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83#ランディパーティVSペタストラム

紅い月の夜……


今、オロチネス将軍はペタストラムの中にいる。


真上に向かって砲門から光線を放つ……

次の照射まで、30秒の間が出来た。


(他のストラム兵の半分の時間で撃てるようになるか……)


「生命検索オン!」

ペタストラム内の全方位モニターの1部に世界地図が浮かび上がり、地図上の世界中に光点が点灯した。

こんなに光っては何がなんだか判る物では無い。

「文献では、光量の調節が5段階で出来るとあったな…………光量『ランク4』以上を検索」


地図上に全土にあった大量の光点が一気に減った。


(光点は……ミートラ公国が多いな……アーティザン、マクリードにも少々あるな……しかし大国と呼ばれるバニス帝国やマルクズィヤ魔導連邦に1人もいないのは笑えるな)


「よし! 光量『ランク5』を検索」


地図上にあった光点は一気に消えて残りは僅かとなっていた。


(なるほど……このランクになると世界中でも数人しかいないのか……ミートラ公国に2人、アーティザン共和国に2人、マクリード国に3人……たった7人か……少なくともこの7人を含む2組がテラストラムを倒したのだ……ここからならマクリード国が近いな……)



オロチネス将軍は側にいるガライアに話しかける。

「ガライア……私はこれからマクリード国に(おもむ)き、テラストラムを破壊した者を探して倒しに行く……後は頼んだ……」


オロチネス将軍を載せたペタストラムは上空高く飛び上がり、超高速で南西側に飛んでいった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オロチネス将軍はマクリード国東側の上空にいた。


地図を拡大して見ているオロチネス将軍……(光点が1つと2つに別れている……2つの所に行くか……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(この家の中か……)


オロチネス将軍はリリス達が住んでいる家の真上にいた。


オロチネス将軍はペタストラムの音声拡張機能を使い、声をだす。


「私はリメインズ軍、将軍オロチネスだ! 此処に異常な、力を持った者が2名いるのは判っている……家を破壊されたくなければ、家を出て来い……繰り返す、はリメインズ軍、将軍オロチネスだ! 此処に異常な力を持った者が2名いるのは判っている……家を破壊されたくなければ、家を出て私に姿を見せろ……」



家の中で(くつろ)いでいた、ランディとガルは 大きく響き渡る声を聞いて、早くも戦闘モードに切り替えた。


「第5レベル呪文……トゥルーサイト……ガル、外に行こう」


ガルだけでなく全員付いてきたが、リリスの母親だけは皆に止められて、留守番になった。



ランディ達が外に出て見たものは、全長3mを超える黄金の人型ロボットだった。


「うわぁ」

「でかいな……」

「ロボット?」

「大きい……」

と声を出している中、ランディは「中に、人がいる……『オロチネス・ディスター』レベル11、外側は『ペタストラム』HP1600……『テラストラム』の2倍だ……」



ランディの声はオロチネス将軍に拾われていたようで、「私とペタストラムの名前を知っているばかりか、この場にいないテラストラムまで知っているとは……お前達がテラストラムを破壊したのだな? しかし何故私やペタストラムの名前を知ってる? 素直に話せば楽に殺してやるぞ」



