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素晴らしき貞操逆転世界  作者: エイシ
第二部:二学年目
53/55

053話:【体育祭編】委員長

お久し振りです。

久しぶりすぎて貞操ってなんだっけって感じ。

「お疲れ様っ!」


「お、おうっ! ありがと!」




 俺は薫にふかふかのタオルを投げて渡す。

 彼女は玉入れの間、一旦休憩らしく水を飲みに来たのだ。

 そして、俺と彼女のそのやり取りを羨むように見る女子達とニヤニヤしながら見てくる真一。

 薫はそれらが若干気になるようでテンパっているが、俺の方は別に気にしない。こんなんはもう慣れっこだ。

 彼女は学内一の不良と恐れられ、俺はそんな狂犬をコントロールする飼い主として広く学内に知られている。

 いや、一年の陸とかには知られてなかったな、でも二・三年生は知っているはずだ。だから公然と行われる過剰なスキンシップに周りも自分も既に慣れてしまっていた。




「んで、どうよ? 応援団長になってみた感想は?」


「結構、大変だ……で、でも皆一生懸命だし、俺も頑張るしかないって感じかな! あっ、わ、私ね、私……」


「あぁ、うん……そうそう、その『俺』って言うの出ちゃうなら別に無理しなくていいぞ、今回、気合い入れて頑張るんだろ? あんまり他のことに意識まわすべきじゃないと思うし、そもそも『俺』から『私』に直してもらったのも、あれ俺の頼みであって嫌なら別に嫌って言ってくれて……」


「いや、別に嫌って訳じゃないんだ! つーか、むしろお前の頼みごとなら全て叶えたいというかなんというか……」




 突然の告白である。石橋が不良と分かっているせいか周りから黄色い声で騒がれることはないが生暖かい視線と爆発しろという思いだけが伝わってきた。

 でも、まぁこの位なら俺達の間にはたまにあることなので大丈夫だ。石橋は基本的にボッチで俺はそんな彼女に優しくしてやる面倒見の良い男ってことになっているので、石橋の片想いとそれを受け流す宮代の構図が出来ている……はずだ。


 あれ? 何故か薫がモジモジし始めた。

 たまーに乙女なんだよなぁ……

 ん? いや、乙女かな? 『お前の頼みごとなら全て叶えたい』とか男らしいんじゃないか? どうだろう?


 まぁいいや。よくよく考えりゃキチンと使うべきところでちゃんとした言葉使いが出来れば普段自分の事を『私』と言っても、『俺』と言っても別に構わないんだよな。

 いや、それどころか無駄に俺が薫に俺の固定概念を押し付けてるように感じてきてしまった。うーん。




「あっ、そう言えば! ちょっと話したいことが、来てくれ……」



 タバコの件をコッソリと言っておこうと思って人気のいないほうへ歩みを進めると、後の方で「えっ? な、何する気だ!? まさか、こっ告白!?」なんて薫の声が聴こえるが、そんなわけないだろ。お前と俺、もう付き合ってるだろ。


 早くしないと次の借り物競走が始まってしまう。

 流石に少し恥ずかしかったが俺は人混みの中に手を伸ばし薫の腕をムンズと掴むと俺は振り返りもせずにズンズン人気のないほうに歩みを進めた。




 ……


「……よし。ここら辺でいいか、実は先輩がタバコ吸ってた場面を見……えっ? 委員長? あ、あれ? かぉ……あー、えーと、石橋は?」



 喋りながら振り返るとそこにいたのは何故か我がクラスの委員長・谷口 夏帆だ。

 ガッツリと彼女の腕を俺の右手が掴んでいた。ビックリしたような顔でこちらを見ている。いや、俺もビックリなんだけど、ナニコレ?

 急いでいて腕を掴み間違えたのだろうか? マジかよ、確認せずにここまで来てしまったのが悪かったのだろうか……




「あ、あれー? 石橋はどこ行っちゃったんだろぉ、おかしいなぁ、あっちかなあ……」



 掴んでいた腕をそっと離して元来た道をフラフラと戻ろうとしたら、今度は逆に委員長がガッ俺の腕を掴んできた。

 以外に力強くて全く振り切れない。

 そしてそのまま委員長に引き寄せられる俺。

 不意に委員長の胸に腕が埋まった。

 スゲエ、腕が隠れるっっっ!!!


 じゃなくてっ!


 俺はドキドキと心臓を震わせ、つい「違うんだこれは不可抗力で……」等とラッキースケベ的言い訳をしてしまいそうになるが、

この世界の女性は胸くらい触られた所でなんともないのだ。

 いや、むしろ突然胸なんて揉まれようものなら、自分に気があるのではないかと勘違いしてしまうらしい。(薫談)

 とういう訳で俺は全神経を腕に集中させて至福の時間を過ごすことに……




「あぁ、うん。石橋さんなら座って休憩してたみたい。なんかタオルに顔を埋めてスーハーしてた……ねぇ、宮代君。それよりもタバコって?」


「あ、うん。あぁ、えっと……」




 その後結局、委員長に詰め寄られ先程の不良の件を話してしまいましたとさ。


 本当なら風紀委員でもある薫に丸投げしようと思ったのだけど、うーん、まぁいいか。一応委員長も生徒会のメンバーだし。問題はない。

 不良先輩三人の外見的特徴を話すと委員長はさも知っているような雰囲気でウンウンと俯いて考え出した。もしかしたら有名な不良なのかもしれない。我が高校がマンモス高で人が多いのと、そこらの不良は薫の影に隠れやすいため俺は全然不良のことは分からないが、あぁ……目をつけられていないといいなぁ……




「分かった。とりあえず証拠もないしこの件は一旦保留で、宮代君、もし脅されたりしたら私に言うんだよ?」


「あ、はい」



 流石委員長だ。頼れる女って感じがする。

 この世界の男ならこれで落ちちゃうんだろうか?

 うーん、あのふざけてる真一やシスコン雪人じゃ落ちないか。

 葵? 葵は落ちちゃうな。秒で落ちる。って、ダメだダメだ、あいつはすーぐ危ない女に落とされちゃいそうだからな、俺が守ってやらないと!!


 ……はっ!? 今、俺は何を? くっ、恐るべし委員長……




「えっと、それじゃあ帰りますか……」


「うん、そうだね。先輩が喫煙していた件は石橋さんに話して締め上げようとしてたの?」


「いやいや、締め上げるって……別に暴力に訴えるつもりなんてないよ、でもほら、石橋って風紀委員やってるじゃん……てか、あのぉ、そろそろ腕を離してくれませんか委員長、なんだか連行されてるみたいになってるんだけど……」


「あっ、あはは、ゴメンね! って、まずい! 次の借り物競走私も出るんだ! 行かないと、じゃあね!」




 走り去る委員長。

 それを眺める俺。

 あー、委員長ってやっぱ胸あるなぁなんて彼女の揺れる胸部に一人鼻の下を伸ばしていたのは秘密である。

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