水の神霊 4
饕餮の異能を、発動させる。
私の手のひらが、黒く染まる。
瞬間、私の脳内に、タオさんの異能の使い方が流れ込んできた。
どういう力なのか、瞬時に、わかったのだ。
私は黒く染まった手で、カッパのお腹に触れる。
ずぶ……と。お腹の中に手が入ってくのだ。
「い、痛くないのかや……?」
「大丈夫です。痛みはないです」
ないはずです、ではなく、痛みはないとわかる。
「この手は、今、この世に存在していないんです。物質の干渉を受けません」
「な、何を言ってるのかさっぱりだに……」
私はカッパの体内に、それを見つける。
この子の体を蝕む呪い、その核を。
私は呪いを、掴む。どう説明すればいいのかわからない。
でも、掴めた。という強い確信を得た。
そして、私はその核を握りつぶす。
呪いは私の手の中に吸い込まれていった。
……ふぅ。
私はカッパから手を引く。
「はれ? いたくないでしゅー……」
「おお!」
蛟さまはカッパを持ち上げる。
「大丈夫かや!?」
「うん、体ががらくになりましゅた!」
「そうかっ……! そうかっ! よかったなぁ~!」
蛟さまが涙を流しながら、小毬カッパに頬ずりする。
良かった……助けることができて。
「れ、レイ……。大丈夫なのか? 呪いを体に取りこんだように見えたが……?」
「大丈夫です。触れた呪いは、タオさんが食べてくれました」
饕餮の異能は、異空間をあけて、そこに吸い込むことで相手を食らっていた。
真名を解放すると、手で触れたあらゆるものを、食らうことができるようになった。
それは、呪いのような、形のないものでも、つかみ、そして食らうことができるようだ。
「すごいぞ、レイ……。妖魔を滅することなく、呪いだけをピンポイントで解除してしまうなんて……」
すると、蛟さまと小毬カッパは、二人そろって頭を下げる。
「ありがとう、レイ! あんたはこの子らの命の恩人だに!」
「「「ありがとでしゅー!」」」
……皆さんの笑顔を見て、私は……安堵の息をつく。
この力があれば、困ってる人間だけで無く、妖魔さえも、救うことができる。
……もし、幸子ちゃんやつぐみさんが、同じように呪いを受けたときに、助けることができるようになったということ。
「…………」
妖魔さえも、救う力を得た。
私は……この先……。
やっぱり、困ってる存在を、助けたいと思った。人間だけで無く、妖魔も。
……でも、こんな考え、誰かに理解してもらえるとは到底思えない。どうしよう……。
「れいたん」
「さとるん……?」
サトル様は私をお姫様抱っこする。
「今日はもう遅いから、休ませてもらいます。蛟さま」
「うむ。カッパたち、二人を部屋に案内してやりなさい」
てこてこ、と小毬カッパたちが前を歩く。サトル様はその後に続く。
「あの……」
「何か悩んでるんだろう?」
「!? どうして……?」
「俺はれいたんの未来の旦那だからな。わかるよ、おまえが悩んでるってことくらい」
「さとるん……」
ちゅっ、とサトル様が私の額に、キスをしてくれる。
「……二人きりで話そう。あんまり聞かれたくないのだろう?」
【☆★おしらせ★☆】
好評につき連載版はじめました!!
【連載版】元悪役令嬢は、辺境でのんびり温泉に浸る~婚約破棄されたわたし、年上の辺境領主さまのもとに嫁ぐ。優しくて病弱な彼のために、【土地神】スキルで温泉を作ってあげたら、なぜか領地が大繁盛してました
ページ下部にリンクがございます!!
または、以下のULRをコピーしてお使いください。
https://book1.adouzi.eu.org/n8140kh/




