二人の女子 3
ひのわさまと一緒に通路を進んでいく。
彼女が先を歩いている。
周囲を警戒して、私に危機が及ばないようにしていただいてるのが、わかる。
本当に、真面目な御方だ。どんなときでも、王からの任務に従事していらっしゃる……。
「かっこいい……」
「な、何よ……急に……」
ぴんっ、と黒コートの、腰部分のベルトが立つ。
さながら、黒猫の尻尾のようだ。
「かっこいいし、真面目だし、それでいてかわいらしさもある、素敵な女性だなって」
「も、もぉ~……♡ 褒めすぎよあんたぁ~……♡」
ふにゃふにゃ、とひのわ様が笑う。そのたび、くねくねとベルトが……動く。尻尾みたい。可愛い。
……可愛いし、ちょっと興味が。
だってこれ、異能で作られた衣……のはず。そう、ただの布なのだ。どうしてこんな風に動いてるんだろう……。まさか本当の尻尾……とか?
「えい」
ぱきぃん! と衣が解除される。異能殺しが発動してしまった。
「ちょ!? 何してるのよ!?」
ぎょっ、とひのわ様が目をむく。
「ご、ごめんなさい……。尻尾が、本物かってきになってしまい……」
「異能で作った衣なんだから、偽物に決まってるでしょ!?」
「で、でも……さっき感情の高鳴りに呼応して、動いてましたけど」
「え? そうなの……?」
……ひのわ様は、本気で驚いてる様子だった。
「ご自分では、気づかなかったのですか?」
「うん。全然。動いてるだなんて思わなかった……動かすことは意識すればできるけど」
ひのわ様の異能で作った衣なのだ。自分で動かせることに、何ら不思議には思わない。
……不思議なのは、彼女の感情にあわせて、勝手に衣が動いたことだ。
「せつめーしよー」
「わ、幸子ちゃん」
消えたと思っていたら、また現れた。
……その手には、2つのまんじゅうがにぎられていた。
「それは?」
「にくまん。うまし」
「どこからもってきたの?」
「お台所」
……勝手に、ご飯を獲ってきたってこと……?
「その、あまりよろしくないと思いますよ?」
「なして? 迷い家のものは、自由にとってええんやで?」
「そうなの?」
「うぃ」
「そうなんだ……」
きゅる、とひのわ様のお腹が、可愛らしく鳴る。
……どうやらお腹が減っているご様子。私も少し空腹を感じていた。
「幸子ちゃん、台所まで案内できますか?」
「もちのろんうぃーずりー」
またよくわからないことを言う幸子ちゃん。
てこてこ、と彼女は先を歩いて行く。
「あの、それで、さっきのひのわ様の件については?」
「かんたん。ひのわの、かしゃ、うごかしていた」
「火車……」
ひのわ様の体内妖魔、火車が、異能を操作していたってこと……?
「バカいってるんじゃあないわよ」
ひのわ様が呆れたようにため息をつく。
「なんで命令してないのに、火車が勝手に異能を使うわけ?」
……本気で、不思議がっているひのわ様。
……命令、か。
どうやら、ひのわ様の中では、火車は……体内妖魔、自分が使役する従僕とでもおもってるのだろう。
……違うのに、ね。
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