【Side】ナッシー・サイガ(レイの父) その2【★ざまぁ回】
……レイが出て行った、直後から、わしの受難は始まった。
それを、時系列順に、述べていこうと思う。
◇◇◇
あれは、レイが出て行って、直ぐのことだった。
「は……!? い、慰謝料の請求書ぉ……!」
わしのもとに、何通もの書類が届いたのだ。 どれも……他貴族からの、請求書類だった
「ど、ど、どういうことじゃ! なんの慰謝料なのじゃ!?」
書類を精査した執事が、滝のような汗を書きながら言う。
「こ、この書類によりますと……アリアル様が、他貴族と浮気していた……とのこと」
「は? はぁああああああああああああああああああ!? う、浮気ぃいい!?」
どういうことだ!?
「ど、どうやらどれも、婚約者のいる貴族からの請求書でございます」
「婚約者の居る貴族……だと……?」
「ええ。どうやらアリアル様は、お顔の整った貴族子息を誘惑し、恋仲になったと。それも……複数の男性とお付き合いしていたそうで……」
「な!? は!? こ、婚約者の居る貴族子息を、ゆ、誘惑!? ししし、しかも複数人とぉ!?」
なんだそれは!
聞いてないぞぉ!
「相手方の令嬢の家から、アリアル様が娘にあじあわせた精神的苦痛分の慰謝料を、支払うようにと……」
金額に目を通し、めまいを起こす。
とんでもない金額を請求されていた。しかも……複数家からだ。
「な、なぜ……なぜこんなにたくさんの家から請求書が届く!?」
「どうやらアリアル様は、だいぶ前から、色んな家の子息に手を出していたご様子です」
「なんだと!?」
デビュタントが15歳。
そこから……今日までの数年間、アリアルは他の貴族と浮気しまくっていた……ということか!?
「なぜ、今になってそんなことが発覚したのだ!? しかも……同時に!?」
「わ、わかりません……」
「わかりません、じゃあない! 調べろくそがぁ……!」
わしは執事に八つ当たりする。くそっ。
はあ……まあいい。
「慰謝料は、一条家からもらえる結婚支度金で、まかなうことにしよう」
王命により、あの屑のレイは、極東に嫁ぐことになった。
その支度金が、直ぐに手配されるはずだ。
しかも、王曰く、今回の縁談は、極東の王から、ゲータ・ニィガ王に持ちかけたものだという。
王家経由の依頼なのだ、さぞ……大金が振り込まれることだろう。
……そう、期待していたのだが。
数日後。
「なにぃい!? 支度金が振り込まれないだとぉおお!?」
極東王の書状には、今回の結婚にかかる支度金は、支払わないこととする、と書いてあったそうだ。
「金が払えないとはどういうことだ!?」
「こ、この書状には……『サイガ家は、娘が極東へ嫁ぐ際に、何も持たせていない様子だった。よって支度金は必要ないものと判断した』と、書かれております」
た、確かに……レイには何も持たせていない……。
支度に掛かった金なんて……ない……が!
「ふざけるな! その金がなければ、いったいどうやって慰謝料を支払えばいいというのだ!」
最悪だ。
あてが、外れてしまった……!
くそっ。
「ナッシー様……」
「なんだ!?」
「その……大変言いにくいのですが……」
「ええい早く言え!」
執事がもごもごと口ごもった後に言う。
「……タリンノさまも、浮気をしていたようでございます……」
……………………頭が、真っ白になった。
なんだ、それは……?
わしの可愛い妻が、ほ、ほかの男と……う、浮気……?
「ま、誠か……?」
「は、はい……。そして、アリアル様の時と同様……慰謝料の請求書が……それも、複数人から……」
……なんて、ことだ。そんな……。
妻も、娘も……浮気をするような、女じゃなかったはず……。
「あ、アリアルたちを呼び出せ! 今すぐ! ここに!」
「は、はい……!」
執事が部屋から出てくる。
わしは心臓が、ぎゅううっと捕まれたような気持ちになった。
……愛する女達に、裏切られていたなんて。そんな……バカな……。そんなことって……。
しかも、どうして今発覚したのだ……?
全く同時期に、まるで、示し合わせたかのように……。
パリ、ポリ……。
「な、なんじゃ……? 何の音じゃ……?」
パリ、ポリ。パリ、ポリ……。
どこからか、謎の音が響き渡る。
乾き物を、食べてるかのような……そんな音……。
『おまえ。れい。いじめた。ぎるてー』
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