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桜色の盾  作者: 白兎 龍
第一章 魔境
19/59

第18話 蜂の巣で

第四位階中位



 女帝の間を出て少しのところにある広間に着くと、そこにはエリートが待っていた。



「ミツキ.....」



 エリートを抱え上げる。



「ミツキ?」

「歓待を受けることになった、準備に時間がかかるからそれまでは自由にして良いらしい、案内してくれ」

「ソウカ.....ウム、ワカッタ、ミツキハドコニイキタイノダ?」

「花園と蜜房、それから食糧庫かな、あとは.....幼虫と巣を拡張しているところがみたい」

「ワカッタ、マカセロ、スベテアンナイシテヤル」



 こうして、蜂達の巣を案内してもらうことになった。



「取りあえず蜥蜴の解体からな?」

「デハソトニイコウカ」






 ハグトスの解体は外にいた蜂達に任せる事になり、今はエリートに花園と果樹園へ案内してもらっている。


 場所は巣の真裏。

 巣の大きさは小さな町といったくらいで、回り込むには時間を要する、なので、巣をよじ登って行くことになった。


 巣の表面はでこぼこしている為登りやすく、単純に計算して俺百人分以上の高さを直ぐに登りきった。


 巣の天辺は広く、所々に大きな穴が開けられており、その穴から蜂達が頻繁に出入りしている。

 進むことしばらく、ようやく花園が見えてきた、その光景はーー


 仮に南東の森を蜂の森としよう。

 となると北東の森は花の森だ。

 さらに区分けするなら蜂の森の北から西にかけては暗き森、では残りの4分の1は?



 ーー名付けるならまさに花園と果樹園。



 高い蜂の巣の上だからこそよくわかる。


 遠くに飛竜連峰が見える、ここから飛竜連峰まではかなりの距離があるだろう。


 色とりどりの花がよく整備された花園は、飛竜連峰の麓まで続いていた。



「コレデイイノカ?」

「あぁ、もう....満足した」



 この花園を一つ一つ案内されたらそれだけで一週間くらいはかかるだろう。

 この景色を見れただけで十分である。




 続いて案内されるのは蜜房だ、天辺に開いた穴から入る事になった。


 穴から下を見下ろすと……。



「本当にここから飛び降りるのか?」

「……デキナイカ?」

「……」



 俺は100m以上の高さから飛び降りた。



「マサカホントウニトビオリルトハ……」

「……」

「ムゥ、スマナイミツキ、ホンノジョウダンノツモリダッタンダ」

「……はぁ……良いさ、結果的に無傷だったから」



 あの後、思考加速と魔力による身体強化で完璧な五点接地を決めた俺は無傷だった。

 後から魔盾や魔壁を足場にして降りれば良かったと気付いたが、後の祭りである。



「それで、ここが蜜房か?」

「ソウダ」



 蜜房は当然のようにハニカム構造になっているものかと思っていたが、そこには、大きな蜂蜜の池があった。



「コレガホカニスウカショアルガ、ゼンブマワルカ?」

「いや、良い」



 その池にはいくつかの柱があり、壁に続いていた。

 池に落ちたら溺れ死ぬかもしれない、柱に掴まれば助かる事もあるだろう、その為に柱があるのか。




 次に案内されたのは蜂の子の部屋だった。

 蜜房から出て直ぐの場所にあり、そこは俺の頭よりも大きなハニカム構造で出来ていた。


 六角形の中では、蜂の子がうねうねと動いている。

 蜂達が周辺を飛び交い、蜂の子達に黄色い塊や赤い塊を上げていた。



「カワイイダロウ?」

「ソウダネ、トッテモカワイイネ」



 少し触りたいと思ってしまうのは俺の悪い癖だろう。

 さらに子供だと思うと勝手に手が延びる、噛まれた。



「アァ、コラ、ミツキハタベモノジャナイゾ」



 エリートが声をかけると蜂の子は噛みつくのをやめた。言葉がわかるのだろうか?



