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素晴らしき貞操逆転世界  作者: エイシ
第一部:一学年目
22/55

022話:ほんの少しの進展

 俺と、我が彼女こと唯の二人は今、個室で二人きりなんていう状態になっています。





「凄いね……え、えっと私初めて入ったです……」


「ね、ねぇ、俺もです……」




 初めて入ったけど、一時間パックってやつらしい。

 しかも個室といってもあれだ、薄い板で区切られているだけ。そんなに個室ってイメージでもない。

 目の前にはテレビとパソコン。中は二畳くらいのスペースで二人用ってことらしい。


 だが、その狭さは俺達にとってはドキドキとした距離を作り出してくれる。

 そんなわけで今俺達は緊張のせいで、暗い照明の中で動けずに二人して突っ立っている。




「えーと、と、とりあえずシャワーを浴びてはどうかね、唯さんや……?」


「そ、そ、そうだね!! ゆ、祐樹さんも一緒にどうかね……? な、なぁーんてね!! えへ、えへへ……じゃ、じゃあ失礼しまーす……」




 そう言うと、替えのTシャツを持ったまま唯はささっとシャワー室の方向へ走って行った。


 く、くそぉぉぉ!!!

 何故今、『ハイ、ご一緒させて頂きます!』と言えなかったんだぁぁぁ!!!

 あぁ、神よ時間を、時間を巻き戻してくださいぃぃぃ!!!



 いや、まぁ冷静に考えればシャワー室に二人で行って交代で入るかってことなんだろうけど。

 俺はとりあえず悔しがっていた。


 落ち着いたのて、漫画を持ってきて寝転がりながら流し見してみる。




 ヤバイ。


 何がヤバイって、この漫画どうやらちょっと大人な漫画だったようだ。

 髪の長い綺麗な人がシャワーを浴びている。


 つい、今シャワーを浴びている唯のことを考えてしまう。


 ……ごくり。





 しかし、次のページにいたのは……




 一人の男。



 何の因果かその漫画の中では髪の長い綺麗な顔の男がシャワーを浴びていた。

 そして、裸で股間部分にはモザイクが……





 バシッ!!



 はぁぁぁぁ!?

 こんな漫画ばっかだなホントに!!!

 需要あんのかよあんなの!?

 俺は漫画を床に叩きつけて、興奮も一気に冷めた。


 この世界の漫画は俺には優しくできていない。





「シャワー頂きましたー!」


 そんなとき唯がシャワーから帰ってきた。

 なんだ、漫画なんていらないじゃないか!

 俺は唯という彼女がいるじゃないか、つまらない漫画なんていっさいがっさい忘れてしまえばいいのだ。

 あんな男の裸ばかりの漫画なんて。




「あっ、お帰りー」


「えへへ、ただいまっ!! けっこう綺麗だったよ~」


「へー……ッ!?」



 その時、俺は気付いてしまったのだ。

 唯が着ている兎のプリントが入ったTシャツの胸の辺りに二つの突起があるのを……


 の、の、の、ノーブラ!?

 今の唯はノーブラ疑惑のTシャツにパンチラしそうなミニスカート、そして裸足だ。肌が露出しまくっている。なんだこれは!? 俺の理性がヤバイ。




 ……はっ!?

 いつの間にか俺は、ビニール袋に入れた脱いだ服をカバンにしまい込む唯の後ろに立っていた。

 い、いったい何をしているんだ、俺は!? 何をしようとしていたんだ。

 その可愛い胸の二つのポッチに自我を喪失していたようだ……


 ふぅー危ない、危ない。





「どうしたの祐樹? 祐樹もシャワー?」


「え、えっと、そう! そうなんだよ! 俺もシャワー浴びようかなぁってさ!」


「あっそう言えばね! ここ凄いんだよ! 見て見て!!」



 そう言われたけれど、俺は唯の胸の突起をガン見だった。

 別に唯の話を無視しようとしたわけではないのだけれど、これは仕方ない。ノーブラっぽい唯が悪いのだ。俺はそれが気になって仕方がない。

 決して大きいとは言えないものの、逆にそのこぶりな胸が唯の体格の小ささと相まってどこか幼さとあどけなさを醸し出す。

 うん、何が言いたいかというと、可愛いよねホント。





「……ねぇ、祐樹聞いてる?」


「えっと、なんだっけ……?」


「もう、ボーッとしてどうしたの? これだよ! けっこう良いシャンプー使ってるんだよ!!」


「シャンプー?」


「うん! こだわってるんだって! そういうサービスいいよね~!」




 シャンプーにこだわりあるとかマカロンとかお弁当自分で作るとか、この世界では貞操逆転しても女は女らしいようだった。

 というか、むしろ下着を着ないでも普通でいられるような所以外はほとんど元の世界と変わらない気がする。

 まぁ、その貞操観念が色々なことに多大な影響を与えてるんだけどね。





 俺は別にどこも汚れてはいないのだが、頭を冷やすためにもちゃちゃっとシャワーを浴びた。


 シャワーを上がり、ブースに戻ってくると、唯は俺が先ほど持ってきた漫画に見入っていた。

 半分だけ扉を開いた入り口に立ち、その様子を眺めてみる。

 あぁ、あのマンガいわゆるBLってやつだったらしい……

 登場キャラが男ばかりだ。そして何故かシャワーシーンが長い。

 ページをめくってもめくっても男のシャワーシーン……ってオイ!! 長すぎない!?


 その時だった。俺の様子が気になったのかふとブースの入口を見る唯。

 少しだけ扉をあけ、そこから覗く俺と目が合う。

 その瞬間……


 パタ。


 すぐに漫画は閉じられた。

 いや、遅いよ唯さん……





「えっとこれは違くて……」


「違う?」


「少し変な漫画があったから見てただけで、別にこんなエッチなやついつも見てる訳じゃないんだよ!」


「唯……本当は?」


「……た、たまには見てます。で、でもでも女なんだし、普通というか、見てないほうが変というか……」




 えーそうなのぉ……?

 なんかちょいショック……




「唯、せめてホモはやめてくれ、ホモは……」


「えっ、う、うん。分かった……」




 元の世界では俺もエッチな漫画はそれなりに見てたくせに、なんて自分勝手なんだろうか。

 俺も見れないんだしいいよね……まぁこの世界では俺は実際見れない、というか見ても気持ち悪いのが多いから見たくないってことなんだけど。

 とりあえずBLは勘弁してくれ唯さん。





 ネカフェから出ると、外は夕方になっていた。

 帰り道、バス停までの道を二人で手を繋ぎ歩く。


 小さな橋を通ると、その橋の上からはとても綺麗な夕日が見えた。

 吸い込まれるように俺の手を離し夕日に近づく唯。

 夕日に照らされた唯の横顔はとても綺麗だった。



「なんか、珍しく二人きりになったってのに何もなかったなー」



 唯は橋の縁から夕日を眺めていた。

 そんな唯と夕日を見ながら、俺がポツリと呟く。




「うん……」



 顔が赤い、俺も唯も。

 夕日に照らされているためなのか、それとも頬が紅潮しているのか。

 それは誰にも分からないと思う。





「なぁ唯。キスしよっか?」


「うん……」



 夕日の見える橋の上で二人はキスをした。

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