表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/265

水の神霊 2


 ……みずち。それが、この屋敷の主である、神霊さまの名前のようだ。


「ま、立ち話もあれだし、座って座って」

「は、はい……!」


 私、サトル様、真紅郎さまの前に、みずちさまが座る。というか……。


「あー、どっこいしょ。ん? どうしたんかや? もっと楽にしていいだに?」


 楽にしていいって言うけど……。

 みずちさまは、ちょっと楽にしすぎのような……。


「「「えっほえっほえっほえっほ」」」


 小毬カッパたちが、私たちの前へとやってくる。

 お茶を淹れて、持ってきてくれたようだ。


 カッパ達が湯飲みを差し出してくる。


「ありがとうございます」

「「「「えっほえっほしてた、ぼくら、可愛い?」」」」


「え、ええ……まあ」

「「「「やったー!」」」」


 小毬カッパさんたちが飛び跳ねて喜んでいる。

 自分から可愛いって聞かなくても、普通に可愛い見た目をしてるんだけどな。


 みずちさまは横になった状態で、お茶をすする。

 すっ、と手を差し出す。


「「「えっほえっほ、みずちさまにお煎餅運ばなきゃっ、えっほえっほえっほ」」」


 カッパ達がお皿を運んでくる。

 そこに載ってるお煎餅に手を伸ばし、ばりぼりと、みずちさまがむさぼる。


「体もんでほしいだに」

「「「えっほえっほ、マッサージしなくちゃ、えっほえっほ」」」


 ……なんだか、ご主人様と召使いみたいな感じになってる。


「あの……」

「どうしたんだに?」

みずちさまは、どうして我々をここへ招いたんですか?」


「我々、っていうか、おらはあんたを招きたかったんだに。他の連中はついでにだ」


 私を招きたかった……?


「どういうことですか?」

「眼鏡丸と、井氷鹿いひかを助けた女が、どんなものか、見てみたかっただに」


 眼鏡丸とは、淺草あさくさ、淺草寺でであった、眼鏡をかけた神霊。

 井氷鹿いひかさまは、淺草あさくさにやってきた、氷の神霊。


 どちらも困っていたので、助けたことがある。


「二人が、淺草あさくさで美人の神の子を見つけたっていうから、気になってたんだに」

「神の子……?」


「神因子を持った人間のことだに」

「……神因子」


「平たく言えば神の力だに」


 本当にざっくりしすぎてる……。

 

「矢張りレイには、神の力が宿ってるんですか? みずちさま」


 サトル様が尋ねると、こくんと、みずちさまがうなずく。


「神の力……。これを、どう使えば良いでしょうか」

「ん? 別に、好きに使えば?」


「好きにって……」

「思うがままに使うがいいだに」

「でも……強い力を与えられたってことは、なにか強い使命があるってことじゃ?」


「んなわけねーだに」


 くわ……とみずちさまがあくびをする。


「おらも確かに強い力を持ってるだに。でも、別に何かしてる訳じゃあない」

「で、でも……小毬カッパたちを、雇ってあげてるんじゃあないですか。それって、神霊と妖魔との、架け橋的なことをしたいから……」


「いや、そんな大それたこと考えてねーだに。カッパどもを保護したのは、お手伝いさんが欲しかったから」


 お手伝いさんが欲しかったからって……。


「それでいいの、あなたたち?」


 今もなお、みずちさまの体をマッサージしてるカッパたちに尋ねる。


「「「いい」」」

「そ、そっか……」


 みずちさまはじっと私を見つめる。そして言う。


「ああ、やっぱり。あんたは真面目だに。真面目すぎるだに。気負いすぎてる、って言い換えてもいいだに」

「気負い……ですか?」


 こくん、とみずちさまがうなずく。


「レイ。最近何か悩んで居るんだろう?」

「は、はい……。妖魔との付き合い方について……。私は、この強い力は、妖魔と人間とを、つなぎ合わせる的な力なのかと……」


「んなわけねーだに」

「ち、違うんですか……?」

「力は力だに。どう使うかは、力を持ってるやつが決めていい」


「好きにしていい……って言われましても……」


 ……正直、困る。何をしていいのかわからない。……この力で、こうしろと、言われたほうが楽だ。


「それは甘えだに」


 ずず……とみずちさまがお茶をすする。


「なあ、レイ。あんたは何がしたいんだい? これから。そこの一条家の坊ちゃんの花嫁になって、それからは?」


 ……花嫁になった、その後のこと。

 ……私は、何も考えていなかった。


 サトル様の花嫁になること。それは王命だ。私の意志ではない。

 花嫁になった、その後は?


 ……私は、何がしたいんだろう。

【☆★おしらせ★☆】


好評につき連載版はじめました!!


【連載版】元悪役令嬢は、辺境でのんびり温泉に浸る~婚約破棄されたわたし、年上の辺境領主さまのもとに嫁ぐ。優しくて病弱な彼のために、【土地神】スキルで温泉を作ってあげたら、なぜか領地が大繁盛してました



ページ下部にリンクがございます!!


または、以下のULRをコピーしてお使いください。



https://book1.adouzi.eu.org/n8140kh/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