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荒れ狂う山の神


 いつきさんに、説得を試みる。

 同じ言葉を使い、同じ心を物同士なら、きっと……。


「……………………」

「いつき……さん?」


 しゅうう……といつきさんの体から煙が立ち上る。……私は、とっさに手を掲げ、霊力を注ごうとする!


「辞めときな」

「でも……!」


 わかってる、何度も見てきた。

 その煙は……妖魔が滅されたときに出るそれだ!


 いつきさんの体が薄くなっていく。


「白面様は全ての陽なる存在を憎んでいる。おれが滅されるのは……まあ、そういうことだ……」

「そ、んな……」


 白面の憎しみが、いつきさんを滅しようとしてるってことだ。

 私は……直感的に理解する。いつきさんのうちに、まじないが施されてることを。

 しかも、強力な呪だ。それでも……!


呪禁じゅごんぞん……」

「辞めろ……!」


 いつきさんが声を張り上げる。術が……キャンセルされる。


「あんたのそれは、しばらく異能を使えなくするんだろ。辞めとけ……」

「でも……」


 それじゃあ、この人は……死んでしまう……。


「泣くなよ」

「だって……」

「……そうか。死は、悲しいのか。……わりぃことしちまったな」


 それは、自分がその魔眼で殺してきた人たちへ向けられ、発せられた言葉だったんだろう。

 目を伏せて、小さく……まるで絞り出すように言う。


「……ごめんなさい」


 しゅうう……と、煙が立ち上る。後には……何も残らない。

 そう……妖魔は、滅するとなんにも残らないのだ。なんて、可哀想な存在なんだろう……。


「レイ……」


 ひのわさんが近づいてきて、ぎゅっ、と抱きしめてくれた。

 泣いてる私を慰めてくれてるんだろう。

 

「ごめんなさい……弱くて」

「……ううん。あんたは強いよ。それに……人は死んだら泣くものよ」


 ……ひのわさんがそうつぶやくと同時に、我慢ができなくなった私は、彼女の腕の中で涙を流すのだった。

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