異世界コラボ 7#クロードは苦労奴、前編
◇クロードの屋敷◇
「領主様」
青い髪と赤い瞳の美しい少女が『領主』と言う人間に話しかける。
「レア。こんな時間にどうしたんだ?」
その領主は、美少女の事を『レア』と呼んだ。
領主は、いつもと少し違う時間に来た事を少々疑問に思った。
レアの答えは少々歯切れの悪い物になった。
「領主様、その端的申しますと……変質者です」
「ぶっ!」
領主は、飲みかけていた物を吐き出す。
「クロード君、汚いです」
普段は領主の事を『クロード様』と呼ぶ筈のその人は、赤いおかっぱの髪と黒い瞳の、これまた美しい少女であった。
「ソフィ今のは仕方ないよ。それにレア、何故変質者の1人くらいで僕の所に来るかるな? それくらいなら、誰にでも処理出来るはず……」
レアは真剣な表情と困った表情の、難しい顔をしていた。
「はい、領主様……ある村にですね、十二人の男女がいきなり現れて、商売を始めました」
クロードは『えっ?それがどうして変質者に繋がるの?』と疑問に思ったが、このまま話を聞いた。
「その商売とは、食べ物を利益を度外視するほど格安で販売されているようです。さらに子供達には無償で配っているとの話で……」
クロードは流石に横槍を入れる。
「ちょっと待ってレア、そこからどうして変質者の話になる?」
レアは、話を続ける。
「はい、話はここからおかしくなってきます。食べ物の提供方法がその場で食べる事を義務付けされていて、違反者には食べ物を没収までしています。そして、大量の食料に釣られて、柄の悪い者達も来たそうです」
「ん、それでどうなった? まさか殺し合いに……」
でも、それじゃ変質者ではなく、殺人者だよな……
疑問に思うクロードであった。
「その柄の悪い人達は、武器をちらつかせて利益と食料を要求したそうです。しかしそのもの等は全員その……は、裸にされて、そのひ、卑猥な格好で縛られたそうです」
「話は解ったが、誰も助けたりはしないのか?」
「はい、誰も助けたりしない様です、そして……その縛られた者達にも、食べ物を提供している様です」
この時点でクロードは『変人の善人』と言う認識を持ったので、こう答えた。
「解った、二~三日中に時間を作って見に行くとしよう」
この話しは、これで終わるはずだった。
夕食時、二人の男女が怒鳴り込んで来た。
その男女の名は、エリックとブリキッタと言う。
「辺境伯! 最近いかがわしい慈善事業を始めたってのは本当か?」
クロードは今の言葉の意味が全く解っていない。
「どういう事だ?」
エリックとブリキッタは言う。
「人を裸にして、縛ってから食べ物を恵んでやるって事だよ、この人でなしっ!」
なんか在らぬ罪を着せられているぞ……
「いったい、なんで僕がやったことに……」
ブリキッタが言う。
「しらを切ってもダメだよほら、証拠……こんな奇妙な政策は辺境伯しか思い付かないよ!」
ブリキッタが写真を見せる。
その瞬間、クロードは口に入っていた食べ物を噛まずに呑み込んでしまった。
「ん"っ!! ゴボァ!! ゴホッゴホッ」
その写真には、裸で縛られている男性が数名とハッピを着て幟を二つ背負った男が一人、写っていた。
問題は写真に写っている文字だった。
裸の男性には『赤い導家士、赤っ恥』とマラヤティバ語で……
そして、幟には『焼きそば』『たこ焼き』と日本語で書かれていた。
そう、この世界ではあり得ない筈の『日本語』で……
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時間は遡り、ランディ視点
僕は罰ゲームとして『大安売り』と日本語で書いてあるハッピを着ることになった。
恥ずかしい……かなり恥ずかしい……
この文字の意味を解るのは香織ちゃんとマーニャだけなのだが、何故か恥ずかしいのだ。
マーニャが笑いを堪えてる……
このやろ……後で、乳揉みの刑だ!
ガルは、更に『たこ焼き』と『焼きそば』の幟も持たされた。
くっ理不尽だ……屈辱だ……
しかし男ランディ、これを装備したからには、やる事は1つ……
「第3レベル呪文……クリエイトアイテム!」
僕は沢山のイス、テーブル、食器、台等を出現させた。
そして、次なる呪文が僕の真骨頂だ。
イメージ、image、いめーじだ! ランディ……焼きそば……そう、ペヤ○グのソース焼きそばにしよう。
粉末ソースは濃いめだから、8分目の量がベスト。
そして、たこ焼き……銀○この1舟8個入り。
踊るような鰹節の上から贅沢にマヨネーズビームを浴びせる出来たてのたこ焼き……
「第5レベル呪文……クリエイトフードフリー!」
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物珍しさに、十歳前後に見える子供達が何人か寄ってきた。
話し掛けてみよう。
「よう、いい香りだろ? 因みに良い女は香織ちゃんな?」
子供達「………………」
「チッ このネタは子供には早すぎたか……それより食べてみるか?」
子供達「僕たち……お金無い……」
じっくり子供達を観察すると、痩せこけた体、みすぼらしい服、十歳くらいの子供にしては覇気のない表情……思ったよりこの世界は貧しいのかもしれない。
「はっはっはっ……がきんちょから金なんて取らねぇって、さあ食え! そして皆に知らせてこい。ハンサムな兄さんが食べ物を安く売ってるってな……お姉さん、子供達に焼きそば一丁!」
ブルーシードで着飾った女性達が、焼きそばを取り分け子供達に配る。
子供達には見たことも無い食べ物をだったのだろう。
恐る恐るフォークで焼きそばを掬い上げ口にする。
子供達は、目を見開き、
「んっ!?」「ん~!」「お、美味しい!」
と、言ってくれた。
瞬く間に無くなっていく皿の上の焼きそば……
子供達はジィ~と 僕を見ている。
ふっ……判ってるってお代わりだな……
「よし!ガキンチョ共、友達を連れてきな? もっと美味しいやつを上げよう」
子供達は『本当!?』と言って蜘蛛の子散らすように走り去って言った。
そして、一日たたずに僕の屋台は、瞬く間に有名になっていった。
それから3日たち……
はい、本日も『クリエイトフードフリー』を十回分覚えてきました、スーパークレリックランディです。
僕の『クリエイトフードフリー』一回で冒険者五十人分の胃袋を満たす事が出来ます。
冒険者ですよ? 冒険者。
少食な一般人なら、約百人分……十回分覚えていらるから、約千食まかなえると見ても良いだろう。
お金が無くても大家族を養えてしまう……僕って超便利。
そして、人も段々集まってきた……焼きそば、たこ焼きは、大好評だ。
支払いは真鍮貨、 適当な計算だが日本で駄菓子が買える程度の真鍮貨しか頂いていない。
一部の大人達が、子供達が無料で食べれる事を悪用して、テイクアウトを要求してきたが、勿論断った。
ズルは良くない。
翌日、この噂を聞き付けた役人らしき人物が8人くらいで、焼きそばとたこ焼きを食べにやって来た。
しかし、これが困った事に選民意識の塊の様な人物で言ってきた。
「下民共と同じ席で食事出来るわけ無い」
困ったものだ。
しかも、
「我々は下民を管理、統制する立場だから、優先して持ってこい」
なんて言ってしまった、何様でしょうか?
