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異世界コラボ 6#クレリック呪文は常識ハズレ

 用心棒の男は、現時点でにつのプランを持っていた。

 二つ目はランディが強い場合……自分も手傷を負うので、先の宣言通りに、自分と旦那を見逃して貰う。

 二つ目はランディが弱い場合、ランディを殺した後、次いでにガルも殺して、女達を旦那に引き渡す。


 と言うものだった。

 勿論、自分が負けるなどとは、少しも思っていない。



 用心棒は『あらよっ』と言って、ランディを右肩から左利き脇腹迄を両断するつもりで曲刀を振り抜いた。



 それに対して、ランディは少しだけ後ろに下がり剣撃を避ける。

 

「今の余裕で避けるんかい……嫌だねぇ……」


 と言って、先程より深く踏み込み曲刀を振り抜いた。

()った……何!?」


 ランディは下がらずに避け、カウンター気味にメイスで殴りかかる。


 しかし、用心棒の手甲から光輪が多数出現して、盾となり用心棒を護るが、ビリビリとした衝撃が用心棒を襲う。


(オイオイ、盾の形成が間に合ってねぇ……これは気を引き締めないと不味いねぇ……)


 ここから約五分ほど二人の攻防が続いた。


 ランディの攻撃は、用心棒が展開している光輪盾、用心棒の攻撃は、ランディが装備しているプロテクションリングによって、お互いが決定打を与えていない……

 それでも、用心棒は少しずつだが、ダメージを蓄積していく。


「なぁ、兄ちゃんは見えない鎧でも着けてるのかい?じゃねぇと説明がつかねぇ」



「人拐いなんかに言うわけ無いじゃん」



「ケチケチすんなって……ぐっ……」


 ランディの攻撃は徐々に鋭く重くなっていく……


(ぐはっ、盾の形成が追い付かねぇ……回復系だと思っていたが、読み間違えた? しかたねぇ、もう一人の兄ちゃん用に取っときたかったが、このままじゃ負けちまう……『光輪捕縛』)



 突如、用心棒を護っていた光輪がランディにまとわりつき、ランディの動きを封じ始めた。


「もらった!」

 用心棒は、ランディの首目掛けて横切りする。



「ふん!!」

 ランディは、気合いを入れ光輪を弾き返し、左腕でガードしようとする。


(なんだと!? だが、腕ごと首は貰った!)


 ザグッ! しかし、腕ごと首を両断する筈だった威力のある斬撃は、ランディの腕の骨にすら達していない。


 そして、ランディの攻撃になった。


「しまった! 光輪盾!」


 しかし、いまさら防御が間に合う筈もなく、メイスの直撃を受ける。


「ガハッ……」


 二発目も被弾する。


「ゴバァ……」


 三発目も襲いかかる。


 ギィィィィン! バキン!

 なんと、ランディのメイスは光輪盾に阻まれた後、

 三つに折れてしまった。


(チャンス!! 光輪捕縛)


 この隙に、ランディをもう一度捕縛をすると同時に剣を降り下ろす。


 だが、光輪も、曲刀もランディを捕らえる事は出来なかった。


 ランディは用心棒の真横に移動していた。


「第2レベル呪文……リバース……ダメージ」


「ゴバァッ!」


 用心棒は、方膝をつきながらも反撃する。


 今回の攻撃はなんとかランディにかすり傷を与えることが出来た。


(くっ、見えない鎧の正体が判ったてぇのに、こっちの力がもう持たねぇ)




 形勢が悪化と見るや否や、逃げ出す肥えた男……



「第5レベル呪文……ホールドパーソンLVⅡ」

 ランディは用心棒と雇い主の肥えた男に麻痺の呪文を使った。


 既に瀕死に近い用心棒は、ランディの呪文をレジストしたが、肥えた男は麻痺してしまう。


「ぐっ、ぐっ、動けない……何故だ……」



 用心棒は、両手を上げた。

「ま、参った……ワシの負けだ、降参だ……兄ちゃんを回復系と勘違いして侮ったのが不味かった……」


 ランディは少々驚きながら、答える。

「オジサンもかなり強いね……ホールドパーソンはレジストするし、僕が回復役って見抜くしね。第1レベル呪文……ライトヒール」



 用心棒がやっとの思いで、傷を負わせた箇所をランディが一瞬にして、治してしまう。


「なっ!?」

(やッぱ回復系だったか、それであの強さか……完敗だ……えっ?)


