初に血抜きが必要だと思い、首を斬り逆さに吊ったのは良かっただろう。
当然木の上に登り、5匹全部の尾を持って血が抜けるのを待った。
次がいけなかったか?
部位毎に切り分けようとして尾、手、足、背、首の肉を入手した。
……完全にぶつ切りである。
内蔵や他のぐちゃぐちゃした部位は穴を掘って埋めた。
その後、爪や皮や鱗を剥いだ。
結果食えそうな部分、もとい残った部分は尾が一本と足の一部のみ。
周囲には肉片が散らばり、見るも無惨な有り様である。
猟奇的ですらある。
肉を収納に仕舞った。
.......さて、目下の面倒事は終わった。
落ち着いて検証と情報整理が出来る。
まず、敵だが、思ったより苦労しなかった。
警戒していた牙と爪は解体時に試してみたが、服の生地を貫く事は出来ず、皮膚にはリーダーの牙が少し刺さっただけで済んだ。
全能力上昇の効果は相当すごい物らしい。
要するに、ハグトス何某警戒するに値せず。
むしろ良い獲物になりそうだ……旨かったらだかな。
次にジョブだが、〈見習い〉何とかって言うのはそのまま何かの見習いという意味だと思う。
村人のLVが上がって出てきたから、これらのLVを上げればより上位のジョブが出るはずだ。
ゲーム的な考え方だが、より上位のジョブの方がより能力が高くなったりするのだろう。
気になる点は〈見習い〉が付いていない〈狩人〉と〈英雄〉だ。
とりあえず、メインジョブを〈英雄〉のままに、2ジョブを〈見習い剣士〉3ジョブを〈見習い魔法使い〉にしておく。
〈村人〉一つとは比べ物にならないくらい強くなった……ような気がする。
最後に途中で邪魔された地図の確認だ。
寝床として使えそうな場所を見付けたい。
丘の一番高い所に戻り、改めて地図と周辺の確認をする。
東、西、南は山に塞がれ、北には幾つか小さな島はあるが概ね海、地平線の彼方まで海である。
ここからは良く見えないが、地図を見ると東には谷があり、そこの付近に、迷宮【黄泉の入り口】があるらしい。
絶対に近付くまいと心に決めた。
同じくここからだと良く分からないが、南には雪で白く染められた山がある。
そこには迷宮【飛竜連峰】があるらしい……というより、名前からして恐らく東から西にかけて広がっている巨大な山が飛竜連峰なのだろう。
そしてそこには飛竜何某が居ると……見てみたい気もする。
気を取り直して西だが、そこには迷宮【太古の迷宮】があるらしい。
此方は是非とも行ってみたい、恐竜が生きて動いているというのは興味深い。
付け足すならここだけ迷宮と言う人工物的な文言がある、行くべきだろう。
北の海と複数の小島だが、先ず海。
沖合いに複数の濃い赤の光点がある、危険極まる場所だ。
小島はそれぞれの島に主がいたりいなかったりするらしい、また一つの島に迷宮があり、迷宮【魔の海域】と表記されている。
此方も飛竜連峰と同じく周辺に名付けられた呼称が使われているのだろう。
蟹や海老、貝に魚、海産物の宝庫である……近寄るべからず。
次に周辺の森だが、自分が今いる丘の大きさを見るに、この森は相当に広大で、その上植生も幾つかに別れているのが良く分かる。
まず、北東部の森。
地図からみて【黄泉の入り口】がある谷と接する森は様々な花が咲き乱れる色とりどりな森だ。比較的背の低い木が多くここからだと森の大部分が見える。
だが、その中に明らかな威容を誇る大樹がある。
その大樹にはここからも見える程の大きさの薔薇が二輪生えている、そして地図上の大樹がある場所にはどす黒い光点がある……さらにその周辺には濃い赤の光点が幾つもある……。
南東部の森は、北東部よりは高い木が幾つかあり、遠くに斑点模様がある大きな岩のような物が見える。
そしてその地点にも同じようにどす黒い光点があり、北東部同様その回りに濃い赤の光点が幾つもある。
ここからはほとんど見えないが、北から北西にかけて浜辺と森の間にある草原、そこにもどす黒い光点が……。
南西部の森には針葉樹に似た背の高い木の森が広がり、そのずっと奥に薔薇の大樹よりもさらに背の高い樹が立っている。
勿論地図上にはどす黒い光点がある、それも2つ。濃い赤の光点も2つ。勘弁して欲しい。
北西部の森は比較的安全なのか赤の光点が幾つか。
それぞれかなりの距離を離して点在している。
現在地の近くにも一つ赤の光点がある。
……というより徐々に接近してきているようだ。
安全って言ったバカは......俺か。
何故近付いてくるのか、心当たりならある。ここは解体のせいで濃い血の臭いが漂っている。
落ち着いている場合ではなかった訳だ、とりあえず木の上に隠れる事にする。
何が来る?
「切り替えは大事だ、次気を付ければ良い、そうだろう?俺」
ザック、バサ
ザック、バサ
ん?何か今光ったか?......気のせいか
ザック、バサ
ザック、バサ




