【Side】ナッシー・サイガ(レイの父) その1【★ざまぁ回】
わしの名前は、ナッシー・サイガ。サイガ伯爵家の当主だ。
わしには娘が二人居る。
可愛い可愛い、アリアル。
そして……全く可愛くない無能の屑、レイ。
レイを生んだ屑女、つまりあやつの母について、説明しておこう。
わしには元々恋人がいた。名前を【タリンノ】という。
わしはタリンノと結ばれ、子をなす予定だった。
だが、親の都合で、わしは好きでもない女と結婚させられることになった。
結婚相手の名前は、【ノーアル・カーター】。
帝国の貴族、カーター家の長女だ。
たしかに、ノーアルは名門カーター家の令嬢。そことくっつくことで、サイガ家の力が増すという理屈は、理解できる。
親の狙いは理解できるが……ムカついた。わしらの恋路を邪魔されたからだ!
しかも!
ノーアルのやつが生んだのは、魔力のない無能の屑だった!
魔法がすべてのこの西の大陸において、魔力を持たない子供に、人権なんてありはしない!
そんな屑を家に置いていたら、家名に傷が付いてしまう。
わしは屑のレイと、屑を産んだゴミのノーアルを、徹底的に虐げた。
結果、ノーアルは死んだ。まあわしは悪くない。悪いのは、名門の生まれのくせに、魔力なしの屑を産んだこと。
レイは名門カーター家の血を受け継いでる。とても才能を持った女が生まれるだろうと期待してやったのだが……結果が魔力ゼロのゴミ屑。
虐げられて当然だし、そんなゴミを産んだ女なんて死んで当然だ!
ノーアルが死んだあと、わしはタリンノと結婚し、子供をなした。
それが、可愛い可愛いアリアルである。
アリアルは、まあちょっと、わがままだ。タリンノに似てるんだろう。
愛する女と、同じ気質を持って生まれた我が子が、可愛くないわけがない!
多少のわがままも目をつむることにした。
アリアルがほしいといったものは全て買い与えた。
アリアルには最高の教育を受けさせてやった。最高の家庭教師を付けてな。……まあ、ちょっと学習意欲に乏しかったが(いつも授業をサボタージュしていたし、授業中寝たりしていたりしたが、まあご愛敬だ)。
一方で、屑のレイには教育なんて一切受けさせなかった。
当然だ。魔力の無いゴミに、教育なんて受けさせて何の意味がある? ゴミなんだから、意味ないだろ、教養とか。
しかしあのゴミは、アリアルの授業を毎回盗み聞きしてやがった!
しかもアリアルがサボった後、途方に暮れてる教師に、質問したり、逆に授業を受けるなどということまでしてやがった!
無能なくせに、盗み見とか、ほんと屑だな! とわしは思ったものだ。
盗み見を発見する都度、わしはレイを叩いて教育した。おまえは屑だから、教育なんて必要ない。
おまえはゴミなんだから、いくら頑張っても無駄だ。
そうやって、言葉で、拳を交えて、何度も何度も、わしはやつに教えてやった。己がどういう存在なのかをな!
……そして、数年が経ち、レイが成人した。
わしらの元に王命が下される。サイガ伯爵令嬢、極東へ赴き、一条家当主と結婚しろという内容のもの。
一条家の当主は、極東の悪魔と呼ばれているらしい。
また、極東は妖魔と呼ばれる恐ろしい化物のはびこる、悪魔の巣だと。
可愛いアリアルを、そんな恐ろしい悪魔の巣に放り込むことなんてできるわけがない!
ということで、わしは居なくなってもぜーんぜん困らないゴミ屑である、レイを送ることにしたのだった。
……だが、わしは思い知らされることになる。
わしの下した選択、そして、わしのレイへの仕打ち。すべて……誤りだったことに。
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