プロローグ
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
私の名前はレイ・サイガ。
サイガ伯爵家の長女として生まれた。
魔法絶対至上主義の、西の大陸において、生まれつき魔力を持たない私は、無能令嬢として、父や妹、そして周囲から蔑まれてきた。
そんなある日、王命により、東の果ての地、極東に住む【一条 悟】さまのもとへ嫁ぐことになる。
極東の悪魔という恐ろしいあだ名をつけられた彼は、しかしとても優しい御仁だった。
私は極東の地で、サトル様とともにくらしながら、自分に三つの異能があることが判明する。
異能殺し。饕餮の異能。
超幸運。ザシキワラシの異能。
模倣。鵺の異能。
体に妖魔をやどし、異能を操る異能者たちの住む社会に置いて、私は希有ではあってもしかし異端ではなかった。
優しい一条家の皆さん、そして……愛すべき夫となる御方、サトル様とともに、私は今日も楽しく過ごすのだった……。
◇◇◇
季節は12月。
こちらでは師走というらしい。
極東でも、西の大陸と同じで、季節が12に別れてる。
師走の初旬、早朝。
私は……ふと、目を覚ます。
「んんっ……! よく寝たぁ……」
こっちに来てからよく眠れるようになった。
温かい寝床で暮らせるようになったからだろう。
サイガの家では、ボロボロの物置で暮らしていたから。
それと比べれば、屋根があって、壁があって、羽毛のお布団のあるこのお部屋は、まるで天国のようだ。
「あ……」
しかし、私は物足りなさを覚える。
……いつもなら、隣にサトル様が眠っているはずだ。
けれど……彼がいない。
「まだ……夜廻りから帰ってきてないのかな……」
この極東には、妖魔という化け物が存在する。
妖魔は夜の住人だ。
それゆえ、妖魔を退治する異能者達の主なる活動時間は、夜となる。
サトル様は夜廻りといって、夜に出没する妖魔を倒すお役目を、極東王から命じられてるのだ。
「…………」
ふと、サトル様の羽織が、布団の上に置いてあるのに気づく。
……サトル様の、羽織。
私は、それを手に取って、羽織る。……サトル様に包まれてるような気持ちになって、少し……ほんの少しだけ、さみしさが紛れた。
でも……足りない。
「サトル様……」
こちらに来て、色々あって、私はサトル様と相思相愛となった。
無能な私を、否定せず……受け入れてくれる。とても優しいあの御方のことを……私は、好きになっていた。
……前は。サトル様を見てるだけで十分だった。
でも今はそれだけじゃあ足りないのだ。
ぎゅっとしてほしい。
手をつなぎたい。
……き、キス、したい。
色んな【したい】という気持ちが、彼を見ていると、わいてくる。
「サトル様……早く、帰ってこないかな……」
二度寝する気にもなれなくて、私はふすまをスッ……と開ける。
「わぁ……! すごい……! 真っ白っ」
一条家の庭には、こんもりと雪が積もっていたのだ。
昨日には、全く雪が積もっていなかったのに。
一日でこんなに雪がつもるなんてっ。
西の大陸でも、四季がある地域はあった。
特に私の居たゲータ・ニィガの王都は、冬に寒く、そして降雪もかなりあった。
雪は……好きだ。
綺麗だし。静かだし。それに……。
サトル様の、御髪と同じ色をしてる……なんて。
「皆さんが起きる前に、雪かきしちゃおうっと」
黒服の皆さん、明日になればきっと雪かきで大変苦労するだろうから。
さくっと雪をかいてしまおう。
いつも黒服や、サトル様にはお世話になってるし。
私は雪かき用のシャベルやスコップを探す。
けれど、見つからない。
「おかしいな……。ゲータ・ニィガだと、一家に1本は、シャベルがあったのに。それに、雪用の長靴もないなんて」
ひょっとして、極東の東都(中心都市)では、あまり雪が降らないのだろうか。
雪かき用の道具がないのは、困った。どうしよう……。
「あ、そうだっ」
私には……とても便利な道具があるじゃあないか。
私は右手を前に出す。
「【饕餮】!」
私は自分の裡にすまう……妖魔に呼びかける。
極東の人たちは皆、体の中に妖魔を飼ってる。
妖魔に霊力を流し込むことで、妖魔のチカラを使用する。それが、異能の仕組みだ。
妖魔、饕餮の異能は、異能を含めた万物を食らう力
私の目の前に黒い空間の穴が空く。
ヒュゴオォオオオ……! と穴の中へと雪が吸い込まれていく。
庭に降り積もった雪が、綺麗さっぱり無くなった。
「これでよしっ」
黒服の皆さんが、朝寒い中、ツラい雪かきをせずにすんだ。
ほっ……と安堵の息をつく。
「屋根の上にも雪が積もってますね」
ゲータ・ニィガは降雪量が多いので、わかるのだ。
雪かきのつらさ、危険さ……むなしさ。
雪かきの何が嫌かといえば、頑張って雪をかいても、日が出れば解けてしまい、その頑張りが形に残らないことだろう。
雪かきはツラい。だから……黒服の皆さんにそんな思いをして欲しくない。
屋根の上の雪も、饕餮で喰らっておこう。
その前に、屋根上に行かないと。
「【結】!」
私の足下に、球体状の結界が出現する。
これは……本来はサトル様の異能、【霊亀】だ。
霊亀には結界を作る能力がある。
異能は基本、一人につき1つ。
でもではなぜ、私がサトル様の異能を使えるかというと、もう一つの異能、【鵺】のおかげだ。
鵺の異能は、模倣。
喰らった妖魔のチカラを、模倣し使えることができるである。
私はサトル様の異能を模倣していたので、霊亀で結界が作れるのだ。
空中に、いくつもの結界の球体を作る。
「よっと」
結界を足場にして、ぴょんぴょんっ、と空を駆ける。
サトル様が前に、こうしていたのを拝見したのだ。
あの御方がいる前でやろうとすると、危ない! ととても怒られてしまった。
なので、こっそりこうして使ったのである。
「よいしょっと」
屋根の上に到着した私は、饕餮の異能を発動。
ひゅごおぉお! と屋根上の雪も一瞬で吸い込んだ。
「うん。オッケー。饕餮があると、雪かきがとても楽」
いつもなら何時間もかかるだろう雪かき作業が、あっという間に終わってしまった。
「…………」
まだ、サトル様が帰ってくるまでには時間がある。
「ご近所さんの、雪もかいておこうかな」
ぴょんっ、と私は屋根から飛び降りる。
結界で足場を作って、ぴょんぴょんっ、と跳ぶ。
塀の向こうへと着地する。
歩道は完全に雪で沈んでしまっていた。
「【饕餮】!」
ひゅごぉおおお! と私は雪を吸い込んでいく。
屋敷の前だけでなく、歩道も、車道も。
ご近所の掃除するだなんて、その……に、新妻みたい……。
それに……雪かきしたら、サトル様……ほめてくれるかも。
「が、がんばろっ」
私は饕餮を使って、屋敷の周りの雪を吸い込んでいくのだった。
お待たせしました、第二章開幕です!
更新頻度についてですが、今までの基本的には毎日1話、18時に更新していくつもりです。
5話分くらいストックがありますので、安定して、お出しできるかと思います。
第二章もどうか、読んでいただけますと幸いです。
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