迷い家の夜 4
小毬カッパさんが、この美味しいお寿司を作ってくれたようだ。
手のひらサイズのカッパが、複数、存在してる。
可愛い……。
「うっ……」
ひのわ様も、カッパさんたちを見て、可愛いと思ってるようだ。
「ぼくら、めっせられるのでしゅかぁ……?」
「う……」
「めっしゅるの……?」
潤んだ目で、小毬カッパたちが、ひのわ様を見てる。
彼女はたじろぐ。……良かった。こんな可愛く、小さな生き物を、殺すような方ではなくて……。
「きょ、今日のところは勘弁してあげるわ……。で、でも勘違いしないでちょうだいね!」
びしっ、とひのわ様が小毬カッパたちに指を指す。
「別にあんたたちが、可愛いから、滅することができなかったんじゃあないんだからね!」
「ひとそれ、つんでれ、とゆー」
じゅるじゅる、と幸子ちゃんが緑茶をすすりながら言う。
いつの間に起きてたんだろ……。それに、いつの間にお茶を……。
小毬カッパが、急須を持って、幸子ちゃんの湯飲みに注いでる。
「幸子ちゃん。この子たちって妖魔、よね」
「うぃ。ようま。でも、こやつらの親分は、しんれー」
神霊……。
「まさか! 神霊が妖魔の親分? バカ言わないでよ! それは水と油、全く別のものでしょ?」
……私もそういう認識だった。
幸子ちゃんは指をちっちっち、と降る。
「神霊。妖魔。違いは無い。どちらも等しく、人外のもの」
「いや等しいって……」
「たとえば、うち。ザシキワラシ。一方で、妖魔。でも、一方で、神霊とカウントする人もいる」
「どうしてですか?」
「ザシキワラシ、たしかに妖魔。でも……人に幸福をもたらす、福の神、とまつってるやつらもいる」
「…………」
「ようは、みかた」
「見方……」
「うぃ。かいしゃく。そーおもうから、そーなってしまう。ていぎづけられてしまう。でも本質は同じ。妖魔も、神霊も」
……確かに、幸子ちゃんなんて最たるれいだ。
幸子ちゃんは体内妖魔、つまり、妖魔だ。
でも私や周りを幸せにする。福の神、と言われれば、納得する自分もいる。
「小毬カッパは、無害。妖魔だけど」
幸子ちゃんが手のひらの上で、カッパをなでくりまわしてる。
「妖魔と、神霊。線引き。人間が、勝手にやってるだけだよ」
「…………」
その考え方に、私は共感してしまう。
ひのわ様は「う~……」と頭を抱えていた。
「どしたん、ひのわ。話きこうか?」
「うっさい。なんだかお腹いっぱいになったら、眠くなっちゃったわ」
すると、小毬カッパが手を上げる。
「おふとん、よういしてましゅ!」
「使って良いの?」
「もちろんでしゅ! こっちでしゅ~」
小毬カッパたちが、隣の部屋へと移動する。
そこには、大きな和室あって、布団が敷かれていた。
幸子ちゃんはジャンプして、布団の上に乗っかる。
「りょかんにきたら、これ、やっちゃうよねー」
ころころころ、と幸子ちゃんが転がってる。
「アタシ、もう疲れたし、寝るわ」
ひのわ様がそういうと、小毬カッパたちが、スッ……と浴衣を差し出す。
「……用意が良いわねあんたら」
「おもてなしでしゅ~」
すっ、と別の小毬カッパが私に寝間着を差し出す。ここは、ご厚意に甘えるとしよう。
私たちは着替えて、お布団に横になる。
幸子ちゃんは当然のように、私の布団に潜り込んできた。
「さよならいおん……ぐぅ……」
すやすや、と安らかな寝息を立てる幸子ちゃん。
いつの間にか、私も眠くなっていて、寝息を立てていた……。
……。
…………。
………………。
「あにょぉ~……」
誰かが、私に声をかけてきた。目を開けると、そこには小毬カッパがいた。
「な、なんでしょう……?」
……び、びっくりした。
「ごしゅじんしゃまが、あいたいっていってましゅ」
「ご主人様……。神霊の?」
「はいー。どうしましゅ?」
……どうするか、か。私は、妖魔を従える神霊に、興味があった。
聞いてみたかった。さっき、幸子ちゃんが言っていた、妖魔と神霊の話も気になる。
「わかりました。会わせてください」
「はいー」
こうして、私は迷い家の主、神霊に会うことにしたのだった。
【☆★おしらせ★☆】
好評につき連載版はじめました!!
【連載版】元悪役令嬢は、辺境でのんびり温泉に浸る~婚約破棄されたわたし、年上の辺境領主さまのもとに嫁ぐ。優しくて病弱な彼のために、【土地神】スキルで温泉を作ってあげたら、なぜか領地が大繁盛してました
ページ下部にリンクがございます!!
または、以下のULRをコピーしてお使いください。
https://book1.adouzi.eu.org/n8140kh/




