閑話 小さなリリの割と大きな冒険 その二 大地鳴動
第五位階下位
思った通り。
此処は暑かったり寒かったりする所です。
ですがリリは今、暑くも寒くもありません。
うーん、これはあれですね、リリが大人になったという事でしょう。
お兄さんとお揃いです。
そんな事より、お兄さんを捜さなくては、と、その前に腹ごしらえです! リリはお腹が空きました。
お兄さん曰く沼地に行きましょう。
カエルとかワニとかを食べてみたいです!
◇
大変です! 獲物がいません! お兄さんが全部食べちゃったのを思い出しました。
これではリリのお腹は空きっ腹のまんまです。
おや? 遠くにワニみたいな大きいのがいっぱいいますね、行ってみましょう!
「おぉ! 天人様の御使様じゃ! 皆祈るのじゃー!!」
「天竜様! 天人様方のおかげで我々は安息を得られました!」
「天竜様! あの怪物共を討ち滅ぼしていただき、うっ……同胞達も、グス……浮かばれる事でしょう!」
うん、なんかやばい連中ですねリリ的判断によるとさっさと立ち去った方が良いでしょう。
触らぬ神に祟りなし、です!
「お、お待ちください天竜様! ど、どうかお礼を、お礼を受け取ってくだされー!!」
ヨボヨボお爺ちゃん蜥蜴の謎の瞬発力で縋り付かれてしまいました。
此奴! やりおる!
すったもんだがありまして、リリは祭り上げられ朝から飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ、カエル肉は美味でしたー。
蜥蜴さん達の話を聞いていくと、どうやらあの怪物とお兄さんの戦いがあったのは昨日の事らしいです。
砂漠の部族が詳しい事を知っている、とか何とか、という訳で砂漠に行く事になりました。
「もう行ってしまわれるのですな」
「キュ」
「いえ、何も言いますまい。どうか我らを救ってくださったように、困っている物達をお救いください」
「キュア」
「ほっほっほ、愚問でしたな。我ら沼の部族は何時でも天人様御一行を歓迎致します」
「キュア」
うん、やっぱり変な連中だけどリリ的にはお腹一杯になったので良い奴らです。
◇
やって来ました砂漠。
全然暑くないので快適な1人フライトです。
あぁ、お兄さんが恋しい。
ずっと遠い所で蜥蜴さん達に似た蜥蜴さん達が蟻の大群と戦っています。
というより追い詰められていますね。
そういえばリリ、すっごく目が良くなった様に思います。
目と言えばお兄さんの目は時々キラキラ光るのですが、あれはどうやってやってるんでしょうか? リリもやりたいです!
という事で適当に蟻さんの殲滅完了です。
どうやらリリ、ちょっと強くなってるみたいで。
前は超凄い風の矢、略して風の矢で二回刺さないと倒せなかった蟻さんを一回で倒せる様になりました。
「お、おぉー!! 天竜様が我らをお救いに降臨なされた! 皆の者! 巻き返すぞ!」
「「「おぉぉーー!!!」」」
ああいうのを死体蹴りって言うのですよ? 良い子は真似しちゃいけません。
リリはしないので良い子です。お兄さんに撫でて貰えます。
◇
「天竜様、偉大なる御方の慈悲で我らは絶体絶命の危機から逃れられました、感謝の念にたえません」
「キュ」
そんな事よりお兄さんは何処ですか?
「その御礼として宴を開かせていただきます、どうか少しでも我らの感謝をお受け取りくだされ」
うん、リリ、知ってた。
真昼間から飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ。
あ、駱駝の肉なんてリリ初めて食べました。
サボテンの実も、甘酸っぱい味でした、お兄さんのリンゴが食べたいです。
さて、蜥蜴さん達の話を聞いていくと、お兄さんは大きな怪物と戦って異界大岩の方に行ったらしいです。
異界大岩はあの洞窟がある岩の事でしょう、つまりお兄さんはあっちにいます。
ならさっさと行きましょうか、と立ち上がった所で突然。
何か違和感の様な不快感の様な感覚が込み上げて来ました。
リリ的判断によると、これは野生の感。
何かヤバイ事が起きる前兆です。
ゴゴゴゴゴッッ!! と物凄い音がなり、グラグラと地面が揺れます。震度5弱位ですかね?
蜥蜴さん達は恐慌状態で悲鳴をあげています。
中には頭を抱えてブルブル震えているのや、世界の終わりだーと叫んでいるのがいます、が。
リリ的判断によると、本当の恐怖はこれからじゃないですかね?