ランディはオロチネス将軍の口振りから、戦いは避けられない事を悟った。


「僕の周囲の名前を体力を知る魔法を使った……この場で戦うのは嫌だから、戦いやすい場所に移動しないか?」



「フム……そう言う事か……よかろう……解っているとは思うが、私のペタストラムからは絶対に逃げられないぞ」



◇森を抜けた人気(ひとけ)の無い場所◇



「さて、殺してしまう前にお前たちの名前を知りたい」



ランディは「僕の名前は、ランディだ……隣にいるのはガル、後ろには……」


ランディの話を途中で遮るオロチネス将軍。

「そこまででいい……お前たち2人だけでよいのだ」


オロチネス将軍の言葉に、皆疑問に思ったが、オロチネス将軍はそのまま答えてくれた。


「たった7人なのだ……この世界で、これ程の強さを持った者は7人しかいないのだ……私は誇りに思う……今夜そのうち2人と戦い倒せる事を……」



ガルは「何言ってるんだ?」

と言ってるが、ランディが答えた。


「多分……僕のレベルサーチを世界規模で出来るんだよ……」


「なるほどスゲーな……」



「オロチネスさん……実はもう1人名前を覚えて欲しいんだけど……リリス!頼む!」


「うん!」リリスは呼ばれるとランディの側に来た。


「なんだ?この女は……雑魚は邪魔だ、下がるがいい……」



ランディはオロチネス将軍の言葉に反発するように叫ぶ。

「この子はリリス! あなたが覚えなくてはならない名前だ! 第6レベル呪文……リバース……リムーブカース!」

と唱えリリスに触れた瞬間、一気に気圧が変化したと共に『キーーン!』と耳鳴りを周囲の人々は感じた。


「「きゃっ」」

後ろにいる香織とマーニャが小さな悲鳴を上げる。



ピキ……ピキッ……ピキキキ……

リリスを中心に何かがひび割れる様な音がする。


パキ……パキパキ……パキキ……バキッ

その音は少しづつ大きくなっていく。


パキバキ……バキッ……バキリ、バキバキッ……

「空気が……大気が割れるだと!?」とオロチネスが言う。


バキバキバキバキッ……ガッシャャャャャン!!


またしても気圧が一気に変化する。


「何だと!? 光った……この女も『ランク5』なのか? ……なるほど、テラストラムが負ける訳だ……まさか『ランク5』が3人も1ヶ所に居ようとは……リリスと言ったな……先刻は雑魚と言ってすまなかった……お詫びに全力で殺してやろう」



再び覚醒したリリスは『また逢えたの……ランディ。今度はペタストラムか……妾から行かせて貰うぞ。闇の長子 悪の公子と力を束ねよ、大地を被い大気を覆う烈光となり、我に黒魔の力を与えよ……』



奇しくもガルとオロチネス将軍の言葉が重なる。

「何?! さ、最強魔法じゃねーか」

「何?! さ、最強魔法が使えるだと……させるか!」


ペタストラムの両腕の砲門から光線がリリスに向かって放たれる。


2発の光線はランディとガルか身代わりになってリリスを守る。


『黒魔死滅烈光破!』


術者の背後に、赤い雨、黒い雲、紫の雷が混ざり合い、圧倒的な魔力を内包したビロード状の闇となり、全てを覆い尽くすように高速移動してペタストラムに襲いかかる。


しかし、ペタストラムはダメージを受けていなかった。


『なんと、アレが効かぬとはな……』


リリスだけでなくこの場にいる全員が驚いた。


そして、リリスとガル以外は最強魔法が効かない……ペタストラムは無敵の化け物なのだと思った。



「ふはははは、ペタストラムの防御性能を確認出来た……最強魔法ですら耐えられるペタストラムは無敵だ!……むっ?」


ギィィィィン!

