【Side】一条 悟 5
俺の家族、最愛の人……レイ。
彼女は呪禁存思という、蘇生の秘術が使える。
仮に、俺が死んだとしても、レイが絶対に生き返らせてくれる。
その信頼が、俺に勝利を運んできてくれたのだ。
やっぱり……レイは凄い。あの子が来てから、良いことしか起きない。
俺の、幸運の女神さまだ。
「ぐ……くそ……が……」
がくんっ、と家嗣が膝を突く。
何度も立ち上がろうとして、失敗してる。それはそうだ。俺の拳が、やつの顎をくだいたのだから。
脳しんとうで動けないはずである。
「くそっ……! 計算外だった。まさか……」
「能力頼りの、非力なガキだったのは過去のことだ」
俺はレイを守るために、百目鬼兄妹に頼んで、体術を教えてもらっていたのだ。
レイの存在、そして……俺の進化。
家嗣が負けた要因は、おもにその二つだ。つまり……
「お前の敗因は、家族を、蔑ろにしたことだ」
「グッ、ちくしょうが……!」
家嗣が懐から呪符を取り出す。
「覚えてろ、悟……! 次あったときは、おまえを完膚なきまでに叩き潰してやる……!」
家嗣の姿が揺らぐと、その場から消える。
どうやら転移の術が込められた、呪符みたいだった。
……はぁ……。
「つ、かれた……」
俺はその場に崩れ落ちる。
なんとか家嗣を追い返すことができた。
……奴は強かった。でも……レイがいたから、勝てた。
ほんと、俺はレイに何度感謝すればいいのだろう。
何度、あの子に窮地を救われたことか。
「ありがとう、レイ。本当に……」
急激な眠気に襲われる。ヤバい……血が、出過ぎた。
体が冷たくなる。まずい……。
そのときだった。
ふわり……と、俺の目の前に、黒髪の美少女が現れる。
「レイ……!」
「れいかとおもった? 残念、薄幸の美少女ヒロインの幸子ちゃんでした」




