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73#閑話 (キンジの異世界奮闘記4)

おれの名前は『森尾金次(もりおかねつぐ)』だったが今は 『マジックユーザーキンジ』だ。


今回はおれの異世界奮闘記を紹介するぜ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


おれは、いまマジックユーザーとしてのレベルを上げる為に一生懸命…………一生懸命農作業をさせられてる……


カーズさんが言うにはマジックユーザーは体が資本だから鍛えろと……しかも宿と飯が無料(ただ)になるから最高と言っていた。


正直、おれが働いた所で一人前の働きは出来ていない……農家の人達ってスゲー……


しかし、もっとスゲーのはアーサーさんだった……農耕馬二頭で引っ張る農機具を、一人で軽々引っ張るアーサーさん……しかもチョコチョコと雑草を根っこごと摘まみ食い……


アーサーさんがいるだけで、町中大歓迎だった。

おれとカーズさんは、働く必要無いじゃんと言ってみたけど、カーズさんに『働く姿勢が大事』だと叱られた。


そんな事を言ってるカーズさんが、一番適当に働いているんだけどね……でも、おれの3倍進んでるから不思議だ。



そうそう、今おれ達は9ヶ国世界(っておれは呼んでる)の東側にある、アーティザン共和国に居るんだ。


おれ達は、そのアーティザン共和国の南側に位置する町の、農耕組合に世話になってる。


ここは、前の異世界とくらべて段違いに平和だ……アーサーさんは、有り余った力を農地開拓にぶつけている……


カーズさんは、おれにマッジックユーザーの第3レベル呪文までの勉強を叩き込んでた。


お陰で、おれはまだ第1レベル呪文を1日1回しか使えないのに、すっかり耳年増になったぜ。


おれ主観だと、第2レベル呪文はイマイチな呪文ばかりだが、第3レベル呪文はスゲー『ファイヤーボール』に『フロストサークル』、『ライトニングボルト』覚えたい呪文が目白押しだった。


後、おれは魔法を行使するのに詠唱が必要だった。


カーズさんとアーサーさんは『第1レベル呪文……マッジックミサイル』と唱えるのに対して、おれは『魔法の矢よ、敵を射て……マジックミサイル』と言わなきゃならない。


えっ? そんなに変わらない? じゃ例えばファイヤーボールならこうだ。


カーズさんとアーサーさんは『第3レベル呪文……ファイヤーボール』で、おれは 「大気中の酸素よ我が魔力と混じりあい爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」と言わなきゃ呪文は発動しない……ね、カーズさん達に比べて面倒だろ?


「きっと、第6レベル呪文なんて、覚えきれないくらい長いんだろうな……ブツブツ」



するとアーサーさんが、後ろから声をかけてきた。

「キンジ ブツブツ言ってないで 準備する」


はっ……忘れてた……今回おれ達は、怪我をした馬の代わりにマルクズィヤって国に、大きな道具を納品しに行くんだった。


馬が怪我をして、納品日に間に合わないと頭を抱えていた所に、馬以上のパワーを発揮していたアーサーさんを見て、助けてくれと頼み込んだようだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



マルクズィヤ魔導連邦に入国してから、西に進むおれたち……商人三人、合わせて六人の旅は以外に楽しかった。


しかし、その楽しかったのが良くなかった……おれは調子にのって、地元の水を飲み過ぎてしまった。


少量なら問題無くなったんだが、おれは異世界の水を飲むとお腹を下すんだ。


ここは街道沿いだから、隠れてするところが少ねぇ……用をたすのに300m以上歩いちまった。



そして、戻って来たら……カーズさん達が超大集団に襲われていた……



パッと見ても100人以上はいる集団……いや200人近くいるかもしれない……

あの短い時間でどうなったらこんな展開になるんだ……

とりあえず身を屈めて様子を見ることにした。



しかし、白昼堂々と襲ってくるとは、なんて恐ろしい盗賊団なんだ……


おや? なんか、人間じゃないのが混じってる……うほっ、口からビームを出したぞ……


ここじゃなんだから、荷馬車の陰まで移動しよう……


ほふく前進で移動し終わると、商人の1人も荷馬車の陰に隠れいた。


「あっ、大丈夫すっか?」


「あっ、キンジさんは無事だったんですね……私の仲間は……殺されました……」


「そうですか……」



おれは、アーサーさんを見守る事にした。


アーサーさんは鉄棒を装備していて、灰色の人型ロボをぶん殴っている……


なんだあのロボ……アーサーさんに殴られても吹き飛ばされても起き上がってくる。


なんか、兵士たちも大騒ぎしてるぞ……


「なんだあの大男は!? メガストラムの光線が効いてないのか?」


「もう1人の方も効いて無いぞ……」


「ギガストラムも使え!」


とか言ってるな……


すると、青銅色のロボもビームをアーサーさんに発射した。


「むっ? カーズ これは 威力 有る」

アーサーさんが驚いている。


「そうか……第6レベル呪文……アンチマジックシェル」


カーズさん、いきなり第6キター!!

カーズさんの周りから、3mほどの範囲に極薄のピンク色したオーラの様な物が発生した。

これは、絶対魔法防御って言って、一切の魔法を受け付けないんだって。

でも、自分のマジックアイテムや呪文も使用不能になるから不便って言ってたのに……


そうそうカーズさんは『弱体化』中だから第6レベル呪文までしか使えないって前に言っていたんだ。


でも、それだけでメッチャ強いと思うけど……


カーズさんに向けられたビームはカーズさんの手前で消えてしまう……



この頃になると、人間の盗賊団は後ろに下がり、ロボ対アーサーさんの戦いになってきた。

しかも、後方からさらに大勢の盗賊団が押し寄せてきている……いったい何百人いるんだ?


見つかったら殺される……おれは慎重に覗く。



うわっ! あのロボ20mは吹き飛んだぞ………………ゲッ!? 起き上がってきた……不死身かよ……って不死身VS不死身って決着つかないじゃん……


「第1レベル呪文……マジックミサイル」


アーサーさんが4発のマジックミサイルを使ったぞ……しかし、びくともしない……


「ほう……第3レベル呪文……ファイヤーボール」


ドカンッ!!



よし!! これならどうだ! …………あっ……


アーサーさんのファイヤーボールでさえ、メガストラムとギガストラムは無傷だった。


あっ……こんな事って……武器も効かない、魔法も効かない……おれ、アーサーさんは無敵だと思ってたのに……

何故か、おれは涙ぐんでいた。



その時、アーサーさんの表情がチラリと見えた……えっ!? ……嬉しそう?


意味が分からない……


「カーズ 気に入った 俺に くれ」


アーサーさんは、まるで玩具を欲しがる子供のような顔をしていた。

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