13.ラインハルト家の受難:サンライズを『老いぼれ』と笑いものにしている間に人材流出
「父上、そういえば、ユオの村はどんな村なのですか?」
ラインハルト家ではユオの父親のガガンと、息子たちがワインを飲んでいる。
彼らはユオの追放劇を面白おかしく語り合っており、その中でユオの村が話題にのぼった。
「あれはバカ親父の気の迷いで作った村だ。禁断の大地を開拓するために配置されたが、私はそんな愚行に関与しておらん。もはや村民などほとんどおるまい」
ガガンはユオの村が生まれた経緯を話す。
そもそもは辺境の開拓のために、ガガンの父親、つまりは先代のラインハルト公が設けたものだった。
バカ親父。
先代と反りの合わなかったガガンは、未だに父親のことをそう呼ぶのだった。
「先代の……。しかし、そんな小さな村がどうして残っていたのですか?」
「禁断の大地であれば、すぐにひねりつぶされてしまうのでは?」
息子の一人が尋ねると、ガガンは眉毛をぴくっと動かす。
「今はどうか知らんが、あの村にはサンライズがいたのだ」
「サ、サンライズ? あの黄昏の剣聖ですか?」
「王立騎士団の団長だった、あのサンライズですか?」
ガガンの言葉に色めきだつ息子たち。
それもそのはず、剣聖サンライズの名前はこの世代にもしっかりと受け継がれていた。
なんせ王都に現れた悪竜を倒してしまった人物なのである。
王都には彼の名前を冠した広場があり、その中央には彼の石像まで建っている。
「そうだ。しかし、サンライズといえば、もう何十年も前の人物。晩節はバカ親父と一緒に辺境に住んでいたが、もう生きてはおるまい」
ガガンはそう言ってワインをぐっと飲み干す。
彼にとってサンライズは自分の剣の指導者ではあったが、とにかく厳しい人物だった。
自分の力を誇示したいガガンは何度となく、サンライズにぶつかった。
しかし、ガガンは一度たりとてサンライズにかなうことはなかった。
圧倒的な魔力を持ちながらも、戦いのセンスにおいて、ガガンとサンライズには天と地ほどの差があったのだった。
ガガンは先代が亡くなったあと、そりの合わないサンライズを禁断の大地の村の村長として任命したのだった。
簡単に言えば、左遷であり、追放である。
「あはは、たしかにそうですよ。もう90歳は超えているはず!」
「そんな老いぼれじゃ、村など守れませんね!」
「しょせんは終わった人間ですよ」
ガガンの言葉に大きな声で笑う息子たち。
彼らの声は広いラインハルト家の邸宅の中に響き渡った。
確かに常識では齢90歳を超えた老人が剣をふるうなど考えられない。
いくら英雄として慕われていても、王都を遠く離れたサンライズはもはや『過去の人』なのであった。
だが、彼らは知らない。
サンライズはユオの温泉によって体の不調を解消し、今、まさに復活しつつあることを。
彼らは王国の誇る人材をみすみす逃してしまっているのだった。
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