信濃の国
……ここが信濃。かなり、緑の濃い場所だ。
西の大陸も森や山が多いけど、こっちもかなりのものである。
しかも、四方を高い山に囲まれている。
背の高い木々が多く、少し歩いただけで、迷子になりそうだ。
「それにしても……かなり陰の気が、濃いわね」
ひのわさんがつぶやく。
少し……体調が悪そうだ。
「大丈夫ですか?」
わたしはひのわさんに近づいて、陽の気をながす。
「うん、大丈夫。もとよりあたしらは、男より陰の気への耐性が強いから」
「そうなんですか?」
「そ。女は陰の気が多いから」
「なるほど……」
そういえば、そんなことを百春さまから聞いたことがある。
霊力は陰と陽、二つの性質を持つ。
そして人間は、男性なら陽の気、女性なら陰の気に、性質が傾いてると。
「でも……じゃあどうして、さとるんと真紅郎さんは平気そうなんでしょうか?」
サトル様達はこの中でも、平然としてる。
「そりゃ、俺は霊亀の異能で全身を包んでいるからな」
霊亀の結界に守られてるから、陰の気の影響を受けないと……。
あれ?
「では真紅郎さんは?」
彼は防御結界を持っていないのに……。
「ご心配どうもありがとうございます。私の場合は、体内妖魔である吸血鬼の影響で、陰の気をあまり受け付けないのです」
……説明して貰っても、いまいち、ピンとかなかった。
吸血鬼の異能は、吸血鬼っぽいことができるとうかがった。
そこまではわかる。……問題は、吸血鬼の異能をもってして、どうして陰の気の影響を受けないんだろう……。




