力の飛躍 1
『だーかーらー! 一方的に力を引き出そうとすな!』
私たちは引き続き、異能の訓練をしてる。
ひのわさんは日車さんと一緒に、力の使い方を覚えようとしてる……。
場所は、ひのわさんの霊廟の中。
『呼吸! わいと呼吸を合わせるの!』
「やってるっつーの!」
『できてへんわ!』
お二人が一生懸命に、異能の力を伸ばそうとしてる。
でも中々呼吸が合わないみたい。
「なんででしょう、幸子ちゃん」
「どっちもせっかち」
「なるほど……」
お二人、性格が似てる部分がある。そのことが逆に足を引っ張ってしまってるらしい。
「ひのわさん」
「ん? なぁにレイ」
ひのわさんがこちらに近づいてくる。
……少し、彼女変わった気がする。笑顔が増えた。可愛いなぁ。
「どうしたの?」
「ひのわさん可愛くなったなと」
「も、も~。やめてよ~そんな、照れるじゃあないのよ~♡」
えへへ、と笑うひのわさんは、本当に素敵だ。可愛いし、強いし。
「で、どうしたの?」
「あのその、幸子ちゃん曰く、どっちもせっかちなせいで、呼吸が合わせられてないって」
「う……否定できないわ」
うーん、とひのわさんが腕組みをする。
「ちょっと我慢して、出力を押さえたほうが良いのかな」
「それは……違う気がします」
「違う?」
「はい。その……上手く言葉にできないんですけど、違うなって」
凄くふんわりとした言葉になってしまった。でも、直感的に、それは違うって思った。
片方が、片方にあわせるために、無理や我慢をするのは。
「レイのいうとーり」
幸子ちゃんが何度もうなずいてくれる。
「気を、あわせるのじゃ。ふゅーじょん、はっ……!」
「わからーん」
ひのわさんが両手を挙げる。
その頭の上に、日車さんが乗っかる。
『ったく不器用なやっちゃな』
「なによ、バカにしてるの?」
『そーやない。事実を述べてるだけや。レイちゃんみたいに色々器用にできへんなって思ってな』
「むっか! なによ! 確かにレイは凄いけど、比べることないでしょ!」
『比べてへんわ! あほ!』
「あほはどっちよあほ!」
ふんっ、とお二人がそっぽを向いてしまう。あわわ……ケンカはよくない。
「お、落ち着いてください。その……ケンカは駄目ですよ」
「別にケンカなんてしてないし。猫相手にマジになるわけないじゃん」
『猫ちゃうわ! ほんま失礼なクソガキやな!』
「クソガキですって!?」
ああ……駄目だ。またケンカしてしまう……。
「ふふふ、良い感じですな」
幸子ちゃんは訳知り顔でうなずいてる。えっと……?
つまりどういうことなんだろう……。良い感じって。
「レイ。しばらくふたりきりにさせてあげよう」
「え、あ、でも……」
「レイは、レイのすべきことするべき。まだ、神域を完成させてない」
! そうだった……。私、まだ、神域を展開できるようになっていないんだった……。
人のことにかまけてる時間はないんだ。
「二人とも、私、ちょっと席を外しますね」
「え? どこいくの?」
「修業です。まだ神域完成させられてないんで」
「そう……」
しゅん、とひのわさんが露骨に残念そうにする。
『嬢ちゃん、席を外すって、どこいくねん?』
「霊廟の外に」
『どうやって?』
………………た、確かに。
どうやって入ってきたのかもわからないのに、どうやって外に出るんだろう……。
「幸子ちゃん」
「ぐぅ……」
ね、寝てる……。
「むにゃむにゃ……もうたべれない……むにゃむにゃ……」
「ほ、本当に寝てるの幸子ちゃん……」
「寝てる」
起きてる……。
起きてるのに、寝たふりしてる。意地悪じゃあ絶対ないと思う。そういう子じゃあないし。
それって……つまり修業は自分で考えろってことなんだろうか。
「かんがえる。こらしょ。チャレンジ……ぐぅ……」
「チャレンジ……挑戦しろってことか」
よし、頑張ろう。ひのわさんだって、頑張って、日車さんと仲良くなろうとしてるんだから。
私も頑張らないと、です。




