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桜色の盾  作者: 白兎 龍
第二章 ?????
57/59

第1話 そう言う騒動もある

第五位階中位

 



 人間の街へ向かう。


 転移でいつでも帰って来れると皆に伝え、渋る何人かを説得して人の街に向かった。



 当てはあった。


 どうやら俺は気を失っている間に飛竜連峰の頂上付近まで連れ去られていた様で、新しくその先の地図が追加されていたからだ。



 飛竜連峰を超えた先には広大な森が広がっていて、其処を更に超えた先には、小さな村と大きな街があった。



 其処を目指して突き進み、今は森の境目から街を見ている。



 草原には心地よい夜風が吹き、若草の香りを運んでいた。



 ……さて、村から行くべきか街から行くべきか……。



 悩んでいると、遠くから喧騒が聞こえて来た。


 地図を開いて確認すると、どうやら、人間が三人、狼に追い掛けられている様だ。

 狼の数は11。



シスカ 女15 LV1

〈村人LV3〉


変更可能ジョブ

〈町民LV1〉

〈氷霧魔法使いLV1〉



カレン 女15 LV1

〈村人LV3〉


変更可能ジョブ

〈見習い剣士LV1〉

〈見習い戦士LV1〉

〈見習い料理人LV1〉



アリシア 女16 LV1

〈見習い槍士LV2〉


変更可能ジョブ

〈村人LV3〉

〈町民LV1〉

〈見習い剣士LV1〉

〈見習い戦士LV1〉

〈見習い薬士LV1〉

〈見習い料理人LV1〉



ブラックウルフ ♂5 LV3

〈魔物LV5〉

〈獣LV5〉


変更可能ジョブ




 地図上から見た数値だと、人間三人の強さが3、狼は一匹だけ3で、他の10匹は2。



 場所はーー



「ーーあ」



 ーー俺の真横を通過したところだ。



 走っている三人の女。


 茶髪ストレートがアリシアで、金髪ツインテールがカレン、銀髪ボブがシスカ。



 ーーそのシスカと目が合った。



 だが、それも束の間、三人はかなりのスピードで俺の横を抜け、月が照らす草原を走って行く。


 取り敢えず俺は、背後から飛び掛かって来ていた狼に裏拳をかますのであった。





 ウルフをさっさと殲滅し、思考を再開する。


 街には大きな壁が築かれ、警備も厚い様だ。

 ……ここは警備の薄い村に行って情報を集めるべきだろう。



 改めて、今の自分の格好を見下ろす。



 真っ黒なローブの下には、真っ黒な軽装鎧が装着されており、腰には二本の刀が添えられている。



 ……外套は怪しいから外そう。他にはーー



 ーー色々と考えた結果、外套と鎧、二本の刀を収納に仕舞い、代わりに鋼の剣を装備する事にした。


 これで皮袋でもあれば普通の旅人に見えるだろう。



 残念ながら皮袋は無いので、その点を聞かれたら落としたと言おう。





 村に着いた。


 どうやら村人は村の中心に集まって何かやっている様で、村全体に篝火が焚かれていた。



 村自体は小さな木の柵が幾らか建てられており、門の様な場所があって、其処に衛士と言うジョブの鎧を着込んだ人がいた。

 警備はこんなところか。


 取り敢えず衛士の方へ向かう。



「……っ、……何だ、人か」



 衛士は森から出て来た俺へ槍を向けるも、人だと分かると武器を下げた。



「こんな時間にどうしたんだ?」

「あぁ、実は……」



 訝しげに問うて来た衛士の男に、此処数分で作った話しを聞かせる。


 簡潔にまとめると、俺は旅人で飛竜連峰にワイバーンを見に行く途中狼の群れに襲われた。その際に、荷馬に逃げられて、ようやく人がいる場所に辿りつけた。だ。



「そうか……ワイバーンを見に行こうだなんておかしな奴もいたもんだ」

「あぁ、趣味なんだ。……それよりこの村は祭りでもやってるのか?」

「それはーー」



