表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/265

初日の出 1



 ……ゆっくりと、私は目を覚ます。

 まだ薄暗い部屋の中。

 けれど……寒さは全く感じない。いつも朝は、おきてすぐは眠いけれど、この日は違った。


 とてつもない、幸福な気持ちが、胸を満たしてる。体の疲れは全くない。あんなにたくさん動いて、汗をかいたというのに。


「…………」


 私の隣で、裸身のサトル様が目をつむっている。

 熟睡していらした。


「サトル様……可愛かったな……」


 弱ってるサトル様なんていう、ものすごい希少な場面を目撃することができた。こんな風に、弱い部分を見せてくださったことが……とても、嬉しい。


「れ、い……たん」

「さとるん。おはようございます」


 サトル様が目を覚ます。少し、目の下にくまができていた。

 私は彼の額にキスをし、呪禁じゅごんを発動。陽の気を用いた、回復術。


 サトル様の顔色がみるみる元通りになっていく。


「あ、ありがとう……」


 サトル様は布団を体に巻いて、すすす、と私から距離を取る。えっと……。


「どうしたんですか?」

「いや……なんでもない」


 もそもそ、とサトル様が衣服を身につける。一方で、私も同様に、脱いだ服をいそいそと着る。


 こんな姿を、サトル様以外に見られたら、恥ずかしい……。


「レイは……その、あれだな」

「はい? どうしました?」

「いや……なんでもない。なんというか……人は見かけによらないんだな」


「????」


 一体何の話をしてるのだろう……。


「れいたんにも、俺の知らない意外な一面があったということだ」


 意外な一面……。確かに、昨晩は、サトル様に普段見せてるような態度をとっていなかった……と思う。


 ずっと……甘えていた、気がする。


「嫌……でした?」

「まさか」


 サトル様は優しく笑って、私を抱きしめてくれる。……ああ、温かい。心地良い。


「より、お前を好きになったよ。あんな風に、もっと俺を頼ってくれ。甘えてくれよ」

「さとるん……」


 ……知らず、私は彼に寄りかかる。そして、小さくつぶやく。


「……ありがとう、ございます。そう言ってくださって、うれしいです」


 サトル様が微笑んでいる。彼の笑みは、見てるだけで、晴れやかな気持ちになる。


「まあその……なんだ。れいたん。次はその……少し間を開けようか」

「え……」


 そんな……どうして?

 正直、私は毎晩でも……。


「いや、間を開けよう。その……あれだ。その……なんだ。そうだ! 夜廻り! ほら、毎晩母上に負担かけるわけにはいかないだろう? うん」

「あ、た、たしかに……」


 サトル様が毎晩行っている、夜の妖魔退治……夜廻り。

 今日はサトル様と供にするということで、守美さまから、夜廻り交代を申しでてくださったのだ。


 確かに、毎晩夜廻りをやっていただくのは、忍びない。


「そうですね」


 ほぉ……とサトル様が大きく息をつく。その息はなんの……?


「次までに、もっと体力を付けておくよ」

「? ええ」


 どうして体力の話になるんだろう……。


「さて、れいたん。そろそろいい時間帯だ。外へ出るぞ」

「外へ……? どうしてですか?」

「初日の出を見るぞ」

「はつ……ひので……?」


 サトル様が説明したところによると、元日(新年のはじめ)に見る日の出は、初日の出というらしい。

 それを見ることは、とても縁起が良い行いなんだそうだ。


 ……なるほど。今年一年、一条家や、極東の人たちが、幸せに暮らせますようにと、願をかけるわけだ。私もそうしたい。


「わかりました」

「よし、では厚着をして、そとに出るぞ」


 サトル様が立ち上がると、その場にぺた……と尻餅突いてしまった。


「さとるん……? どうしたのですか?」

「いや! なんでもない! ほんと、なんでもないんだ!」

「そうですか?」


 くっ……! とサトル様が悔しそうにしている。


「……なんて情けない! 異能に頼ってばかりいた弊害がこれかっ。くそっ、次はこんな情けない姿を見せないように、下半身と、持久力を鍛えねばっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