久しぶりのイチャイチャ 1
「じゅーだいはっぴょー」
場所は、新しくなった、蛟さまの神域内。
西洋風のお城の庭。
鵺さんに抱っこされた状態の、幸子ちゃんが、手を上げる。
「あらどうしたのさっちゃん?」
つぐみさんが尋ねると、幸子ちゃんが言う。
「れいの、新必殺技の、デメリットについて情報を開示~」
確かにこれだけ凄い技だ。
なんらかのデメリットがあってもおかしくない。
呪禁存思を使うと、しばらく異能が使えなくなった時のように。
「どんなデメリットがあるんですか?」
「レイの、霊力が、からになります。時間経過で戻りません」
なるほど。そんなデメリットが。
「霊力が無いと妖魔と戦えんな」
とサトル様がおっしゃる。そのとおり。
妖魔を祓うためには、霊力を込めた攻撃が必要となるのだ。
「でも時間経過で戻らないって、どうすれば戻るんでしょう?」
ふふ、と幸子ちゃんが不敵に笑う。
……いたずらっ子のこの子が、こういう顔をするとき、たいていロクデモナイことが起きる。私は、経験則で知ってる。
「陰陽、です!」
「「陰陽……!」」
陰陽。それは、男の異能者と、女の異能者が、肉体的な接触をすることだ。
「しかも、のーこーな陰陽が必要です」
「「な、なるほどっ……!」」
……それはつまり、その、え、えっちなことが……必要ということだ。
そういえば、山の神救出ミッションの最中、私はサトル様と寝所を供にしていない。
真面目なミッションの途中だから。しょうがないと思っていた。
「れいたん」
「さとるん」
すすす、と私たちはお互い歩み寄る。
「霊力が無いのは、駄目だな」
「そ、そのとおりですねっ」
ぎゅっ、と私たちはくっつく。そう、これから山の神を助けにいくのだ。
霊力が無い状態で行っても、足手まといになってしまう。
「霊力を補充しないとな」
「ですねっ!」
サトル様も同じ気持ちらしい。
必要にかられて、陰陽をするのであって、別にイチャイチャしたいからとかそういう気持ちは……。
「レイ……あんた、思ってること全部顔に出てるわよ」
「え、ええっ?」
ひのわさんが呆れたように言う。そんな……顔に出てる……?
「レイってたまに阿呆になるわよね」
『仕方あらへん。好きな人の前では、だれだってそうなんねん』
霊源解放された状態の日車さんが、何度もうなずく。
「ということで、今から俺たちは非常に重要な、霊力の補充をしてくる。異論はないな!」
「「「…………」」」
「いいな!」
「「「はーい……」」」
サトル様は私の腰に手を回して、ひょいっ、とお姫様だっこをする。
さ、サトル様……恥ずかしいです……。
でも、そのことを口には出さなかった。だって、こうしてお姫様だっこされるのも、久しぶりだから。
私はもうすでに、サトル様とイチャイチャすることばかり考えてるようだ。
「蛟さま、お部屋を拝借したいのですが」
「ん。好きにすればいい」
サトル様は私を連れて、お城の中へと向かうのだった。




