【Side】幸子
うちは幸子。物語の黒幕(自称)。
レイはうちの思惑通り、強くなったぜ。ふふふのふ……。
場所は、レイの霊廟の中。
うち、タオ、そしてつぐみの三人が顔をつきあわせていた。
タオは、ぷくぷくに太っていた。レイの霊力を食べ過ぎた結果だろう。
お腹ぱんっぱんに膨れ上がっていた。
「さっちゃん、これあなたの想定通りなの?」
じとっ、とした目をつぐみに向けられる、うち……!
「その……想定外。ここまでとはおもわなかった……」
「でしょうね……」
タオは、無限に近い胃袋を持っている。その胃袋が、キャパオーバー寸前になっているのだ……!
ありえない霊力の量である。
さっきは皆の前だったから、言えなかったけど、でも普通にうちは(タオも)ドン引きしていた。
「めえ……?」
「『どうしてレイの前でほんとのこと言わなかったか?』って。そんなの、かっこつけたかったからにきまってらい」
「めえ……」
「『しょーもな?』うるさいやい」
うちはかっこよくこう、アドバイスする、師匠的ポジションでいたいわけなんよ。
驚くのは、うちの格を下げることになるかなっておもったわけ。
だから全てを知ってるかんじでふるまったのだ。
「それにしても、やばすぎねレイちゃん……」
ぽんぽん、とつぐみがタオのお腹を叩く。
「タオの胃袋がこんな膨れるの、初めてみたわぁ」
普段タオは、普通の羊と同じくらいのサイズをしている。
でも……今の彼は、2mくらいに膨れ上がっていた。
無限胃袋を持っている彼が、ここまで膨れ上がったのである。
「なんでこんな霊力量ふえたのかしら?」
「霊力の仕組みを理解したからでしょ」
霊力は、心の高ぶりに呼応して、強くなる。
レイはそれを理解したのだ。
「仕組みを理解しただけで、こんなふうになるわけ?」
「ふふふ、今までのレイは、霊力っていう素材の味を知らずに、てきとーに鍋に素材を放り込んで料理を作っていた。でも彼女は、霊力という素材がドンナ味かを知った。より洗練された料理が作れるようになるとは思わんかね?」
「まー……言いたいことはわかるけどさ」
じとーっとタオがうちを見つめてくる。
「めえ……」
「『それはどこから得た知識だ?』って。ふふふ、秘密」
「めえ……?」
「『どうせどっかで読んだんだろ?』って。ちゃうわい!」
全く失礼な羊だ!
うちはタオのお腹の肉をつまんで、ぴろーんと伸ばす。
「こんなため込んだ霊力、いったいどこで使うのよ? タオは蓄えることはできても、消化はできないのよ?」
「だいじょーぶ。使い道は考えてある」
うちに……秘策あり……!
「ちょっと準備してくる。タオ、おくちあーんして」
んが、とタオが口を開ける。
うちはタオの口の中に入るのだった。




