10 屍の鬼 2
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
井氷鹿さまの毛皮を、王家に献上することにした。
朱乃さんの運転で、私、そして、しきさんは、王城へとやってきた。
王である、九頭竜白夜さまに、井氷鹿さまの毛皮を献上したところ、大変喜ばれた。
そして、城の中にて。
私たちは、科学班の研究室へとやってきた。
「レイ」「やぁレイ君!」
サトル様が、研究室にもいらっしゃったのだ。
サトル様の隣には、小柄な、桃色髪の少年が立っている。
白衣に、眼鏡の宝具を身につけたその御方は、四月一日 百春さま。
四月一日家のご当主さまであり、しきさんの旦那様だ。
「レイくーん! ひさしぶりじゃあないかっ!」
百春さまは私に抱きついて、スリスリと頬ずりをしてきた。
し、しきさんが居る前でそんな……堂々と浮気だなんてっ。
「いけませんっ! しきさんという、素敵な女性がいらっしゃるのにっ。浮気なんてっ!」
「しき?」
ひょこっ、と百春さまが背後を見やる。
私も振り返る。きっと、夫に浮気されたと思って、不安がってるにちがいない……。
「腐腐腐……二人きりの研究室……。くんずほぐれずサト×モモ……腐腐腐……♡」
あ、あれ……?
全く不安がっていない。むしろ、よだれを垂らして、夢見心地の表情をしてる……。
「なんだ、しき。いたの? てか、どうしたんだい?」
はっ、としきさんが我に返る。
「あなた、今日も研究所にお泊まりでしょう? 替えの、白衣を持ってきました」
「ああ、そうかい」
ああそうかいって……それだけ?
「それよりさっ! レイ君きいたよっ。ザシキワラシが出歩いてたんだって!? 霊源解放を使ったわけでもなく出歩くなんてどういうことなんだいっ!?」
ぐいぐいくる百春さま。
しきさんに対して、ちょっと冷たいような気がした。
「あ、あの……」
「なんだいっ」
「奥様がいらっしゃる前で、こんなふうにくっつくのは……ちょっとよろしくないかなと」
夫が他の女とベタベタするのは、しきさん的にはよく思わないだろう。
「しき、別にいいよな? レイくんと仲良くしても?」
「ええ、もちろんですわ。お好きに」
しきさん……微笑んでいる。
嫌がってる様子はない。
……お好きにって。嫌じゃないのかな。
「おいいい加減にしろよ」
サトル様が百春さまを私から引き剥がす。
ぎゅんっ、とサトル様は私に勢いよく近づいて、抱きついてきた。
……ほっ。彼の腕の中が、一番……落ち着く。
ドキドキするのは、前からだけど。でも……落ち着きもするのだ。
「レイは俺のだ。誰にもわたさん」
「熱いね~。さすが新婚」
そう、そうだ。
夫的には、奥さんが……一番じゃあないのかな……?
奥さんも、夫に一番って思って欲しいものじゃあないのかな……。
「レイ。もう帰ろう。今日は遅い」
「というか、なんでこんな遅くまで城にいたんだい?」
私は井氷鹿さまの毛皮を届けにきた旨を話す。
その際、りさと姫に捕まってしまい、話し込んでいたら、こんな時間になってしまったのだ。
「神霊の毛皮!? そんな超貴重なものがっ! 王にさっそくサンプルもらってくりゅー!」
だっ……! と百春さまが駆け出す。
「あ、しきもう用事無いから帰って良いよ!」
「ええ、わかりましたわ」
……やっぱり、ちょっと百春さま、しきさんに対して対応が雑な気がした。
「あの……大丈夫ですか?」
私は思わず、しきさんに声をかける。
「大丈夫、とは?」
「だって……あんな風に冷たく当たられて……ツラくないかなって」
きょとん、とした表情のしきさん。
「もしかして……わたくしを、心配してくださってるのです?」
「え? あ、はい。もしかしなくても……」
するとしきさんは、ふふっ、と笑う。
「ありがとうございますわ、レイさま。でも……大丈夫です。わたくし……慣れてますので」
「慣れてるとおっしゃっても……心は痛いはずです」
「まぁ……レイさまは、噂通り、優しいおかたなのですね♡」
ふふふ、としきさんが笑う。
本当に、傷ついている様子は……不思議と無かった。
「しき。おまえも四月一日家に帰るのだろう。車に乗ってけ。送っていくぞ」
「ありがとうございますわ、一条さま。腐腐……サトル×真紅郎が見れる……腐腐腐……」
「真紅郎は先に帰ってるぞ」
「なん……だと……」
この世の終わりみたいな表情で、しきさんがその場に崩れ落ちる。
さ、さっき百春さまに冷たくされたとき以上に、ショック受けてる……。
私、しきさんが……わからない……!
「大丈夫ですか……?」
「腐、腐腐……大丈夫です。リアルのからみが見れずとも、サトル×真紅郎×百春さまの3■を想像するのもまた乙……腐腐腐」
さ、さん……ぴー?
なんだろう……。
「レイ。やつの言葉に耳を貸すな。耳が腐る」
「腐腐腐……ええ、わたくし腐ってますゆえ……最初から……♡」
な、何はともあれ……私たちは、朱乃さんの運転する車で、帰ることになったのだった。
【☆★おしらせ★☆】
先日の短編
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