ガルは『覇王剣』でペタストラムに斬りかかったがペタストラムに傷1つ付かない。


「な!? 覇王剣が、刃こぼれしただと!?」



「ガルとやら、自慢の剣だったのか? ペタストラムは世界10聖剣でも無傷だぞ」


両肩な砲門から光線が射出され、ガルに襲いかかる。


「ぐっっ……」



その時リリスはランディに向かって話す。

『ランディ、アレより威力のある魔法を使いたい……じゃが威力があり過ぎて、この場では使えん……なんとかあのペタストラムを上空に追いやってくれ』




ランディは直ぐにガルに助けを求めた。

「……………………と言うことだ。ガル、出来るか?」



ガルはまるで死を覚悟した様な表情を浮かべて、背中にある、9本の剣の内1つを握る。

「ら、ランディの為だ…………仕方ない……嫌だけど、嫌すぎだが、仕方ない…………(いで)よ『神刀アマテラス』!」

ガルが引き抜いた剣は以前『駄剣』と言っていたガルの9番目の剣だった。


『ギャーハッハッハッハァ! 俺様満を持して参上!』


リ『は?』

マ「へ?」

カ「えっ?」

ラ「なっ!?」

オ「か、刀が喋った?」


あまりにも異常な事態に、この場の全員が固まる……そう、敵であるオロチネス将軍も例外ではなかった。



刀が喋り出す。

『よお!ランディ久しぶりだなぁ……って記憶喪失なんだってぇ? ギャハハハハハ ドジな奴だ……それにしてもハーレム計画進行中かよ? やるじゃねぇか……よし、魂の相棒ガル! 今回のお題はパンチラ3人だ!いいな? ギャーハッハッハッハッ! スタート!!』


その瞬間、ガルは姿がブレる程の速度で移動しリリスの後ろに回り込む。


「リリス、すまん!」

リリスのズボンがガルによって下ろされる。

リリスの可愛らしいショーツが丸見えになる。


『な? ガル!?……何を……』

いきなり脱がされて驚くリリスはガルに文句を言ったが、ガルはもういない……


そう、ガルは香織の目の前まで迫っていた。

抵抗の意思を見せる香織だったが、成す術もなく香織のズボンも下ろされる。

香織のシックなショーツも丸見えになる。


「きゃあ! ガルっ!後で殴るから……」


ガルはマーニャの背後に来ていた。

マーニャは防御体勢を取る。


しかし、本気のガルにマーニャも例外なくズボンを下ろされた……いや中途半端に抵抗したためか、ショーツも半分ズリ下がっていた。


「イヤァァァァァァ!」


顔を真っ赤にして、しゃがみ込むマーニャに対して「ギャーハッハッハッハッ、ラッキースケベ発動! さすがは魂の相棒ガル……これで俺様を縛る枷は解かれた、()けい!」


ガルの手にしている剣から神々しいまでの光りが輝きだす……そう、まるで神その者が剣の形を成したかの様に……



~これが魔剣ガル 最強(さいあく)の武器『神刀アマテラス』だ。『神刀アマテラス』の枷を解くことで、剣の神格が上がり、アーサー所有の『ラグナロクブレード』カーズ所有の『神殺のダガー』と同ランクの武器となる。~



ギィィィィン!! ガルの攻撃にペタストラムに小さくない傷が付く。



「何だと! ペタストラムに傷が付くだと!?」


オロチネス将軍驚いている場合では無かった。


ガルの被弾覚悟の連続攻撃が始まった。


ギン!ギン!ギン!ギン!ギィィィィン!!


オロチネス将軍もガルの連続攻撃を避けられないと判断して、5つの砲門をフルに使い、光線攻撃と2本の剣で応戦する。


ガルの連続攻撃は留まる事を知らない……

双方がある程度ダメージを受けた時、「第4レベル呪文……クリティカルヒール」

ランディが回復呪文を使った。


これにより、ガルのダメージはほとんど回復してしまう。


そして、ペタストラムの再生は追い付いていない……


少し離れた所にいる香織とマーニャは「ねぇ……お兄ちゃんとガルさんが組んだだけで、あんなに強くなるの? もう、無敵じゃない……」


「う……うん、でもランディには、後2人仲間がいるって聞いたよね?」



「ゴクリ……」

マーニャは以前ガルの話していた言葉を思い出す。

「たしか、4人集まると、調子に乗って一人の子供のために、国1つ滅ぼすって言ってたけど……出来るかも……」


香織も「2人で、王都まで喧嘩しに行くくらいだしね……」


香織とマーニャが雑談している一方……


オロチネス将軍は20発以上の光線攻撃を受けても、全く怯まないガルの連続攻撃に焦りを感じていた……


(不味い……再生が追い付かない……)


