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82#ペタストラム出撃!

◇リメインズ王国、作戦会議室◇


「オロチネス将軍、報告です」

1人の軍人が戦況報告のために、会議室まで来た。


「うむ、聞こう……」



現在リメインズ軍は、北側からバニス帝国、東側からマルクズィヤ魔導連邦、西側からマクリード国と、同時に戦争していた。


理由はリメインズ軍がマルクズィヤ魔導連邦とマクリード国に一方的に攻め行り、その報復として戦争になっていたのだ。


軍人が報告をする。

「マクリード国側で、バニス帝国の『きせきの剣』の使い手シガルータ将軍、『勇者の光剣』の使い手アルス将軍が確認されました。更に、バニス帝国側から、『紅蓮剣』の使い手 ペキンガー将軍、『幻魔剣』の使い手 シャカール将軍の2名が確認されました。マルクズィヤ魔導連邦からは、アーテアィザン製の強弩戦車と5人の神官が確認されました」


1部の軍人たちが、ざわめく……聖剣の使い手が4人も……と。


バニス帝国は世界の中心部にあり世界最大の軍事国であり、バニス帝国の軍隊は10の将軍から成り立ち、その内5人が『世界10聖剣』の使い手であった。



オロチネス将軍は戦況の確認をする。

「うむ……で、各国の戦況は?」


「はい! 開戦当初は互角の戦いでしたが、マクリード国は3日、マルクズィヤ魔導連邦は4日、バニス帝国には5日で均衡を破り、押し返しました。只今3国とも小康状態を保っています。なお、我が軍の被害はメガストラム数体と兵士100人程度です。相手国の10分の1ぐらいに、留まっています」


1部の高官が安堵しながら話す。

「すると、我が軍は圧倒的に優勢ではないか……流石はオロチネス将軍開発の『ストラム兵』部隊ですな」


開戦当初は、オロチネス将軍に対する批判もあったのだが、連日の小競り合いや、たまに起きる中規模の戦闘に(ことごと)く勝利をもぎ取るので、今では批判は無くなり、誉め言葉が聞こえる様になっていた。


「テラストラムはどうだ?」


「はい! テラストラムは守りの要に配置していますので、交戦回数が一度しかありませんが、圧倒的強さでした。 我が軍は、メガストラム、ギカストラムの2種だけで戦況を優位に進めています」


オロチネス将軍は真面目な表情を崩さないで

「わかった……では明日の定時報告まで下がって良し! 解散!」


そして、副官ガライアが退室する前に、オロチネス将軍が呼び止める。

「ガライア、この後私の部屋に来い……」


「……ハッ!」



◇オロチネス将軍の自室◇


「ガライア……言いたい事が有る様だが?」


ガライアは驚きの表情を見せたのち話し出す。

「ハッ! オロチネス将、軍我が軍は圧倒的な強さを見せています……何故攻勢にでないのですか?」



オロチネス将軍は自室の酒を取り出し、グラスに少量注ぎ、一口飲む。

「ふう……ガライア……理由は2つ、1つは我が軍の兵士を損耗させたくない……今の規模で敵陣深く侵入すれば、必ずどこかで反撃が来る……テラストラムとギカストラムだけ耐えられても意味がないのだ…………2つ目は、様子見だ……忘れたか? 我が軍のテラストラムが2体も失った事を……これ以上の損失は避けたいのだ……」


