迷いの家 2
……山の中に現れた、とても立派なお屋敷。
幸子ちゃんは、我が物顔で屋敷に入っていった。
「……どうしましょうか」
私は皆さんに尋ねてみる。
「危険だな」「危険ね」「危険ですね」
と、三人とも、ここに入ることを反対していた。
「山の中に、これほど立派な屋敷があるのはおかしい。アレを見てくれ」
スッ……とサトル様がお屋敷の中を指さす。
……紅と白の、見事な花が咲き誇っていた。 雑草が1本も生えておらず、とても、見事な庭園が広がってる。
「確かに、不自然よね。こんな山の中なのに」
「白面の罠の可能性も考えられます」
と、お三方は入ることに反対してる。……では、私はと言うと……。
「私は、入っても大丈夫だと思います」
「それはどうしてだ、れいたん」
「幸子ちゃんが、入っていったからです」
ザシキワラシの幸子ちゃんが、ここは安全と、屋敷の中へ向かっていった。
白面の手下がいるところに、私たちを連れて行くとは思えない。
「あの妖魔を随分と信頼してるのね」
と、ひのわ様がおっしゃる。
極東人は、生まれたときから、妖魔は全て敵だと思ってるらしい。
「妖魔を信頼してるのではありません。幸子ちゃんだから、信頼してるんです」
「ふぅん……」
私はサトル様に進言する。
「山の怪のいるなか、野宿するのは危険です。私は、この屋敷に泊めてもらうのが良いと思います」
「……そうだな。れいたんの言うとおりだな。いこう」
ということで、屋敷に入らせていただくことにした私たち。
一条家のお屋敷も大きくて立派だけども、ここもかなり広い。
歩いて行くと、大きな玄関があった。
私は、幸子ちゃんを信じる。がらり、と扉を開ける。
瞬間……。
「え?」
……私は、建物の中にいた。
……おかしい。まだ、扉を開けてすぐだったはずだ。
玄関をくぐってすら居なかったのに。
私が立っているのは、長い長い廊下だ。
「どうなって……あれ? 履き物も、ない……」
振り返り、私は目をむく。
背後も廊下が続いているのだ。
「…………」
長い廊下にひとりぼっちで取り残されている。
……なに、これ? 一体、何が起きてるの……?
「幸子ちゃん! サトル様! ひのわ様! 真紅郎さん!」
声を張り上げても、だれも返事をしていただけない。
近くに居ない……?
私は彼らの霊力を探知しようとする。けれど……。
「そんな……霊力の、反応が……消えてる」
霊力を調べようとしても、できないのだ。周りに居ない、というより、探知を何者かが邪魔してるような……。
「…………」
幸子ちゃんが、嘘をついたり、私たちを裏切ることは、ない。
それに、ここからは、邪気を感じないのだ。
ここに悪いモノは居ないと思う。なら……私がまずするべきことは一つ。
「サトル様達と、合流しないと」




