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素晴らしき貞操逆転世界  作者: エイシ
第二部:二学年目
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051話:【体育祭編】障害物競争

 小・中学校の頃とは違い、うちの学校の体育祭はとんでもない。

 なんとドーム型運動場を一つ丸々使う。

 いや、これは勿論学校の設備の一つで、一日どこかの運動場を貸し切っている訳ではないのだが、うちの学園にドーム型運動場がキチンとある時点でとんでもないし、観戦席もしっかりしたものがあるので売り子がいないくらいで本当にスポーツ観戦の気分である。


 この観戦席、俺達各学年のB組の生徒は三年生から順に、前方から詰めて座るのだが、俺達男子はそもそも共学になった二年と一年の数人の学生しかいない。同じ赤組でもA組合わせてその人数は二十人にも満たないものだった。





「熱気がヤバイな……」


「うん、去年は端っこで見てるだけだったけど、今年は凄くワクワクするね!」




 隣では珍しく葵のテンションが上がっていた。

 ジェントルマンファーストだか知らんが、今年のB組男子は最前列で観戦させてもらっている。一・二年の男子が三年生の女子達に混じっている形だ。

 次いでに言うと俺達の隣にいるの女子達も興奮冷めやらんようで鼻息が荒い。はぁはぁはぁはぁ……と何故か運動していないはずなのに息が上がっている。

 視線が真一に集中している気がするが、やはりコイツは三年生からもモテモテなようだ。




「あっ、見て祐ちゃん、選手宣誓だよ!」



 真一の声でグラウンドに目を向けた。

 選手宣誓……各色の応援団長が集まって宣誓をするのだが、あぁ、やっぱり赤組は薫が団長になってるんだ。

 実はそこら辺の話は先程聞いたばかりでかなり驚いている。

 薫本人も緊張でガチガチだ。


 宣誓の言葉などきっと今しがた聞いたのだろう。

 ここからは遠くてわからないが、手を真っ直ぐ上げて東條達他の四人に合わせて宣誓する彼女はきっと口パクだ。

 さっきから全くマイクが薫の声を拾っていなかった。




「「「「……スポーツウーマンシップに則って正々堂々全力を尽くすことをここに誓います!」」」」



 ブルー、イエロー、ホワイト、ピンクの四人の小気味良い宣誓のハーモーニーが聞こえてくる。

 結局レッドの声は聞こえなかったが皆そこは流石にしょうがないと思っているのかスルーだった。



 俺は体育祭パンフに目を通す。


 ○開会式

 ○選手宣誓

 ○障害物競争

 ○玉入れ

 ○借り物競争

 ○昼休憩

 ○綱引き

 ○部活対抗リレー

 ○大玉転がし

 ○応援合戦

 ○男子リレー

 ○女子リレー

 ○騎馬戦

 ○棒倒し

 ○色別リレー

 ○表彰式

 ○閉会式



 えーっと、次の競技は障害物競争かぁ……

 正直リレーと騎馬戦以外は関係ないから、JKの太ももでも見て楽しもうと思う。

 そんなことを考えつつボーッとグラウンドを見ていると神崎が近寄ってきた。




「うへへ、祐樹は良い太ももしてますなぁ~」


「っ!? い、良いからさっさと行けよ障害物競争だろ?」


「ん? そうそう、しっかり応援してよねー、私、麗ちゃんが頑張っちゃうんだから!」


「おうよ、行ってこーい」


「うしっ!」




 神崎や委員長を見送る。

 薫は応援団長なので応援席に帰ってくることなく炎天下の中グラウンドで応援し続けるのだ。


 なんだかそれが俺には眩しすぎた。

 柄にもなく頑張りすぎじゃないか?

 少し手の届かない遠くへ行ってしまったようなそんな感じでグラウンドの中央で仁王立ちしている薫を眺めていた。


 あっ、東條がこっちに気付いた。

 彼女も薫同様、桃色の長いハチマキをたなびかせながらも黒い応援団長の制服に身を包んでいる。なんつーか顔が良いと何でも似合うよな本当に。

 おっ、こっちに手を降ってるよ、ははは……小さく手を降り返すとそのやり取りに気付いたのか薫もブンブンとこちらに手を降ってくる。

 ……お、おい、やめろ、恥ずかしいぞ!?


