山の上の戦い
幸子ちゃんがお助けにやってきてくれた。
「レイはちょっとときめくと、霊力ぱねえことになる。OK?」
……幸子ちゃんは時々、不思議な言葉を使う。
でもまあ、ニュアンスは伝わる。
サトル様を思うとき、霊力が跳ね上がってしまうのだ。これをどうにかしたいのだけど……。
「そんなあなたに、じゃーん。これをぷれぜんと」
「指輪……?」
幸子ちゃんが取り出したのは、1つの指輪だ。
「井氷鹿にもらったった」
「井氷鹿さまから……?」
以前、私のもとへやってきた、神霊のかただ。
「うち、友達多い。井氷鹿に頼んだら、もらった。霊力を蓄える宝具」
「! そんな凄いものを……井氷鹿さまはくださったのですか……?」
「うぃ。喜んでくれた。井氷鹿、ちょーレイのことおきにゆえな」
……ありがとうございます、井氷鹿さま。
とても助かります。
私は心の中でお礼を言いながら、指輪を受け取る。
そして……指輪をはめる。
すると溢れていた霊力が、指輪のなかに、吸われていくのがわかる。
「古来、指輪は、魔の力をよく吸収する。円環のなかを回ることで」
「へえ……そうなんですね」
体の中の霊力が、この指輪へと流れているのが、体感的にわかった。
これで霊力が暴走することはない。
「ありがとう、幸子ちゃん」
「なんのなんの。おたすけ幸子マンなので」
幸子ちゃんは本当に優しい子だ。
ふだんちょっと悪戯好きなところあるけども。
「てか、あんたいつの間に井氷鹿のところいってたわけ?」
と、ひのわさんが尋ねる。
「うち、霊道通れる。自在に」
「なるほど……それで井氷鹿のところに、一瞬で飛べるってわけね」
「うぃ。神出鬼没なミステリアスガールの、特殊能力」
なんにせよ、これで霊力暴走のリスクは消えた。
任務に集中できる。
「ん? レイの霊力がやばいことって、前からわかってたんでしょ? ならもっとはやくに、井氷鹿のところいってりゃよかったんじゃあないの?」
「…………………………………………」
スッ……と幸子ちゃんが顔をそらす。
「うごくの、めんどっち」
……霊道を使うのが面倒くさかったから、近場で済ませていたんだろう。
「ま、ささいなもんだいですよ。さぁ、山の神を助けにいきましょう」
「あんたが仕切るのかよ……」