「スマナイナミツキ、コノコラハウマレテマモナイカラ、スコシアタマガワルインダ、ユルシテヤッテクレ」

「ああ、構わない、面白い経験だった」



 少し柔らかく肉厚で弾力のある不思議な感触だった。






「あら、あなたがミツキさまですか?」



 唐突にそんな声をかけられ横へ目をやると、そこにはエリートの5倍。

 つまり俺と同じくらいの大きさの蜂が2匹いた。



「コレハヒメサマ、オジャマデシタデショウカ?」

「いえ、かまいませんわ、そのままミツキさまのごあんないをつづけなさい」

「ハッ、オオセノママニ」



 どうやら偉い人らしい。

 女帝が巣の主そして彼女らは姫様、一体どういった生態なのか非常に気になる。



ハニービークイーン LV2

US

『女帝の慈愛』

『■■の■■』


〈魔族LV5〉 ♀3

2ジョブ〈魔蟲LV5〉


変更可能ジョブ

〈魔物LV1〉

〈虫LV1〉


BP0




ハニービークイーン LV4

US

『女帝の慈愛』

『■■の■■』


〈魔族LV11〉 ♀9

2ジョブ〈魔蟲LV11〉


変更可能ジョブ

〈魔物LV1〉

〈虫LV1〉


BP0




 クイーンが2匹、クイーンとは女王のことではなかったか? 謎である。



「あなたがミツキ……そう」



 もう1匹のクイーンはそう呟くと蜂の子の入っていない空房に魔力を込め始めた。



「ワワッ!?」

「あら? もう、おねえさまったら……ミツキさま、ごめんなさいね。おねえさまはせっかちで……」

「……ちがう、はやくしごと」

「うふふ、そうね……それではミツキさま、またあとであいましょう……それとも、みていきますか?」



 魅力的な提案である、どうやって増えているのか気になっていた、当然見ていく。



「わかった、見ていこう」

「へ?」

「コ、コラミツキ!」



 ん? 何か駄目だったのだろうか?



