年の瀬 1
年末の大掃除をし、私たちは一条家へと戻ってきた。
……私たちは、式の一件でより絆を深めたと思っている。もっと……より深いところで、サトル様と繋がりたい。
家に帰ったら……と思ったのだけど。
「さ。レイさん。お着替えの時間です」
ニコニコしながら、守美様が私に近づいてきた。
「あ、あの……お着替えって……?」
「今日は年末。ということで、宴会が催されるのです」
「は、はあ……宴会ですか?」
「ええ。極東において、年末年始は特別な日。
年末は、一年の労をねぎらい、年始は新年のお祝いをするのです」
なるほど……。
西の大陸では、そういう風習は無かった。
家族と楽しく、年末年始を、祝ったことなかったから、すごく……すっごく、楽しみ。
よし!
「じゃあ、お祝いの料理を作らないとですね! 私……お手伝いします!」
すると守美さまが微笑み、首を横に振る。
「すでに……料理はできております」
「!?」
ちょいちょい、と守美さまが手招きをする。
居間のふすまを開けると、そこには、大きなテーブルが置いてあり、その上に豪華な料理が並んでいた。
「真紅郎と黒服の皆さんが作ったんですよ」
いえーい、と黒服さんたちが笑顔でピースする。
「わぁ……! すごい……! どれも美味しそう……!」
新鮮なお魚、お野菜を使った料理はどれも美味しそうだ。
思わずよだれがでそうになる。私は皆さんに頭を下げる。
「ありがとうございます! こんな美味しそうな料理を、作ってくださって!」
私が式の起こした騒動に対処してる間、皆さんだけで、こんな美味しそうな料理を作ってくださったのだ。
感謝しないとね。
「レイ……変わったな」
さとるん……もとい、サトル様が微笑みながら、私の頭を撫でる。
「変わった? どういう意味ですか?」
「いやなに、変わったなぁって」
「質問に答えてくださいよ」
「いやだ♡」
「いじわる……もうっ、さとるんって呼んであげない」
「ああ、すまない! 謝るから怒らないでおくれ……」
「怒ってるなんて一度も言ってませんし、怒ったことなんてないです。サトル様のことは好きですし」
「そうかぁ~」
……ふと、視線を感じる。
ぽかんとする黒服さんたち。真紅郎さんもぎょっと目をむいていた。
「わはっ! れいちゃんたち、なーんか前にも増してラブラブしてんねー!」
蒼次郎君が笑顔でそんなことを言う。
「そうでしょうか?」
「そうだよ! 前もいちゃいちゃしてたけど、一段階上のいちゃつきっぷりを発揮してたよ!」
そ、そうかな……?
ううん……わからない。
「そりゃあ、ママとさとるんの絆が、あたしのおかげで、より深くなったからねー☆」
私の隣に、式神のレイ……椎が現れる。
「れいちゃんがもう一人!? しかも……なんかエッチな格好してる!?」
蒼次郎くんたちが驚愕の表情を浮かべる。
え、エッチな格好って……。確かに、私より遙かに薄着をしてるけど。
「ハァイ☆ ママとさとるんの娘、椎ちゃんでーす☆」
「ひょえええええ! もうお子を!? まじかよー! おめでとー!」
蒼次郎君が椎の嘘をあっさりと信じてしまった……。
「椎。蒼次郎君をからかわないの」
「へーい……。式のレイ、椎ちゃんです☆」
ホッ……と蒼次郎君が安堵の息をつく。
「な、なぁんだ式か……って、えええええええええええ!? 式がしゃべったぁああああああああああ!?」
ああ、そういえば式ってしゃべらないんだっけ……。
色々ちゃんと説明しないと。
「さ、おしゃべりは宴会のときになさい。料理が冷めてしまいますよ」
こうして、私たちは年末年始の宴会をすることになったのだった。
【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】
新作の短編投稿しました!
タイトルは、
『俺は異世界多言語マスター〜「異世界の言語がわかるだけの無能」と勇者にバカにされ追放されたが、実は全ての種族や時代の言葉がわかる有能通訳だった。美人達から超頼りにされてるので今更帰る気はないです』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://book1.adouzi.eu.org/n8922kb/




