表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/265

信濃の国


 虫怪を、つぐみさんとタオさんの異能で打ち消すことに成功した。


「山の神を早く助けにいきましょう」


 と、そのときだった。


「そいつは困るね」

「!?」


 ……いつの間にか、その人はいた。

 サトル様に似た、黒い髪の男性に……私は見覚えがあった。


家嗣いえつぐ……!!!!!!!!!!!!」


 ……サトル様のお父様。

 一条 家嗣いえつぐさまが、そこに居たのだ。


「お父様って言えよ、現当主さま」


 ニマニマと笑いながら、家嗣いえつぐさまがそう言う。

 ……私は彼を知ってる。


 過去の世界で、私は彼と会った。

 そして……一条家の因縁を、聞かされた。


 守美すみさまを殺した張本人。それが、彼だと……。


 母を殺されたサトル様にとっては、家嗣いえつぐさまは、最大の敵。

 それが目の前にいるのだ。


 殺したくて、仕方ないのだろう。でも……彼は前に出ずに、私の側にきて、手を広げる。

「なんだ、存外冷静じゃあないか。いいんだぜ? お父様に切って掛かってきてもよ」

「……何が目的だ」


「何がって……?」

「あんたは一体何をしに、ここへ来た?」


 ……サトル様は警戒なさっている。

 ひのわさんたちもだ。


「ま、しいていえば……足止め、かな。あれが暴れる間、おれはおまえらを止めなくちゃあいけない」

「あれ……?」


 その瞬間、ずずぅうん……と。

 何か、鈍い音が響き渡る。


 ごごご……と地面が揺れ動き出す。


「!? サトル様……とてつもない、大きな邪気を感じます!」

「へえ、さすが嬢ちゃん。ここからでもわかるんだな」


 ……なんという、大きな邪気。

 まるで、信濃を飲み込むほどだ……!


「山の神を妖魔に堕としたんだ」

「妖魔に墜とした、だと!?」

「ああ。今北信の寺にいるのは、山の神じゃあない。それが墜ちた妖魔だ」

「そんな……」


 ……山の神は妖魔墜ちしてしまったようだ。

 理屈はわからない……けど。この大きな邪気の持ち主が、暴れたら、トンデモナイ事態になる。


「あれをしばらく暴れさせるために、俺は今からちょいと、おまえらを足止めさせてもらうぜ」


 家嗣いえつぐさまは、両手に何も持っていない。

 けれど……私たちは、知ってる。過去の世界で、彼の……強さを。


 彼は、霊力ゼロの人間だ。それゆえに、超人的な力を持つ。

 侮っていい相手ではない。


「ひのわ、真紅郎、レイを連れて山の神の元へ行け」

「…………!」


 ……サトル様がお二人を見て言う。

 お一人で、家継様を相手にするの……?


 どうして……?

 はっ……! と私は、彼の目を見て理解する。


 彼は……私に、暴走する山の神を止めて欲しいんだ。

 いや、止められるのが、私だけしかいないと、思ってるんだ。


 信じているんだ。私なら……できるって。


「いきましょう!」

「でも……」


 ひのわさんはここへ残りたいのが伝わってくる。愛する人を心配する気持ちは理解できる。でも……。


「今は、アレを片付けるのが先決です。いきましょう!」


 ひのわさんは私がそういうと、うなずいてくれた。


 ……サトル様、ご武運を!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