 用心棒の視線の先には、クロスボウを構えたガルの姿があった。


「ま、待て、ワシの負けだって言ったじゃないか……な?」


 それに対してガルは首を振りながら話す。

「まさか、ランディを殺す気で攻撃しておいて、自分は助かるなんて思っていたか?」


 ドスッ ドスッ


 ガルの放った矢は用心棒の腹に刺さる。


「ぐふっ……」


「只の毒矢だ……直ぐには死なない……残りの時間で、たっぷりと後悔するんだな……」


 しかし、ランディによって、瀕死に追い込まれていた用心棒はあっさりと息を引き取った。


「この手甲は、マジックアイテムだから拾っておこうぜ、後で調べて見よう」

 とガルは言っていた。



 この後、ランディは麻痺したまま動けない肥えた男を苛めていた。


「この糞豚! (・・・)の香織ちゃんを、性奴隷にしようなんて、十回殺しても足りないよ」

 と言って、丸裸になった男の肌をつねる。


 しかし、本気のランディにつねられると、皮が千切れてしまう。


「ギャァ……よくも私に、ギャァ……こんな事をして許されるはすがギャァ……じ、地獄に落ちろギャァ……私を誰だとギャァ……何故、私に敬意を払わギャァ……今助ければ特別に生かしてやってもギャァ……命令する今すぐ皮をちぎるのやめギャァ……お、おいそこの奴隷共私を助けろギャァァァ……」



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ランディ視点


 豚の高圧的な態度が軟化するまでに、三十回以上もつねってしまった。


 途中、豚の根性にある意味感心するほどに……


 だって、麻痺して動けない癖に『生かしてやってもいい』とか、檻に閉じ込められてる女性達に『助けろ』とか、精神が成人まで達してないよね?


 豚があまりにもお馬鹿過ぎて、殺意が消えてしまった。


 ん? ガルは何してるんだ?

「ガル、何してんの?」

 と聞いてみる。


 ガルは調理で使う様な『ボウル』に何かを入れて撹拌(かくはん)している。


「ランディはあの豚を許す気だろ? 先程囚われの女性達に意見を聞いたら、殺して欲しいってさ、拐われる時に身内が何人か殺されたってさ。だからランディと女性達の中間的な措置をする」



「……で、何を作ってるのかな?」



「マヨネーズと醤油と鳥のエサを混ぜた、スペシャルペーストだ!」



 僕は戦慄した。


 まさか、あの豚にスペシャルペーストを塗りたくって、僕に舐めろとか言わないだろうな?

 これなら肉体は死なずとも心が死んでしまう……って死ぬの僕じゃん。

 嫌ですよ? 僕は……


 それに、鳥のエサって何?

 なんでそんなもの持ってる?

 以前、ガルは『ドラ○もん』を否定してたよね?

 貴方、やっぱり『ドラえ○ん』ですよ。


 なんて不吉な想像をしている間に、ガルは豚の傷口にスペシャルペーストを塗り込んでいた。


 ハッキリいって聞くに耐えない悲鳴だった。

 醤油が混じってる時点で、めっちゃキツいよね。



 涙、鼻水、涎でグチャグチャになった豚にガル話しかている。


「一応これで、俺達に喧嘩を売ったのは許す。この世界の生態系は知らんが、野獣や野鳥に食べられないようにな」



 その話を聞いた肥えた男は悲鳴にも似た声で叫ぶ。

「ちょっと、お前ら!ま、待て私は何故か体が動かないんだ……このまま置き去りにするんじゃない!」



 この豚また元気になりだした……


「そうか、忘れてたよ……ランディ、ホールドパーソンまだ使えるか? あるなら重ね掛けよろしく」



 勿論つかえますよ。

「第3レベル呪文……ホールドパーソンLVⅠ」



 その後ガルは近所迷惑だからと言って、豚に猿轡を噛ませた。

 この辺り、民家どころか荒れた大地しかないですけど……





 少し離れた場所で香織、マーニャ、リリスが話し合っている。


「怒ったお兄ちゃん、かなり恐いけど……ガルさんに比べたら、可愛いよね?」


「本気で怒ったランディは、本当に恐いのよ。私 身動き取れなかったんだから……」


「怒ったらんでぃも格好いいよ?」


 そんな中、ガルは檻の中で抱き合い喜んでいる七人の女性に、こう言い放つ。


「喜んでいる所に悪いが、只では解放しない」


 ビクッしたあとに、顔をひきつらせる七人の女性達……


「君達を自由にする前にやってもらう事が三つある」


 ガルの話を聞いて、女性の顔色が青く染まる。



 僕は、ある作戦を思い付いた。

 少々非道な気もるすが、好奇心に負けた。

「まてガル……そう言う事なら、試したい呪文があるんだ……言うことを聞かせたいんだろ? 僕に任せて」


 ランディの言葉に、涙目になる女性達……


「ふっ此を()らって、正気を保てるかな? 第5レベル呪文……○△□◇▲△※◇□▲△◆Ж※!」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」×7

