87#プロローグ(死者の蔓延る世界)
新章スタートします。
ここは、現在の日本とは若干違った進化を遂げた日本。
若干の違いとは、エネルギー事情だ。
この世界の東日本には、原発は二基しか存在していない……原因は『水力発電』『潮力発電』『地熱発電』が充実し、さらに従来型の20倍の発電効率を持つ『新太陽光発電』の効果が特に大きい。
さらに『人圧発電』と言った新型の発電システムも誕生していた。
『人圧発電』とは、人々の走る、歩くの力を地面で吸収して発電するものだった。
ただ、発電効率の影響で『人圧発電』が設置されてい場所は、『大企業の入り口』『主要の駅』『大型商業施設』に限っていた。
主要道路にも設置出来れば近い未来『原子力発電』『火力発電』が、無くなるだろうと噂までされていた。
しかし、明るい未来予想図は実現しなかった。
北半球に多数の正体不明の隕石群が降り注いだ。
大きさは約1㎝程度だったが、大気圏で燃え尽きることなく隕石群は全て地上に降り注いだ。
何とその数10億超。
北半球は大災害となったが、真の恐怖はその翌日にやって来た。
隕石の落ちた国々から生きた死体が大量に発生した。
そして、その生きた死体の被害は北半球だけに収まらなかった。
生きた死体……これを『ゾンビ』呼ぶ事にする。
ゾンビ達に怪我を負わされて生き残った人々が後に大問題となった。
彼等は個人差によるが、20時間~50時間の潜伏期間を経てゾンビ化してしまうのだ。
さらに、ゾンビによって噛み殺された者は30分程度で、ゾンビ化してしまう。
この時間差が原因で、正しい対策が打てず、被害は加速度的に広まってしまう。
増え行くゾンビ、さらに怪我人を助けた医療機関は内部からゾンビ化した怪我人達に襲われ、パニック常態になった。
また、隕石の被害の無かった南半球も、ゾンビウイルスの保菌者が紛れて他国に避難したために、世界各国はゾンビに支配されていったのだ。
生き残ったは人々は、ゾンビによって人間社会が崩壊を辿るまでの事件を『死の七日間』と呼ぶようになった。
そんな中、日本は軍隊を含む殆どの機関が、救助活動に従事していため、ウイルスの二次災害、三次災害巻き込まれ、散り散りになり殆どの機能を失っていた。
この『死の七日間』の中、日本の軍隊の一個師団が丸々、上からの命令を無視し、茨城県の火力発電所を守るため、早い段階でゾンビ殲滅作戦を展開した。
この一個師団の師団長、嵐山大佐は、ゾンビ映画の愛好家だった。
彼は一個師団の兵一万を使い、二次感染を予期し、排除や隔離を強引に実行に移していた。
そのお陰で、嵐山少将が展開した防衛圏(茨城県某市)の被害はたったの40%(嵐山少将が来てからは3%)におさまった。
そして、日本で唯一安定した電気を供給出来る都市となる。
しかし、一部の小規模の発電施設はまだ生き残っていた。
そしてもう1団体、機敏に動いた団体があった。
それはカルト宗教団体の『在神教』だった。
在神教はこの時を予知していたかの様に行動した。
『在神教』は埼玉県某市にある大型ショッピングモールに拠点を築いた。
このショッピングモールは、『新太陽光発電』と『人圧発電』のハイブリッド施設であった。
在神教は大型バスやトラックを使い、大型バリケードを築いて、怪我人の隔離までやってのけた。
その教祖の名前は、嵐山節子
親しい人々からは『狂気の予知姫』と呼ばれている中年女性だ。
このゾンビ大発生に見事に対処出来たのは、奇しくも読みは違うが同じ漢字を使用した人間だった。
爆発的に拡がるゾンビ軍団、人間対ゾンビ軍団の戦いが激化していくなかで、2つの奇跡が誕生する。
1つは、100万分の1の確率で誕生した、ゾンビウィルスの効かない人間『抵抗者』
1つは、100万分の1の確率で誕生する、知識と理性とゾンビを操る力を持った『エルダーゾンビ』
この2つの奇跡は人間対ゾンビ軍団の戦いに終止符を打てるのだろうか?
そして、時は『死の七日間』の初日に戻る。




