霊道の中 2
私たちは霊道の中を進んでいた。
進む、と言っても、私たちはその場から動いてるわけじゃあない。
目の前には青く流れる、霊力の川。
その流れに身を委ねてるような形だ。
歩こうとしても、そもそも地面がないので、自分の意志で前に進めない。
「くーこーの、うごく床的なサムシング。もしくは、ドラちゃんのタイムマシーン的な」
「まーたこのおちびは、訳わかんないこと言ってるわよ……」
私の頭の上に幸子ちゃんが乗っている。
どうやら幸子ちゃんは、霊道を通った事がある様子だ。
ひのわさんはため息をつく。
「これで本当に信濃に行けるわけ?」
「いける。霊道、人間の世界で普通に信濃に行くより、早く行ける」
「なんでよ?」
「力の流れに乗れるから」
どうやらこの青く流れる、霊力の川のことを言ってるらしい。
確かに川を船でくだっていった方が、歩くよりも速く、目的地に付けるだろう。
「でもこれ……なんだか霊力だけの流れじゃあないような……」
「するどいもののみかたですね」
私がそう言うと、幸子ちゃんが肯定する。
「これは、霊力だけじゃあない。広い意味での、パワー」
「ぱわー?」
「そー、パワー。見えない力。霊道を流れる」
なるほど……。霊力以外も流れてるんだろう。
「なによ見えない力って」
「ばかにはみえない」
「ケンカ売ってるの? ねえ、ケンカ売ってるのよねそうよね!?」
二人は本当に仲良しさんだ。
一方、サトル様はしきりに周囲を見渡している。
「どうしたんですか?」
「襲撃されないか心配でな……」
確かに、霊道から外れると、全く別の場所に放り出されてしまうらしいし。
サトル様が警戒するのもうなずける。
……仲間のために周囲を警戒してくださる、サトル様……優しい……。
とはいえ、しばらくは敵による妨害はなかった。
「なんだか拍子抜けね」
『まあそもそも、霊道に入ってこられる妖魔は限られとんねん』
「へー、そうなんだ」
ひのわさんの頭の上で、日車さんがうなずく。
『強い霊力を持つ妖魔だけが、ここに来れるんや』
……裏を返すと、ここに来れる妖魔は、全員確定で、強い妖魔ということになる。
「火車はともかく、そこのおちびも強いの?」
ひのわさんが幸子ちゃんを指さす。
『一応大妖魔やで、一応』
幸子ちゃんがどや顔をしてるのが、見なくてもわかる。
「うち……さいつよ。運命を司る大妖魔だから」
「その割には戦いの時に居たり居なかったりするのはなんでなのよ?」
「いったりきたりしてるゆえ」
「はぁ~? どことどこをよ」
「作品と作品を」
「意味わからないわよ……」
和やかに会話してること、しばし。
「…………」
「どうした、レイ?」
私は、気づいてしまった。何かが変なのだ。
「幸子ちゃん、霊道を使うと、信濃に凄く早く着くんですよね?」
「うぃ。それがどしたの?」
「……まだ信濃に着かないの、変じゃあないですか。すでに出発してから、数時間もたってます」
具体的に、どれくらいの時間で信濃に着くかは聞かされていない。
けれど、さすがにこんなに時間掛かるのはおかしい。
これなら自動車で向かうのと、大差ない。
「れいたんは妖魔による妨害を受けてると、いいたいのだな?」
「はい。おそらくは」