「ですが、このまま膠着状態が続くのは如何な物かと……」


オロチネス将軍はグラスの中の酒を飲み干すと

「判っている……ガライア……来い」


オロチネス将軍は立ち上がり、本棚の所まで歩く。


そして、本棚の1つを力強く押す……本棚はグルリと回転して、隙間から隠し通路が見える。



「オロチネス将軍……こ、これは……」

長年オロチネス将軍に仕えているガライアも隠し通路の存在は知らなかった。



オロチネス将軍は

「ガライア、着いて来い……見せたい物がある」

と言って、隠し通路の中に消えていった。



ガライアは慌てて追いかける。


ガライアがオロチネス将軍に追い付いた時、通路は終わり部屋になっていた。


そして、部屋の奥に大きな人型兵器を見つけた。

「オ、オロチネス将軍……こ、この人型兵器は一体?」



「これは搭乗型ストラム兵器『ペタストラム』だ」



「ぺ、ペタストラム……」

ガライアはじっくりと黄金色の人型兵器を見上げる。


腕は指はおろか、拳すら付いておらず剣の様な形をしていて、脇には直径10㎝程の砲門がある。

さらにその砲門と同じ物が、両肩にもついている。

そして下腹から胸にかけて人が入れるくらいの窪みがある……搭乗型と言うからには、その窪みに人が入るのだろう。



新型兵器に見とれていたガライアに、オロチネス将軍が声をかけた。

「どうだ? ガライア」


「ハッ! 見た目から恐ろしいまでの迫力を感じます……出来ればペタストラムの性能を教えて頂きたいねですが……」



「そうか、知りたいか……しかしペタストラムは性能実験をしていない……今、判明している事は少ない……ペタストラムは物理防御、魔法防御ともにテラストラムを上回る……両肩、両腕の砲門はギカストラムの光線と同等、顔部の砲門はテラストラムの攻撃と同等、両腕の剣は切れ味こそ大した事ないが、強度は『世界10聖剣』を超えるかもしれない……あと、人感レベルセンサー、低速飛行、超高速飛行が有るが」


『ゴクリ』と喉を鳴らすガライアにオロチネス将軍は更に説明する。


「しかし、『光線攻撃』『人感レベルセンサー』『超高速飛行』は紅い月の夜でないと発現しない……そんな所だ……ガライア、明日からペタストラムの性能試験をする……バニス帝国に行くぞ……ついて来い!」


「ハッ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



◇リメインズ王国、国境付近 バニス帝国軍野営地◇


ここに、英雄と呼ばれている2人の将軍『ペキンガー将軍』と『ジャカール将軍』が作戦会議に参加している。


この2人の将軍はかなり疲弊していた。

何故ならリメインズ軍のストラム兵器は将軍の所有する、聖剣でないとダメージが与えられない……

結果、2人の将軍は殆ど休めない状況が続いた。


今のバニス帝国側が敗走しないのも、リメインズ軍が攻めに消極的なせいだろう。


マクリード国側からのストラム兵の情報をもらっていたが、情報以上の頑丈さだった。


将軍は一対一なら、メガストラムに勝てるのだが、ギカストラム相手だと、将軍2人がかりて対応しなければならない、さらに時間をかけると再生する、援軍のメガストラムがうじゃうじゃやって来る……現状の戦力では打つ手無しだった。


そこに1人の兵士が来た「報告します! ドボルグ将軍が、たった今到着されました」


「「おお、来たか」」2人の将軍は立ち上がり、待てないとばかりに、自らドボルグ将軍を迎えにいった。


バニス帝国軍ね士気はいやが上にも高まって行く。

そう、ドボルグ将軍は聖剣『フラガラッハ』の使い手だった。


どの兵士たちも、1ヶ所の戦場で3本の聖剣使いを1度に見るのは初めてであった。


ドボルグ将軍の援軍により、バニス帝国の再侵攻が始まった。



バニス帝国は『ペキンガー将軍』と『ジャカール将軍』が囮になって暴れている内に、存在を知られていない『ドボルグ将軍』が敵陣深く入り込み、敵大将を倒す作戦だった。



◇戦場◇


バニス帝国軍は若干優勢に戦っていたがリメインズ軍を押しきれていない……そんな中リメインズ軍が急にてったいし出した。


疑問に思っていた将軍は達に知らせが届く。


「リメインズ軍小数で来ました。新手です!」



2人の将軍のまえにやって来たのは、3mを超える

ほどの金色のストラム兵『ペタストラム』、そして

ガライアも3体の『ギカストラム』を従えてきた。



これを見た将軍達は……

「新型だと!?」

「たった1人で4体も操るだと!?」

バニス帝国将軍達は、ペタストラムの中に人が入ってることは知らない。


ペタストラムとペキンガー将軍、ジャカール将軍の戦闘が始まった。


ペタストラムの硬度と攻撃力は絶大で、ペタストラムより有利な点は2人の剣技だけであった。


しかりその有利な点は彼らの寿命を数分延ばしたに過ぎなかった。


将軍達は10分程度で死体となった。


将軍の死をきっかけに敗走していくバニス帝国軍。



そして、リメインズ陣地に深く潜入したドボルグ将軍は守りの要、テラストラムと戦い負けてしまっていた。



残党殲滅も、僅か数日で終え、ペタストラムの真の力を発揮出来る『紅い月』の夜が来た。








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