 女性達の悲鳴がこだまする。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 約10分後……


「キャァァァァァァァ!」×9

 女性達の歓喜の悲鳴がこだまする。


 ラ「はい! 次は『チョコバナナパフェの練乳たっぷり乗せ』です……」


「キャァァァァァァァ!」×9

 女「こ、こんなお菓子、生まれて初めて……」

 女「私も」×6

 ランディは後に知ることになるが、この国の一般人には、チョコレートやチーズを含む甘味な食物は行き渡っていない。


 悲鳴の原因はランディの第5レベル呪文の『クリエイトフードフリー』だった。


 ランディはこの呪文で、五十人前のスイーツを出現させていた。

 その数二十五種類で十個づつの二百五十個もあった。


 ランディはスイーツ全体を隠して、小出しに女性達に食べさせていたのだ。


 始めの一口は、半ば無理やり食べさせていたが、今ではお代わりを要求するまでになっていた。

 それほど、この国の人間にとって、ランディの出したスイーツは非常識な物だった。


 勿論、マーニャもリリスも囚われの女性達と一緒に悲鳴を上げていた。

 香織も、悲鳴こそ上げていないが、ランディの持ってきたスイーツを吸い込むように平らげていた。


 一つ一つのサイズが小さめなせいか、『チョコバナナパフェ練乳たっぷり乗せ』は、早くも無くなってしまった。


 ランディは次のスイーツを出す。

 ラ「はぁい、次はゴディバの『トリュフ・デテ・セレクション』です。」


「キャァァァァァァァ!」×9

 しかし、この名前を知るものはこの中にはいない。


 ……

 …………

 ………………


 ラ「次は『マスカルポーネのチーズケーキ』です」


「キャァァァァァァァ!」×9

 女性達の悲鳴と食欲は止まるところを知らない。



 ……

 …………

 ………………


 ラ「次は『季節を散りばめたフルーツロールケーキ』です。ふんわりロール生地に定評のある生クリームとフルーツがたっぷりです。今回の季節のテーマは苺です」


 女性達の一人が頬っぺたを押さえて叫ぶ。

「私、貴方の奴隷にしてください!」

 その女性の言葉を皮切りに、

「私も」「私も」「お兄ちゃん私も」「ランディ私も」

 と騒ぎになったが、ランディはやんわりと断った。


「女性は香織ちゃん1人で間に合ってますので……」

(しまった! 相手が依存してしまわないように、普段は自重していたのだが、つい最高品質を出してしまった)




 香織は、なにも言わずパクパクと食べていたが、耳が赤くなっていた。


 ガ「なぁランディ、余ったら俺にも食べさせてくれるって言ったけど……」


 ラ「あ、ああ……」ランディもひきつりながら話す。


 ガ「余ってねぇよ! どんだけ食べるんだあいつ等!? 50人前だぞ? 50人前!」


 ……

 …………

 ………………


 ガルの杞憂は現実の物となり、ランディが出現させたスペシャルスイーツはガルの胃袋には入らなかった。





 女「もう、覚悟を決めました。何でも言って下さい」


 いじけていたガルも気を取り直した。

「君らにしてもらう事は3つ。 1つ目、どこでも良いから民家が集まっている場所まで案内してくれ。2つ目、うちの娘達と君達で世間話をしてくれ。3つ目は、民家の集まる場所で、ランディが罰ゲームをする……その手伝いを頼む。期間は3日~10日くらいだ……勿論食事は保証する、」



 女「えっ? たったそれだけ?」


 ガ「ん? 足りない? なら解放する時にお金もつけるか?」


 女「あっ……そう言う意味じゃ……でもありがとうございますっ!」


 女性の達は待遇の良さに喜んでいた。


 ガ「その前に、その服は可愛そうだな……」

 と言って、器用にブルーシートを加工して羽織る服を作っていた。


 ガ「通気性は悪いが、今の姿よりましだろ?」


 女「ありがとう……ございます……」

 女性達……の何人かは今更ながらに、顔を赤らめていた。


 ガルは(今更照れるとは、あんな姿でパクパクとスイーツ食べておきながら……それだけランディのスイーツが美味いのか、それともこの世界の食料事情が悪いのか……)




 翌日……


 ランディ達一行は 人々が集まる大きな田舎町に到着した。



 ガ「よし、ランディ早速だが例の罰ゲームをしてもらうぞ」


 ガルは自分のバックパックから、有るものを取りだし、ランディを戦慄させた。



 これからランディの苦難が始まる?

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