荒れ狂う山の神
私たちは信濃へ、山の神のピンチを救いに来た。
色々あって、信濃へは到着できた。けど……
山の神は【野槌】へと変化し、暴走しだした。
さらにそこに、サトル様の父上、家嗣さまが妨害に入った。
……恐らく、野槌になってしまったのは、白面によるものだろう。
……白面。大昔に存在し、今は封印されてるという、大妖魔。
どうしてそんな妖魔が、山の神に酷いことを……?
そんなことをして何の意味が……?
「レイ! 何ボウッとしてるの……!?」
考え事をしてると、前方から突風が吹いた。
思わず後ろへと吹き飛ばされるほどの勢い。
「っと!」
「ひのわさん!」
空中に放り出された私を、ひのわさんがキャッチしてくれた。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして……またなんか余計なこと考えてたわね、あんた」
「う……はい」
何でバレてしまうんだろう……。
「何でバレてしまうんだろうって考えてるでしょ?」
「す、すごい……ひのわさん、りさと姫みたいです」
姫には覚という、心を読む異能が宿っている。
彼女と同じことができるなんて……まさか二重異能持ち? ひのわさんも。
「違うわよ。あんたは……心が清らかすぎて、でちゃうのよ、思ってることが顔に」
「な、なるほど……そうだったんですね……」
「そうよ。気をつけなさいね」
「は、はひ……」
……さて。
状況を整理しよう。私は現在、ひのわさんに抱っこされてる状態だ。
信濃の北部、その上空。
「って、ひのわさん? 空飛んでるっ! どうやってるんですか?」
「簡単よ。火薬をもやし、その推進力で跳んでるの」
ひのわさんの足下には黒い輪っかがくっついていた。
輪っかの周りには火花が散っている。
多分今彼女が説明したとおり、【火車】の異能で爆発を起こし、それで飛行を可能にしているのだろう。なんて……器用なんだろう。
「すごい……」
「フフン、でしょう?」
「はい! こうかな」
私は火車を模倣してるので、やってみることにした。
私の足下に車輪が出現する。
「わ、できた!」
「………………そう」
ああ、ひのわさんが落ち込んじゃった!
わ、私がまた何かをしてしまったんだろう……。何を……。
『ひのわ。気にしちゃいかんで。レイちゃんは特別やからな』
「……わかってるわよ。わかってる。わかってるってば……」




