異能の訓練 3
ひのわ様は、幸子ちゃんに攻撃を当てる修業。
そして私は……神域を身につける修業をすることになった。
……と言っても、神域ってどうやって身につければ良いの?
そもそも神域って結局なんなんだろう。神様の住んでいる場所、ということしかわからない……。
「簡単に言うと、霊廟の具現化だに」
「わっ! み、蛟さま……」
縁側に、蛟さまが現れていた。
……よく見ると、蛟さまを、たくさんの小毬カッパたちが支えて運んできたようだ。
「みんな働き者だに」
「重くないの……?」
私が小毬カッパ達に尋ねる。
「はいでしゅ」「ぼくら力持ちでしゅから」「可愛い上に力持ちとか無敵でしゅ」
こんな小さくたって、妖魔なんだ。人間よりも力は強いのだろう。
小毬カッパたちが、蛟様を縁側に座らせる。
蛟様は流れるように、その場で肘を突いて横になった。
「神域っていうのは……先ほどもいったとおり、霊廟……つまり心の中を、具現化したものだに」
霊廟。私たち異能者の、心の中。
そこに体内妖魔たちが住んでいる。
「でも霊廟の具現化って、私もうできますよ」
私の心を具現化したものは、霊剣といって、なんだかすごい宝具であるらしい。
すでに、霊剣の具現化はできてるような……。
「霊廟の具現化には段階……れべるがあるんだに」
「レベル……?」
「霊廟を武装の形にして取り出すのは、初歩だに。この先、レイたちは霊廟を武装した妖魔と戦うことになるだに」
「……山の怪のことです?」
「山の怪【も】、霊廟の武装化を、平然と使ってくるだに。レイは武闘家じゃあないし、蹴る殴るは向いて成さそうだに。となると、身を守るすべとして、神域を展開できるようになっておいたほうがいいだに」
……これ以上に強い敵が現れるから、対抗策を持っておくべきと。
「神域を展開すると、どういうメリットがあるんですか?」
「自分を強くし、相手を弱くできるだに。また、こっちの都合のいいように、神域の内部をいじれるだに」
迷い家は、必ず迷子になるようになっていた。あんな風に、神域内では、色んなことを起こせる……って、あれ?
「なんで迷子になるようにしてたんですか?」
「困ったり焦ってたりする人の顔って、おもしれーだに?」
……単なる趣味嗜好で、迷い家を作っていたみたい。
「あとはまあ防犯だに。悪い妖魔が万一入ってきたときに、こっちに入ってこれないように」
「なるほど……」
神域を身につけておくべきかな、やっぱり。自分の身を守るだけでなく、仲間も、守れる……。
「レイは本当に、自分のことより他人のことなんだに?」
「? 当然ではないですか?」
蛟さまが苦笑する。
「面白い女だに。そんなところが好きだにっ♡」
蛟さまが立ち上がり、私を後ろから抱きしめる。きゃっ。
「おらのお嫁さんに……へぶっ!」
サトル様が蛟さまの頭を叩く。
「おい、蛟さま。ちょっとツラを貸していただけないですかね? ん?」
「え、笑顔なのに怖いだに……」
ずりずり……と蛟さまがサトル様に引きずられていく。
「レイ、ちょっと借りるぞ」
「は、はひ……」
それにしても……どうしよう。神域の展開。どうすれば……。
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