「ス、スミマセン! ヒメサマ! ミツキハワレラノコトヲヨクシラナクテ、ホラ! ミツキ! イクゾ!」

「い、いえ! か、かまいませんわ! ……誘ったのはわたくしですから……ど、どうぞ! ご、ごらんになってください!」



 そう言うと良く話す方のクイーンも空房に魔力を込め始めた。



「ハワワ」



 何故だか慌てるエリートを横目に桜色の瞳を発動させて空房に魔力を込める様子を良く見てみる。


 クイーン達の魔力の、見える範囲でだいたい5割くらい。

 かなりの量の琥珀色の魔力がクイーン達の体内で渦巻き、空の六角形、空房に込められていく。

 何処か神秘的なその光景。


 喋らない方は魔力の流れが落ち着いているが、喋る方はかなり乱れている様だ。


 喋らない方も暫く眺めていると徐々に乱れていく、相当に難しい魔法を行使しているらしい。


 空房に込められていく魔力も、一見すると乱雑に乱れている様に見えるが、規律をもって流れていたらしい。

 徐々に複雑な構造の魔力の塊が出来始める、そして、空房内が一際強い輝きを放つと。



「はぁ、はぁ、はぁ」

「はひゅ、はふぅ、はふぅ」



 空房の中に光沢のある白く細長い塊が。



ハニービーエッグ LV1

US

『女帝の慈愛』

『■■の■■』


〈魔物LV1〉 ♀0

2ジョブ〈虫LV1〉


変更可能ジョブ


BP0




 凄まじい。


 感想はそれだけだった。



 魔力でユニットを生産する能力。

 恐らくこの空房自体にも何らかの構造的秘密があるのだろうが、ともかく、凄まじい。


 通常の蜂ならば特に驚く事でもないが、ハニービーたるこの蜂達がこんなにも簡単に産まれて来るのかと思うと衝撃的だった。


 魔力回復のスピードが俺と同じくらいだとするなら、4時間で2匹、24時間で10匹、それを二人でなら20匹。

 地図を見るとこの巣にはクイーンが5匹いる、1日で最大50匹のハニービーが産まれて来る。


 ……あれだけの広さの花園が必要な訳だ。



「……ハッ!? コ、コラ! ミツキ! イクゾ! ヒ、ヒメサマシツレイシマシタ!」



 クイーンが新たなハニービーを産み出す光景をじっと見詰めていたエリートは、突然声をあげると、俺を急かし引っ張り始める、俺はそれに従って歩きだす。


 後ろを見ると、相当に精神力を消耗したのか胴体を地面につけて荒い呼吸をするクイーン達。

 取りあえず手を振っておく。



「はぁはぁ、ミツキ……さま……はぁ……またあとで」



 広い空房に空いている通行用の穴を通り、クイーン達は直ぐに見えなくなった。

 そう言えば……いつのまにか作業中のハニービーがいなくなっていたが、餌や……じゃなかった、ご飯の時間は終わったのか?



「ミツキ」



 責めるようなエリートの声、まったくなにもかもわからん。





 次に案内されたのは食糧庫、そこには蜂蜜漬けの赤い塊と黄色い塊があった。



『ハグトスの肉団子』

ハグトスの可食部を団子状に纏めた物、防腐処理済み。


『花粉団子』

花粉を団子状に纏めた物



 通常の蜂ならば若い個体が花粉を食べ、体内でローヤルゼリーを作り、王台という女王蜂を育てる為の穴に入れる。

 それを食べて育った蜂が女王蜂になる。


 さらに付け足すと、女王蜂は複数の王台で複数育てられ、育ちきると分蜂するか、殺し会う。


 この巣は複数の女王蜂が女帝の元共存している。

 しかし、年齢が違うことや数が少ない事から、女王をそうホイホイと作れる訳ではない事がわかる。


 となると花粉団子は単なる嗜好品か?


 ローヤルゼリーも作られるのか?


 謎だ、やはり蜂が大きくなっただけではないようだな。



「ミツキサマ、ジュンビ、デキタ、クル」

「うん? そうか、わかった行こう」



 そう言って歩きだす。



「どっちに行けばいいんだ?」



 そう、頭の上にいるエリートに聞く、羽は治ったようでもう飛ぶ事は出来るが、何故か頭の上にいる。



「ミツキサマ、コッチ」



 声がする方を向く、そこにはエリートが。



「わかった、行こう」

「……ミツキ、マチガエタダロ」




ハニービーエリート LV2

US

『女帝の慈愛』

『■■の■■』


〈魔物LV18〉 ♀4

2ジョブ〈虫LV18〉


変更可能ジョブ


BP0




 この個体の様子を見るとエリートは本当の意味でエリートなのだろう。

 さすがエリートだ、さすがエリートである。



「ミツキ、マチガエタダロ」

「さすがエリートだ」

「オカシナゴマカシカタダナ」



 見た目的な変わりがない、当然声も似ている、そもそも考え中でなければ気付いた……。



「いや、悪かった」

「ウム、ユルソウ」



 楽しそうでなにより。



 

 



「はぁはぁ……み、みられてしまいましたわ、はぁ……ぜんぶ、あんなにじっくりと……あぁ、ミツキさま」

「はぁはぁ……あんなことをいうから……へんたい」

「ち、ちがいますわ! そんな事ありませんわ! はぁはぁ」

「へんたい」

「はぁ……おねえさまこそ、はぁ……ミツキさまにみられて、こうふんしていました!」

「……わたしもへんたい」

「……」

「……」

「きょうは、ここまでにしておこう?」

「ですわね、もうすぐのようですし」





「マチガエタダロ」

「悪かった」

「ウム、ユルソウ」



「……(……ナカ、ヨサソウ、イイナ)」




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