迷い家の夜 1
迷い家へと、迷い込んでしまった私たち。
幸子ちゃんに導かれながら、進んでいる、のだけど……。
「ぜえ……はあ……」
「ちょっと……ちびっこぉ……」
私たちは、肩で息をしている。
だいぶ長い間、歩かされて、足に疲労がたまってきていた。
「いつになったら、悟達と合流できるのよぉ~……」
……私たちは、まず、合流を目指していた。けれど、いくら歩いても、彼らに遭遇しない。
「だらしないなぁ。この程度で根を上げるなんて」
ふぅ~、と幸子ちゃんが首を横に振る。
「ぜえはあ……あんたが元気なのは、レイに抱っこして貰ってるからでしょっ!」
幸子ちゃんは私に抱きついた状態で、自分から動こうとしないのだ。
まあ、別に彼女は重くないから、負担にはならないけど……。
「そろそろ、休憩したいわね……おなかもすいたし」
「そうですね……」
ただ、私たちは食料を、車の中に置いてきてしまった。
今手元には、食べれるものが何もない……。
「ついたぞよ」
「やっと……? って、なによ、悟いないじゃあないの」
私たちがやってきたのは、金のふすまの前。
左右を見渡しても、サトル様はいらっしゃらない。では、この部屋の中にいるのだろうか……。
「ここで、きゅーけー、とるとよいよ」
「はぁ……? 休憩?」
ぴょんっ、と幸子ちゃんが飛び降りて、ふすまを開ける。
……そこは和室で、大きなテーブルが置いてあった。
台の上には、美味しそうな料理がたくさん並んでいる。
天ぷら、焼き鳥など……。しかも、作りたてらしく、美味しそうな匂いを漂わせてる。
「「…………」」
私も、ひのわ様も思わず生唾を飲んでしまう。そして、お腹がきゅううっと鳴る。
「こ、これ……食べて、いいのかしら」
「さ、さぁ……? あ! 幸子ちゃんっっ」
幸子ちゃんはテーブルの前に座ると、えびのてんぷらを、ぱくりっと食べる。
「うまー」
むしゃもしゃ、と幸子ちゃんが、用意してあるご飯を食べ出す。本当にかってなんだから……。
「ちひろもたべな」
「だれよ、ちひろって……レイでしょうが」
「大丈夫、うち豚にならないから。攻略法しってっから」
「訳わかんないわよ……! 会話しなさいよザシキワラシぃ!」
幸子ちゃんはひのわ様を無視して、むしゃむしゃとご飯を食べてる。もう……。
「どうする、レイ?」
「どうしましょう……」
作ってくださった人の姿が、見えない。食べて良いのか、伺いをとらないうちから、食べるのは、良くない。
「レイは律儀ね。あたしは、単にこんなだれが作ったか分からない、得体の知らないご飯を食べたくないわ」
ぎゅぅう~~……。ぐぅう~~~~。
「…………」
ひのわ様のお顔が、真っ赤に染まる。今、彼女のお腹から、大きな音が……。
「ちひろも、お食べ」
幸子ちゃんが近づいてきて、お皿をスッ差し出す。お寿司が載っていた。
「だいじょうぶ、ぶたになっても、みつけだしちゃる」
「い、意味わからないし……」
「ほれほれ、くわないのか? ん?」
「し、仕方ないわね」
ひのわ様がお寿司に手を伸ばし、つかみ、パクッと食べる。
「うまっ! なにこれちょー新鮮! おいしー!」
ばくばく、とひのわ様がお寿司を食べ出す。
「レイ、味には問題ないわ。あんたも食べなさい。怒られたら、あたしが謝るから」
……結局空腹に耐えきれず、私も用意された食事に、手を出すのだった。
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