オロチネス将軍はたまらず上空に逃げた。




魔法を使うチャンスを窺っていたリリスは微笑み、

『2人とも、よくぞやった……』

リリスは両手をヘソ付近の位置で交差させたり絡ませたりしなが呪文の詠唱を開始した。

『昏き闇と融合せし漆黒の魔神達よ、混沌の破滅をこの地へと導け、爆霊の波動となり彼の大地に降り注げ…………爆霊黒魔冥王烈破』


圧倒的な存在感を示す闇の槍が上空全体に覆い尽くす……その闇の槍の数は一万や十万の単位ではなかった。


「ぐ……ぐぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!」

……

…………

………………


(い、生きているのか……さ、流石ペタストラム……しかし、モニターが標示されない……私にもダメージがある……退却だ、動け、動けペタストラム!)


……

…………

………………


ペタストラムは上空にいるまま動かない……


「リリスたん、中も外も虫の息……だけどペタストラムは再生してるみたいだな……」


ランディのトゥルーサイトでHPが20しかなかったペタストラムも、今は26まで回復している。


「ああ……あのえげつない魔法を受ける直前にペタストラムから5つの光が見えた……相殺しようとしたんだな……後は俺が……えっ?」



ガルが驚いたのはリリスが次の魔法を使う準備をしていた。


先程同様、手を交差させた絡ませながら手の位置が上昇していく……そして、リリスの両手をが真上に上がった瞬間、爆発的な魔力を感じた。

リリスが呪文詠唱を開始する。


『魔界を支えし72の魔神どもよ、漆黒の色、漆黒の音、漆黒の呼気を纏い、爆霊魔塵流と化し世界をおおい 触れるもの全てを無と帰せ……爆霊黒死冥帝烈昇破』


上空数㎞にわたって大気がぶれたような感じがした。

ただそれだけであったが、上空にいたはずのペタストラムがいない……


『フム……爆霊黒死冥帝烈昇破を使うと存在ごと消えるか……恐いの……』


ガルは叫ぶ「いんや、恐いのは爆霊なんたらかんたらじゃねーよ! 恐いのはリリス!あんただよっあんなの喰らったら俺でも生きてる自信ねぇわ……カーズもあぶねぇな……アーサーなら1セットくらい耐えられるかもしれんが……」


『妾よりガルの魔剣の方が恐いぞ? 特に言葉遣いがの……』


マーニャはリリスの言葉で忘れていた事を思い出す。

「ハッ! そうだガルさん何てことしてくれるの? お仕置きされても仕方ないよ? リリス、さっきの爆霊黒死冥帝烈昇破ってので殺っちゃって」


ガルは顔を左右に振りながら「あれは死ぬ真面目に死ぬからな」と抗議する。



『残念じゃがもう使えないのじゃ。『爆霊黒魔冥王烈破』は後3年……『爆霊黒死冥帝烈昇破』に至っては後7年も魔力を貯めねばならぬ……しかも爆霊の月の力を借りて発動できる限定魔法なのじゃ』


今の言葉を聞いて、ホッとしているガル……


『いやぁぁびっくりドン○ーだねぇ、魂の相棒ガル。カーズの『メテオスォーム』並の魔力を感じたぜっ!』


神刀アマテラスの言葉にガルは抜刀したままだと気づいた。


「はっ? しまった! おい駄剣、お休みの時間だ……」


『イヤァァァァ! もう少しお喋りさせてぇぇ! だいたい俺様を喚ぶときは「マアテラス様」って言う癖に、仕舞う時は「駄剣」とかって……「ツンデレ」じゃなくて「デレツン」? あぁ……仕舞わないでぇ! このヤロー! 次回はもっとめんどくさいお題を用意してや……』

カチン!


ガルは『神刀アマテラス』を仕舞った。



強敵との戦いは終わった。


次回感動のフィナーレ?

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