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魔法を使えないなんてもったいない!もう一度学園に逆戻りします!!  作者: 鈴埜


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24.食事革命

 体は適度な運動、しっかりとした睡眠、そしてバランスの良い食事でできあがる。だが、騎士志望の学生たち、特に男子の皿を見渡せば、その崩壊した盛り付けに血の気が引いた。


 肉! 芋! パン! そして肉!!


 ビタミンミネラルをきちんと摂らねば、体作りができない。

 思い返してみれば、騎士団の宿舎は男女別だが、食堂は一緒だ。体が大きい重量級と呼ばれるタイプの騎士たちの皿はいつも肉と芋で埋め尽くされていた気がする。


 時間が合えばルーカスと一緒に食べることもあった。ルーカスは比較的野菜が載っていたように思う。たぶん。人の皿をそこまでまじまじと見つめることがなかったのだ。


 これはいけない。

 今のうちに意識改革をしておかねば!


 私は決意を胸に行動を開始した。

 



 今日はゾーイに食堂の護衛もお願いして、私は見知った顔を見つけたら即捕まえる。


「セラフィーナ様、こんにちは!」

「こんにちは。先日はお疲れ様でした。さて、今日から特別メニューを用意しました。騎士団を目指すのならぜひこちらをオススメします」

 私がにこりと促すと、学生は目を輝かせついてくる。


「セラフィーナ様のオススメコースなら、そりゃ、ぜひ試さねば。なあ」

「はい! セラフィーナ様のような持久力がつくメニューですか?」


「体を作るのを助けるメニューです。いいですか、まず、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラル、適度な炭水化物。これが基本です。鶏肉はももよりささみ、胸肉が推奨されます。こちらの野菜とともにヨーグルトドレッシングでいただきましょう。脂質、糖質が削減されたドレッシングです。塩で食べるのもいいですね。脂質の多い豚よりも鳥をオススメしますが、豚肉はビタミンB12が含まれておりますので、スープ類にするのはいいかもしれませんね。とにかく野菜。野菜を食べなさい。ビタミンを摂取しないとほら、あなたたち肌が荒れているでしょう? そういったものは肉と芋を摂りすぎていてバランスが崩れているからです! バランスの良い食事をとっていて、その上で肌の異常が起きる場合はまた別の原因を探らねばなりませんが」


 私が立て板に水がごとく説明をしている間に、食堂のマダムたちによって彼らのトレーに特別メニューがドンと置かれて行く。


「びたみんとは……なんのことでしょう?」

「栄養素の一つです! 体を作るためには重要なのです!」

「セラフィーナ様……芋は……」

「ポテトサラダはございましてよ、ほら」

「この、ちょこんとついている……」

「あなたたちは少し炭水化物を摂りすぎです。パンもございます。そして野菜、野菜です」

 ぐいぐいと押せば、ごにょごにょとなにやら言っている。


「そのちょっと野菜は苦みが……」

「このマダムたち特製のヨーグルトドレッシングは絶品ですわ。しかも研究を重ね脂質を最小限に抑えております逸品です」

「せめてマヨネーズを……」

「少量ならよろしいですよ? ですが、ポテトサラダにも使っておりますし、塩、またはヨーグルトドレッシングを推奨いたします。現在低脂質、低糖質のドレッシング開発も行っております」


 カロリーハーフなんて便利なものはこの世界にはないのだ。マヨネーズがあっただけめっけものというか、この世界の食事にはまったく違和感がない。美味しいカロリーもりもり食材。美味しいはカロリー! を体現した食事が日々提供されていた。


 私は日本人のサガというか、野菜は食べなければならないもの、バランスの良い食事、食べるときは野菜からをあまり考えずにやっていた。

 しかしここは好きなものを好きなように食べる学生の巣窟! 体も動かすし代謝もいい若者たち、太らないから気づけない、食事の取り方の甘さを引き締める。


 ちなみにご令嬢たちは自分たちの摂取するものについてはかなり管理しているようだ。たまに管理できずにふっくらとした方もいるが、それでもまだまだ十分体型を管理できている範囲だと思う。二重顎なんていない。


「セラフィーナ様……本当にこれじゃないといけないのですか?」

「皆様、食と体作りへの造詣が浅いので、しばらくはマダムたちが用意する特別メニューをオススメしますよ? もちろん強制ではございません。そのうち、これはやめておこう、これを摂ろうと思えるようになるとよいのですが。あと、睡眠も大切な体作りの一要素です。健全な心は健全な体を作り出します」


 少しスパルタにも思えるが、先日見た肉てんこ盛りの悪夢が押し寄せてくるのだ。

 しかも、油たっぷりのソースをたんまりかけていた。


「今はいいのですよ。お若いですから。これが何年後か、騎士団での地位も上がり、訓練を同じようにこなしていてもなぜか腹回りに肉が付く。だが慣れ親しんだ生活は変えられない。加齢により、気付かぬうちに運動量が減少していって……という御仁を何人も存じ上げております」

 騎士団のお偉い様に多いですね。運動と年齢による消費量が減っていくが、摂取量が変わらないのです。

 もちろん、きちんと節制されている方々もいますが。


「体を作る食事をするということと、今少し向き合っていただきたいのです」


 前の世界の私は運動はからっきしだった。だから、筋肉を作る食事というものはわからない。ささみとゆで卵とブロッコリーなんてのは見たが、それを実践するノウハウはなかった。

 だからせめてバランスのよい……野菜を摂りなさい、野菜を!!


 今回野菜を食べやすくするため、具だくさんのスープも作ってもらった。生野菜が食べにくいのはわかる。腹にそのときは溜まるが、わりあい早くお腹が空くのもわかる。ならば、温野菜。バーニャ・カウダ!!


 などとメニューを提案、増やしていったら騎士志望連中よりも令嬢に刺さっておりました。みなさん美味しくバーニャ・カウダを食べていらっしゃる。

 まあ、肉や芋、パンなどよりはずっと低カロリーですからオススメではある。

 ソースにどっぷり浸けなければ。


 食堂で腕を振るうシェフやそれをサポートしているマダムたちとかなり仲良くなった。新作を味見したり、こんなものがいいと意見したのがなかなかに的を射ていたり、新しいアイデアのきっかけになったらしい。

 そんな食事改革の話だ。

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