山の上の戦い 1
……私たちは霊道を通り抜ける。
霊道を使うことで、信濃に入れたはず……なのだけど。
「え……?」
地面に足が着かない。
なんだ……この浮遊感……?
と思った次の瞬間、凄まじい速度で、私たちは下へと落ちていた。
「は……!?」
え、なに? どういうこと?
なんで……空の上……? え、え……? えええっ!?
「れい。おちけつ」
「幸子ちゃん!?」
ザシキワラシの幸子ちゃんが、いつの間にか、目の前に出現していた。
彼女は上下逆さまになっている。
「霊道、信濃の上空に開いた。ゆーたち、落ちてる。このままだと頭から落ちて大けが。それだけの話」
「な……!?」
めちゃくちゃ大変な状況だった!
こんな中で落ち着けるわけがないっ!
「【霊亀】!」
サトル様が結界で、私たちを空中で受け止めようとする。
けれど、落下速度が速いからか、私たちを捕らえられない。
眼下には森が広がってる。湖などが都合良くあれば良かったのに………。
このままでは、全員死んでしまう……。
そんなのは、嫌だ……!
「タオさん! 霊力を解放して……!」
ごぉお! と私の体から霊力がほとばしる。
「【守美】さま!」
私は鵺さんでコピーした、霊亀の異能を使う。
霊亀の真名……守美さんを。
私たちの落下地点に、ドーム状の巨大な結界が展開する。
私たちが結界にぶつかると……。
ぼよぉよぉお~~~~~~~~~~~~~~~~~ん……!
っと、私たちの体が、ドームに弾かれる。
結界はまるでゴムのように柔らかかった。
何度も、私たちはゴムの結界の上に落ちる。そのたびに、落下の勢いが殺されていく。
「なるへそ。結界の性質を、ゴムに変化させたんだね?」
ぽよんぽよんとしながら、幸子ちゃんが言う。
結界はこうして、性質を変化させて使うことができるのだ。
真名を使うことで、さらに大規模に、かつ、複雑な性質変化を加えた結界を、作れるようになる。
「さすがれいたんだ……! 俺よりも、遙かに優れた結界師だな!」
「てゆーか、こんな大規模な異能を使ったら……」
ざぁぁああ……! と、森から、何かが押し寄せてくる。
鳥のように見えたそれは、妖魔の集まりだった。
これだけ大きな霊力を使ったのだ、妖魔に感づかれてしまうのは仕方ない。
「ここはあたしに任せなさい!」
「私も加勢いたします」
ひのわさんと、そして真紅郎さんのお二人が、相手をしてくれるようだ。




