75#大型獣、再来!
◇リリスの家◇
マーニャが来てから約10日……思いのほか早く、マーニャはリリスと母親、そして学校に溶け込んだ。
リリスとマーニャは、よくランディの自慢話をして盛り上がっている。
香織とリリスの母親も、そんな2人を見微笑んでいた。
そんか事もあってか、ランディ、ガル、香織の3人はマーニャは力と外見のみ成長して、中身は育っていないとう見解で一致した。
実は真と里美のイチャイチャが原因で、マーニャが少なからずエロくなった事は、まだバレていない。
いつもの修行中、リリスの攻撃魔法の溜めが、異常に短縮しているのに疑問に思ったランディは、トゥルーサイトで調べたら、リリスはかなりレベルが上がっていた。
《リリステル、女、戦闘魔法使い レベル5 HP189 年齢17》
因みに今の香織はこうだ。
《遠藤 香織、女、シーフ(タイプアサシン) レベル5HP225 年齢21》
そして、リリスの魔法実験の結果、時間はかなり掛ってしまうが『魔光破』まで使えるようになっていた。
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◇Cクラスの教室◇
突然1人の先生が、やって来て「大型獣です!」と話す。
ガルは立ち上がる「来たか!」
◇校長室◇
ガルは特殊な素材をちりばめたレザーアーマーとマントを着込みながら、校長先生と話している。
「ガル君、本当に君達だけで良いのかね?」
「問題ない、でも俺達だけじゃ死体は運べないからな」
「うむ、後で20組ほど用意する、では大型獣は頼まれてくれるか?」
今のマクリード国は、隣のリメインズ軍に襲われていたため、大型獣どころでは無かったので、ガル達の大型獣討伐は、大助かりだった。
マーニャがガルに話しかける。
「ガルさんの防具って初めて見た……」
それはランディも同じであった。
「今回はガルも本気?」
「いや、本気って訳じゃなく、油断しないようにしただけだ」
リリスがガルの防具をコツコツ叩いている。
「ガル、不思議な素材だね」
ガルが説明する
「これはレザーアーマーに所々FRPと言う素材を埋め込んでるんだ」
ランディはFRPの単語に反応した。
「FRPって防水や子供用の遊具に使ってるFRP?」
「ん、そうだ。それにカーズが改良して出来た防具がMFRPアーマー+4だ。なんとその防御力アーマークラス9」
キョトンとしている皆を代表してランディはガルに説明を要求する。
「ガルさんや、もう少し分かりやすい説明を頼みます」
「うん? ハイプレートメイルと同程度かな」
「そっか、凄いな……」
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◇マクリード国、外界に近い平原◇
「で、でかい……」ランディが呟く。
今回の大型獣もイグァーガだが、前回とは比較に為らない大きさだった。
「今回は攻撃を避けるのしんどいぞ……」
「お兄ちゃん、『しんどい』ってどこの方言?」
「わかりません。でも疲れるって意味ね」
ガルは突っ込みを入れる。
「日本語の勉強は後回しだ……俺とランディは接近戦、香織、マーニャ、リリスも今回は回避に力を入れながら遠距離攻撃だ。行くぞ!」
◆敵プロフィール◆
鳥竜種イグァーガ レベル10
HP 3800
物理攻撃耐性 40%カット
魔法攻撃耐性 60%カット
魔法攻撃耐性(火)95%カット
攻撃
火炎液 D
回転尻尾 E
啄み F
巻き込み走 G
ランディが呪文を唱えながら、大型獣イグァーガに向かって走る。
「第5レベル呪文……トゥルーサイト……ちょっと、体力3800も有るんだけど……」
「ランディ、頑張れ!」
と言ったガルの姿は消えてしまった。
足下から攻撃を加えるランディ。
「この鳥さんデカ過ぎて、足と下腹しか攻撃出来無いんですけど……」
少し離れた場所から、香織、リリス、マーニャの攻撃も始まった。
マジックストーンを投げる香織。
「えい!」
魔法攻撃を加えるリリスとマーニャ。
「光を束ね弾けよ。光破」
「いっけぇぇ! 火炎弾!」
ランディは戦いながら、香織達の攻撃の威力を逆算する。
(マジックストーン14、光破20、火炎弾13、ってあんだけ体力あるのにこの防御力凄いなぁ……)
イグァーガの回転尻尾攻撃が来た。
ブォン!……ブォン! 空を切る音がする。
体が大きいせいか、威力も増したようだ。
しかし、体が大き過ぎなのが原因で、足下にいるランディに全く攻撃が当たらない。
「グギャォォォォォォ!」
イグァーガの悲鳴がする。
犯人は姿を消して、後頭部改心の一撃を与えたガルだった。
(ダメージ300弱……僕のメイスの一撃が18~23だから凄いな……)
イグァーガの4回の火炎液攻撃がガルを襲う……1発だけ、かすった様だ。
イグァーガは、大ダメージを与えたガル中心に狙っていたが、足踏みしながらランディを踏みつけにかかる。
ランディは巧みにイグァーガの踏みつけを避けながら足にメイスで殴り付けている。
しかし、イグァーガはそれほどのダメージは無いようだ。
(でかい! でか過ぎだよ~でも少しずつだけど ダメージは与えている……難易度の高いゲームみたいで楽しい)
ガルも空中を高速飛行しながら、頭部にランディの倍近くのダメージを与えているが、イグァーガの生命は脅かせない……
ガルの高速飛行のせいで、遠距離攻撃の3人娘は攻撃出来ずに隙を伺っていた。
イグァーガはランディ、ガルのチクチクとた攻撃に、一旦距離を置くためにダッシュして、振り返った。
「隙あり!」
マジックストーンを投げる香織。
魔法攻撃を加えるリリスとマーニャ。
「チョロいです……光を束ね弾けよ。光破」
「お馬鹿……いっけぇぇ! 火炎弾!」
イグァーガの受けたダメージはたいした事は無いが、ダッシュして振り返りの直後の攻撃のため転んだ。
3人娘はここぞとばかりに、攻撃を与える。
「えい!」ドゴン!
