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18話 神様が創ったもの

「凄い!凄いよ!アーバン。」

 僕はかなり興奮して声が上擦っていただろう。

「そうだろ。僕も最初に来た時はとってもびっくりしてしまったよ。」

「それにあの湖の色。見たこともないような鮮やかな青だよ。」

「そうだね。青磁池と呼ばれてるらしい」

「じゃあ、ここは結構みんな知っている場所なのかい?」

「いや、そうでもないと思うけど。僕もある友人から聞いて来てみたんだよ。」

「それにこんな山の上ではなかなか来られないからね。」

「それもそうだね。」


 僕はとにかくびっくりしてしまって、実を採りに来たことすら忘れて、呆然とその景色を眺めていた。湖の上を渡る微かに冷気を含んだ風が、僕の脇を通り過ぎ、ひんやりとした感触が体を包んだ。

「なんて綺麗なんだろう。」

 綺麗な景色、素晴らしい景色、それは神様が創ったもの。

 自然に出来たものが一番美しい。

 人の手が加えられていない、それだけで信じられないほどの輝きを増す。


 僕はゆっくり湖の周りを歩いてみた。

 手に取ると水は透明だった。遠くから見ると真っ青に見えた湖も、傍まで来ると信じられないくらい透明に澄んで、湖の底の石が見えた。

 周りに生えている木は、どの木も真っ直ぐに空へ向かって伸び、誇らしげに立っていた。そしてその枝々にはつやつや光るさくらんぼ程の実がふさふさとなっていた。

 それは血のように赤い。ひとつ採って口に入れてみると、口の中でとろけるように甘く、それでいて微妙に酸味があって今まで食べたことのないおいしさだった。

 

 でも、僕ははっと気がついた。

 だけど、これは市場で食べたものと違う。

 バーガンディおじさんのところで味見させてもらった実と味が違う。

 僕は呆然とした。

 アーバンが言っていたこの実と、あのおおかみが持ってきた実は種類が違うみたいだ。

 僕はアーバンが言っていた実と、おおかみが持ってきた実は同じものだとばかり思い込んでいた。

 他にもこんなような実が採れるところがあるのだろうか。


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