 あまりに大振りするものだから周囲の視線が集まってくる。

 ささっと手を振り返して俺はその場を離れることにした。



 会場裏手。

 声援が遠くに聞こえるここは人気もないため逃げ込むにはピッタリだ。

 今ごろ障害物競争で選出された女子達が頑張っている頃だろう。

 皆がこっちより競技に注目して少し落ち着いたら俺も応援しに行こう。


 俺は歩きながら一息ついた。

 俺と薫の関係は秘密である。恥ずかしさから黙っているという部分もあるが、薫は一応風紀委員なので学園の風紀とやらのためにも俺は“仲の良い友人”でなければならない。

 今回逃げてきたのは過剰反応だったかもしれないけど変な噂が立つよりは良いだろう。

 そんなことを考えながらプラプラと歩いていたときだった。




「はぁーだっりー」

「なぁー、あちーし動く気になるはずないよなぁ」

「確かにー、でも二人とも男子競技の時は見に行くっしょ?」

「当たり前っしょ! 真一君出るかんな! やべぇよマジ」

「あははー、矢部は本当に真一君ラブだよねぇー。私は葵君のほうがタイプだわー」

「あぁ、妙子はショタコンの気があるもんな」

「うっせ!! 可愛いと守ってやりたくなんだろ!? 母性っつーか、こう、桜梨(おうり)にはわっかんねーかなぁ?」

「あー、わかるわかる。うるうるした瞳で見つめられるといたずらしたくなるよなぁ、ゾクゾクって感じするわぁ」

「ウヒヒ、まぁそれもあるよねぇ……」

「……ぷはぁ、サボりながら吸うタバコ美味(やべ)ぇー」




 声が聞こえてきた。

 人気がないと思っていたらこれだよ。

 恐らく三年生の不良だろう。

 聖桜花学園での不良について、二年生のやつは一年の頃の石橋により大方大人しく更正させられているし、一年の奴は陸が連れてきて石橋に挨拶させてたくらいだからだいたいは知っている。


 なのですぐそこにいる三人の見知らぬ女性は三年生だろうという結論に至った訳だ。

 しかしながら少しヤバイ。

 こいつらタバコ吸ってやがる。

 先生にバレたら一発停学、またはそれ以上だ。

 こういうのは関わらない方が良いね。

 俺は彼女達の視界に入らない内にUターンして駆け出した。

 しかし……




「お、おい! 今だれかそこに居なかったか!?」

「やべぇ!! て、テメェ! 待て!!」

「赤組!? 見ろあいつ赤組の、しかも男だっ!」




 うおっ、バレた!

 しかも律儀にハチマキしてたから色までバレた!!

 正直言って色までバレてしまうと終わりだろう。

 赤組は一・二年合わせても二十人もいないのだから簡単に特定されてしまう。

 しかしそれでも俺は逃げぇる!!


 逃げたもん勝ちだ!

 だけどまぁこのまま先生の所へ駆け込んだ所で証拠もないし、今のは見なかったことにしてやるから安心しろ。

 風紀委員の薫にはチクるけどな。







 ……


「はぁ、はぁ……クソ、逃げられた」

「タバコの吸いすぎで肺活量がやべぇ」

「でもよ、今のって宮代君じゃね?」

「あぁ、真一君といつも一緒にいるやべぇ四人組の一人だよな」

「そうそう、いつも葵君と一緒にいる男の子……ウヒヒ、私良く葵×祐樹で妄想してるしね」

「お前の妄想はどうでも良い。それよりどうするか……」



 肩で息をする三人の三年生。

 『やべぇ』が口癖の矢部(やべ)栄子(えいこ)、ショタコンの庄屋(しょうや)妙子(たえこ)、ドSの一野城(いちのじょう)桜梨(おうり)の三人は少し焦りつつも話し合っていた。

タイトル詐欺ですすいません。



三人の不良娘の名前は体育祭編で暫く出てくると思うので以下の通り覚えてもらえればと思います。


矢部栄子➡やべえいこ➡やべえ➡やべぇ

庄屋妙子➡しょうやたえこ➡しょうたこ➡ショタコン

一野城桜梨➡いちのじょうおうり➡じょうおう➡女王

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