異能の訓練 2
食後。
わたしたちは庭にいた。
「迷い家にも庭があるのね……」
不思議な空間だ。
空を見上げると、青空が広がっている。でもここは、蛟さまの神域、迷い家の中らしい。
わたしたちがここに居る理由……。
「しゅぎょーかい、だ!」
幸子ちゃんが胸を張ってそういう。
「修業回ってなによ……?」
「古今東西、強敵と戦う前には、しゅぎょーするもの」
「強敵……」
ひのわ様が考え込んでしまう。
これから相手にするのは、山の怪だ。
しかも、山の神を苦しめるほどの妖魔が待ち受けている。
「ひのわ、よわい」
「弱くない……!」
「よわい。ひのわのやってること、相手を爆破させるだけ。弱い」
「それのどこが弱いのよ! 妖魔を木っ端微塵にする、強い異能でしょうがっ!」
ひのわ様がそういうも、幸子ちゃんがため息をつく。
「ざこですね。せめて、しあーはーとあたっくでも覚えてもらわないと」
「何を覚えるって……?」
「負けて死ね」
「ケンカ売ってるのよねそうよね絶対!」
ひのわ様が幸子ちゃんにつかみかかろうとする。
幸子ちゃんはその場から動こうとしない。
ガッ……!
「ぎゃふん!」
ひのわ様は蹴躓いてその場に転がる。
「だ、大丈夫ですかっ。すぐに治療を……」
「だい、じょうぶよ……」
ひのわ様が立ち上がる。
幸子ちゃんはケラケラ笑っていた。
「きょうび、ぎゃふんって言葉をつかってるやつ、はじめてみたー」
「泣かす……!」
ひのわ様が幸子ちゃんに再度つかみかかろうとする。
幸子ちゃんはその場から一歩も動いてない。
それでも……
スカッ……!
「攻撃が当たらない……! 結界!?」
「いいえ、幸子ちゃんの、運命操作ですよ」
ザシキワラシの真の力。運を操作する能力。
これを使うことで、相手は攻撃が当たらない、こちらは通常攻撃で急所を付ける。
「ザシキワラシの異能って……超幸運じゃあなかったの? 妖魔図鑑に書いてあったけど……」
「それは、個体としての異能。個人としての異能は、違う」
「個体? 個人? 何言ってるのよ……」
ひのわ様は首をかしげてる。
でも……私にはなんとなく、幸子ちゃんの言いたいことが理解できた。
「あの……幸子ちゃんが言いたいのは……むぎゅ」
幸子ちゃんが口に、手を押しつけてきた。
「おくち、みっふぃー」
「もが……もが……」
「こーゆーの、自分で気づかないとだめですから」
……そういうものなんだろうか。
「なんなのよ……」
「ひのわ、うちに一撃与える。それが課題。レイは口出しむよー」
「でも……」
「大丈夫よ、レイ。あたし、強いから」
ひのわ様がうなずく。
「大丈夫よ。あたし一人で、このちびっ子をメタメタにしてやるから」
「メタメタって表現も、れいわじゃみなくなりましたね。はー、じだいのながれー」
「わけわかんないことを! 【火車】!」
ひのわ様から黒い尻尾が出現する。
尻尾が幸子ちゃんに伸びる。
が。
幸子ちゃんは避けない。尻尾のほうが、避けてしまう。
「レイ。レイも、修業すること」
「私も……?」
「うん。レイは、神域を身につけて」
「神域って……迷い家みたいな?」
こくん、と幸子ちゃんがうなずく。
「でも……どうやって?」
「……………………がんばって」
ぐっ、と幸子ちゃんが拳を握りしめる。
「ええと、それってもしかして……丸投げ?」
「肯定の反対の反対なのだ」
丸投げなんだ……。
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