遥かに遠い所で砂漠の砂がモリモリ盛り上がって行くのが見えます。
砂煙の中に浮かび上がるシルエットは、
ーー巨大な蠍。
……リリ今はっきりと感じました。
あのデカイの、お腹が空いて起きたんです。
大蠍は砂漠を滑る様にして此方へと向かい始めました。
◇
蜥蜴さん達が伝説の〜とか倒された筈では!? とか喚いていますが、リリ的判断によると雑魚はさっさと逃げた方が良いと思うのです。
あの巨体なら洞窟を通る事は出来ないでしょうから。
リリは何も言わずに飛び立ちました。
……まぁ、あれですよ。
時間稼ぎ的な奴です、お兄さんならそうするでしょうから。
さっさと逃げてくれればリリも逃げられるのですがね。
◇
大蠍の目前に飛びました。
大蠍は天を突く程の巨体で何と尾が三本もあります!
とりあえず一発大きいのをかまして注意をリリに引きつけましょう。
使う技はこれ! 超ヤバイ風の光線! 略して風の豪槍です!
「キュアァァァーーー!!!」
リリのお口らへんから出た何かヤバイ光線は、大蠍の鋏を1つぶち壊し、硬そうな甲殻をぶち抜いて三本ある内の一本の尾を切断して彼方へと消え去りました。
……リリ的判断によると、これ、行けるんじゃね? です。
今の一撃で魔力の3割程を使用しました。
なので今度は魔力の1割程を使用して、風槍と風大槍を大量に作ります。
そして、一斉攻撃! 名付けて『風槍の雨』!
大蠍へ槍の雨が降り注ぎ、砂漠の砂を巻き上げその姿を隠します。
やったか!? なんてフラグを立てる気は毛頭ありません。
リリ的判断によると大蠍はまだまだピンピンしているでしょう、直感です。
案の定、砂埃を振り払い襲いくる大蠍の攻撃。
超重量の尾の一撃、それは一瞬でリリの目と鼻の先まで来ていましたーー
ーーまぁ、遅いんですけどね。
リリは尾の攻撃をかる〜く避けます。
断続的に襲い掛かってくる尾二本と鋏の攻撃を避ける避ける避ける〜。
当たったらリリ、きっと死んじゃいます。
なので全て避けるのです。
避け続けていると大蠍も焦れて来たのか、魔法を使い始めました。
砂の槍をを山程作り、四方八方からリリ目掛け飛んで来ます。
そう、パクリ問題勃発です! リリ的判断によると勝訴確定ですっ!
弾幕を張って襲いくる砂の槍の雨をパパッと避けつつも考えます。
避け続けるだけでは意味が無いです。
どうにかしてダメージを与えなければいけません。
でも風槍だとちょこっと傷を付けられるだけ、風大槍でも少し抉れるだけです。どうしましょう?
大蠍の動きを見ながら考えます、そして思い付きました!
リリ的判断によると、外が硬い奴は中が柔らかいっ!
パンも耳は固いけど中は柔らかいです。
んん? パンってなんでしたっけ……? ……まぁ後で良いです。
問題はどうやって中に入るか、ですが。
ふふふ、実はもう既に甲殻に穴が開いているのです! ケイカクドーリなのです!
リリは、お兄さん式魔力使用法リリバージョンで突撃を敢行します。
リリの全力突撃にさらに回転を加えます。
名付けて『無慈悲なる破壊』、お兄さんの技、『見えざる破壊』から着想を得た技です!
リリの突撃に大蠍はちっとも反応出来ていません、狙った通り、甲殻に空いた穴へと飛び込みます。
肉を切り裂き削り取り。
リリは大蠍の体内を潜行します。
お肉美味しいです!
大蠍が悲鳴を上げて大暴れしているのがわかります。
ですが今のリリを止められるのはお兄さん位のものでしょう。
お肉おいちーー!!
しばらくお肉を食べながら回っていると、何か大きくて固い物を飲み込んでしまいました。
その瞬間。
ピロリン♪
と、たまに聞く変な音がなって、急に静かになりました、倒した?
ズズズンッ!! と重い音が鳴り響き本当に静かになりました。
リリはもう満腹なのでさっさとお兄さんを探しに行きましょう。
大蠍から這い出して大蠍が死んでいるのを確認した後リリは飛び立ちました。
お兄さん、リリが行きますよー!




