第三章予告~伝説の最高点~
美しい模様が描かれた剣を一振りするたび、血が舞う。
美しいのがまるで嘘かのように、嬉しそうに剣は踊る。
横たわる聖なるものであるべきな彼らの死体。
その現象を成し遂げた者はそれに目もくれずただ突き進んだ―――。
―――その先に、どんな恐怖が待ち受けているのか、少年は知っていたから。
『僕は負けるわけにはいかない』
ある者は、全世界からのしかかる責任と期待に応えるために、幾度となく剣を振るう。煌めく瞳は、決して揺るがない。
『ボクは、前からこの世界が好きじゃなかったんだよ』
ある者は、もう一度楽しかった昔の世界に、全てを原点に戻すために残忍に笑う。踊る髪は、運命の糸のように美しく輝く。
『我は―――もう後悔はしたくないのだ』
ある者は、同族を滅ぼすことに何のためらいもなく、ただひとつ自らの目標に向かう。全てを切り裂く雷は、ある時希望をもたらす。
世界を平和にした。
国王と信頼を築く。
国を救い、守った。
伝説に君臨する……―――――—。
幼い歳で驚くべき数の事々を成し遂げた少年を全世界の人々はこう呼んだ。
―――『伝説』と。
『僕が負けると思うかい? この剣を振り下ろすとき、世界は終わる』
少年は残忍に微笑んだ。
背後にいる少女はくすり、と優雅に微笑む。
『終わりだよ。君の野望が果たされることは無い』
剣を、振り下ろす―――。
『やらせると思うんですの―――?』
しかしそれはかなわない。戦いはもう少し続くようだ。
――――――今ここに『伝説』は最高点となって舞い降りる――――――
第三章の開始をお待ちください。