 彼の説明によると、村の若い娘が三人、森に入ったまま帰って来ていないらしい。


 今は探索隊を出す為の話し合いをしている様だ。



「……そう言えば、しばらく前に狼に追い掛けられている女達とすれ違ったぞ」

「なにっ!?」

「どうにか狼を全て斃したんだが……その間に女達はいなくなってしまってな」

「そ、そうか……アリシアは無事なんだな……」



 衛士の男は小さな声で呟くと、ホッと息を吐き出した。



「……あんた、ちょっと話しがある、村の方まで来てくれないか?」

「構わないが……何処の馬の骨とも分からない奴を村に入れて良いのか?」

「必要な事だ……だが一応罪人かどうかは確認させて貰うぞ」



 そう言うと衛士の男は懐から赤い宝石の様な石を取り出した。

 それを手のひらに乗せ、差し出して来た。



『罪罰石』

盗賊系ジョブを検知する石。



 取り敢えず、指先で石に触れてみた。


 石には特に変化が無い。



 ……間違えたか?



「よし、じゃあ村に入ってくれ」

「分かった」



 どうやら正解だったらしい。



 男に先導されて、村の広場へと向かった。





「村長」

「む、ジルか……その者は?」

「あぁ、こいつ、森でアリシア達を見たらしい」

「なにっ……それは……」



 村長と呼ばれた初老の男は、此方を見て少し悩んだそぶりを見せたが、それも一瞬の事。衛士の男と二言三言交わすと、俺に向き直った。



「失礼しました。剣士殿とお見受けしますが、貴族様でございますかな?」

「いや、俺はミツキと言う、ただの旅人だ」



 すると、村長はあからさまにホッとした様子を見せた。

 その様は……少々不審だ。



「そうですか、それは良かった」

「……何かあったのか?」



 この国における貴族とやらが、どの様な地位でどの程度の権力を持つのかは分からないが、……貴族関係のトラブルでもあったのだろうか?



「……この事は誰にも話さないで頂きたいのです」



 少し躊躇った後、村長は話し始めた。


 それによると、やはり貴族関係のゴタゴタがあったらしい。



 この開拓村一帯を収める貴族、シルヴァー子爵が、村長の孫娘であるシスカを花嫁に、と望み、成人の日に迎えに行くと通達された。

 しかし、シスカはそれを望まず、そして村としてはここいらを支配する貴族に逆らう事は出来ない。


 村長や村人達は、どうにかしてシスカを助けてやりたいと思っていたが、どうする事も出来ず、シスカが成人になる日が近付いていた。

 そんな中、シスカと中の良かったカレン、アリシアの二人が、部屋で塞ぎ込むシスカと夜逃げをする計画を立て、それを聞いていた村長が、村人と協力して一計を案じたのだとか。


 シスカ達は成人の日の前日の夜に村を出る。

 その前に、シスカ達が持って行きやすい様な所に武器を置いたり、お守りと称して銀貨が入った小袋を持たせたり。


 シスカ達が居なくなった後は捜索をするふりをして、次の日、狼に襲われて亡くなってしまったと報告するつもりだったらしい。



「ーーと言う事でございます」

「分かった、誰にも話さない事をこの剣に誓おう」

「ありがとうございます」



 勿論、誰に話しても得がないからだ。

 ここは剣士っぽく剣に誓っておこう。



 その後、今日は村長宅で泊まらせて貰う事になり、村人達は、捜索をして服を汚したり疲れて置いたりと、貴族対策を進める様であった。



 案内された部屋は、昨日までシスカが使っていた部屋らしい。


 特に寝る必要は無いが、やる事も無いのでベットに横になった。





 明くる日、野菜のスープと硬いパン、ヤギのミルクと言う朝食をご馳走になり、色々と話しを聞いてから村を出た。


 貴族が来るのは昼頃との事だが、まぁ、頑張って欲しい。



 

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