すると今までサボっていたガルは、焼きそばとたこ焼きを自ら持ってきた。
「高貴なるぞ!方々どうぞ……ところで、下民たちの体を見てください……みんな、痩せこけています」
「ふん?……それがどうした? 下民共が痩せていようが我々には関係な…………」
あ~あ、ガルは威圧をかけたみたいだな、恐怖ですくんでいますね。
まぁ僕やガルの威圧で、すくむ様ならたいした人間じゃないね。
ガルは役人に話しかける……
「お前らは、下々の住民を管理、統制するって言ったな……だったら何故あんなに痩せている……管理出来ていないじゃないか」
「我々には関係ないだろ……ブハッ」
ガルのジャブが炸裂する。
ガルは疲れたように話す。
「あ~駄目だ 奴等かなり頭悪い……会話にならん……」
確かにね……でも食事は平等、お偉いさんにも食べて貰おう。
ガルは威圧ですくんでいる事を良いことに、役人にからお金を巻き上げ、その場にい全員にさ、『お偉い様からの奢りです』と言って、役人達は望まない感謝と歓声を受けていた。
翌日……
僕の焼きそばとたこ焼きの売上は順調だ。
既に二千食を消費していた。
しかし一食あたり、真鍮貨少々、少年及び子供は無料でなので売上高は大したこと無い。
売上高は銀貨小皿程度、銅貨茶碗程度、真鍮貨はバケツに1杯分にとどまった。
まあ、銀貨と銅貨は役人から巻き上げた物だったが。
今度は赤いハチマキを頭に着けた、ギラギラした眼を持った男達がやって来た。
構成人数は五人、剣を所持している。
体は心なしか痩せている……この世界は基本 太った人間は少ない、食糧難と思われるくらいだ。
「我らにも、『ヤキソバ』と言うものを出すのだ!」
口は悪いね……でもその程度……問題無い。
「はい、代金は真鍮貨です」
すると「我等はある大義の為、活動している者だ、だから早く『ヤキソバ』を持って来い!」
明らかに理不尽な態度と、無茶な要求だった。
「君達さあ、どんな事をしてるか解らないのに、『はいどうぞ』なんて、上げられると思う? 昨日の役人同類? 馬鹿なの?」
ランディに言われて男達が激昂する。
「あんな奴等と一緒にするな! 我らはこの腐りきった体制を我らの手で取り戻すのだ 」
う~んそんな、具体性の無い意見でヤキソバ代踏み倒すって 僕には付いて行けないなぁ
しかし、ガルは「もしかしたら革命家の人達ですか?お姉さん、この方々に焼きそばとたこ焼きお願いねぇ」
おい、ガルさん何してんの? あいつ等胡散臭いだろ?
それに、気付かないガルでもあるまいに……
案の定、満腹になったガル曰く革命家達が、売上金とブルーシートを着た女性の身柄を要求してきた。
『全ては革命の為』と言ってきた事で、ガルの気配が変わった。
「革命は素晴らしい活動だが、内の女性たちには関係無いよ?」
「何だと? 我らは崇高な使命を帯びているのだ! そのために、金、身体、命を差し出すのは当たり前なのだ!」
との賜る……
ガルは冷たい目で、革命家を見つめて「確かに革命には、痛みや、犠牲が付きまとう……だが痛くて良いのは、革命家と政治家だけだ!」
おっガルは珍しくムキになってる。
「何だと?貴様、間違った思想を持っているな? その考えが世の中を腐らせるのだ! 」
革命家達は武器を手にして立ち上がる。
「我は『赤い導家士』国境を壊し、国家を壊し、身分を壊し、社会を壊し……ブキャン! 」
ああもう我慢出来ないわ。
僕はその『赤い導家士』の顔にチョップを入れた。
~見つけた~
「壊し、壊しって、壊れてるのお前の頭の中だろ? ついでにお腹も壊しておくか?」
僕は、そこらに生えている雑草を引きちぎり、赤い導家士の口に無理矢理詰め込む。
「あらら、ランディに先越されたよ」
「我は赤い導家士! 邪魔をする者には死を!」
ランディと赤い導家士との戦いが始まる。