「光を束ね弾けよ。光破」ドン!
「燃えろぉ! 火炎弾!」ボガン!
しかし、3人娘の攻撃はここまでだった。
ランディとガルはもう距離を詰めていた。
転んで倒れているイグァーガの頭部にランディが殴りまくる。
ガルは頸部を狙い切りまくる。
ガルの剣で切断出来ないほどの強度を持つイグァーガも、どんどん生命力を削られていく……
イグァーガは立ち上がりざま、回転尻尾攻撃を始めた。
これには、ランディとガルも避けられずに、被弾する。
しかし2人とも、装備していたプロテクションリングのお陰で、衝撃を感じた程度でダメージは皆無だった。
ランディは思った。
(このプロテクションリング凄い……僕は+4を2個、それだけでこんなに防御力が上がるのか……)
さらにランディはガルの説明を思い出す。
「プロテクションリングは無敵じゃない……同等の魔法武器、闘気、心眼、技術で簡単に突破出来る。例えばランディがエロ本に夢中になっている所を香織がノーマルダガーで攻撃したら、ダメージを受けるだろう……」
(なんて事を言っていたから大した事無いと思っていたのに……)
イグァーガはランディ、ガルを弾き飛ばしたが、2人にダメージは無い。
しかも、2人を弾き飛ばしたせいで、3人娘から遠距離攻撃が来たら。
ドゴン! ドン! ボガン!
イグァーガは攻撃の出所目掛けて火炎液を吐いた。
これに対して、マーニャは、
「大丈夫、火炎壁!」
と言って、多きな高さ3m横幅5mもある炎の壁を造り上げ、火炎液を防いだ。
(どお? お兄ちゃん……)マーニャは炎の壁越しにランディを見ると、ランディは親指を上に立てていた。
(きゃぁぁ 好感度UP!)
ランディとガルの攻撃は少しずつ、イグァーガの体力を削って行く……
そして、イグァーガの攻撃は始めは当たることも有ったが、いつの間にかかする事すら無くなっていった。
「お兄ちゃんとガルさん凄い……」
とマーニャ。
「2人とも、強くなった?」
とリリス。
「あの怪物の動きに慣れたんだと思う」
と香織。
イグァーガが突然妙な動きを し始めると、ランディが、叫ぶ。
「マーニャ! リリス! 飛ぶぞ! 叩き落とせ!」
と言ったとたんに、イグァーガは空に飛び始めた。
「よし、魔破火炎弾!」
「我が力、魔の下に凝縮し魔光となり弾けよ。魔光破」
マーニャとリリスの攻撃で地上に落下するイグァーガ……そこに待っていたのは、狂戦士と化したランディとガル……
この後、1分かからずイグァーガは絶命した。
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動かなくなった巨大な怪獣イグァーガを見ながらランディはガルに質問する。
「なぁガル、こいつ(イグァーガ)の血と肉が欲しいって、どう言った意味?」
ガルは答える。
「うん? 肉は美味いから。まあ、ランディのクリエイトフードでも出現出来るんだけど、毎回頼ったら駄目だろ? 後な血液は、ヒールポーションの原料になるかも知れんから試してくれ」
ランディは不思議そうに質問する。
「どうやって? そんな呪文無いはずだけど……」
「それはホーリーウォーターだ。ランディがカーズの助言で開発したマジックポーションの原料になる裏技だ、ただある程度高等な魔獣の血液じゃないと駄目なんだ。だから試してくれランディ」
ランディはキッパリとぶっちゃける。
「覚えていない」
ガルは驚く。
「え?」
ランディは説明をする。
「だって、あれってアンデットモンスターにダメージを与える聖水じゃん。僕はアンデットモンスター浄化出来るのに、あれは要らないかなぁと思ってたんだよ」
ガルは膝を落とした。
「そうだったか……確かに要らないよな……」
結局、ランディの出した水槽にイグァーガの血を貯えてたあと、イグァーガを解体して運搬部隊に運んで貰いランディ達は1泊する事になった。
勿論運搬部隊に帰りは翌日になるとリリスの母親宛てに伝言を頼んだ。
翌日……
「第1レベル呪文……ホーリーウォーター」
すると、200リットル近いイグァーガの血液は薄い黄色がかった透明な液体に変化した。
ガルはニヤリと笑う。
「成功だ……これがランディの回復呪文等を受け付ける液体だ、さあランディ」
ガルはミニサイズのペットボトルを取り出し、黄色がかった透明な液体をいれる。
そのペットボトルにランディは回復呪文を使う。
ランディはライトヒールを25回、ヒールを20回、シリアスヒールを20回かけた。
「う~ん……弱体化中なのに、その回復呪文の回数……たいがい化物だな……」
ガルは呆れる。
ランディは(うえぇ……化物に化物って言われた~)
などと頭の中で思っていた。
ガルは目を凝らしながら呟く。
「しかし、シリアスヒールは劣化したな、ただのヒールポーションの様だ。それとライトヒールポーションは効率悪いから香織達に配ろう」
「何でわかるの?」
「俺、目が良いんだ」
「それだけかい!」
と突っ込む。
こうして、僅か数日でガルの失われたヒールポーションは復活した。




