71#ランディとガルの正体
◇リリスの家にあるランディの部屋◇
今、この部屋にはランディ、ガル、香織、マーニャの4人がいた。
理由はガルが3人を呼んだからだ。
マーニャは「どうしたのガルさん」と聞く。
「おう、マーニャを俺達の仲間にするか どうかの話だ……」
マーニャはショックを受けている。
「私、今まで仲間ですら無かったの……?」
半泣き状態のマーニャ。
「そうなんだが、違うんだ」
どっちなんだよ? と心の中で突っ込みを入れるランディ。
「いきなり長い話になるが、今回マーニャが来た事でランディだけじゃなく、俺も心を打たれた……もう本当に感動……で、マーニャにはもう仲間も家族も居ない……」
「でも、私にはお兄ちゃんや皆がいるよ」
「それは、今だけだ……次回以降の異世界転移で、もし、何かしらの事故が起きて、ランディに触れていなければ、マーニャはその世界に置いていかれる……」
マーニャは聞いている「…………香織さんは?」
「香織はランディの配下と同じ扱いだ……もし、異世界転移時に接触していなくても、同じ世界の何処かに飛ばされる……はぐれてしまっても、ランディの第6レベル呪文『ディテクトアイテム』か第7レベル呪文『人物捜索』で見つけられる」
ランディは「へぇ、僕より物知りだね」と感心しついる。
「我々4人は……香織がいるからもう5人か……我々は安住の地が持てない……そう言う呪いがかかっている……マーニャにも同じ覚悟が持てるか? まあ 持てるっていうだろうな……まあよく考えて見てくれ、今の事ではなく将来の事を……」
香織が今までの会話で確信した疑問を口にする。
「ねえ、ランディとガルって本当は年齢いくつなの?」
マーニャも話に参加する「私も思った。 見た目は20歳くらいだけど、よく考えたらあり得ないよね?あの強さで博識な上に不思議なアイテムの数々……どう考えてもおかしいよ……」
「そうだな……ランディは記憶が無いから、俺が話そう。香織も、もう仲間だしマーニャも仲間になる予定だろ、ランディも聞いておくと良い……」
……
……
……
……
……
回想、ガル視点…………
そう、あれは俺達が、まだ70歳くらいの頃だった。
カーズ「ここら辺は『グレートデーモン』ばっかりだな」
『グレートデーモン』とは強力な魔法攻撃や物理攻撃を持つ上級悪魔である。
ランデイヤ「いや、今『ビホルダー』が来た、アーサー行くぞ……」
『ビホルダー』とは、1つ目の大きな球体生物で、絶対魔法消去の光線を放つ、マジックユーザーには天敵の化物である。
アーサー「ビホルダー 強い 頑張る」
……
この様にして、俺達はダンジョンを攻略していった。
……
……
……
……
ガル「よし、罠を解除した、奥の部屋に行けるぞ……」
俺達は『絶望の神宮』を40日もかけて最深部まで到達した。
そこにあるものは、究極の古代秘宝『カレアス心臓』
これ以前、偶然に入手した『カレアスの魂』……
この2つの秘宝を重ね合わせ、十字を描くように4人で取り囲む……
そして叫ぶ「「「「出よカレアス!」」」」
4人の頭の中に声が響く……
『力と叡知を求める者よ……そなたらにそれらを授けよう……帝王となる者はどの者だ?』
俺達は事前に得た知識で、裏技の解答をする。
「「「「不在だ!」」」」
~この不在が、この契約のキモである。こうする事で俺達4人は、誰にも縛られることなく、太古の神の力を使う事が出来る、と聞いていた。~
『そうか……ならば大公になる主等4人が取りまとめよ……帝王を導く叡知は誰が受ける?』
カーズ「私だ!」
『帝王を護る強大な力は?』
アーサー「俺……」
『帝王を影ながら護る稀有な存在には誰が?』
ガル「俺だ」
『帝王を助ける、幸運を有するのは?』
ランデイヤ「僕です」
『それでは、更なる力は何を欲する?』
ランデイヤ「第10レベル呪文の解放を」
カーズ「第10レベル呪文の解放を」
アーサー「究極の 職業 神人 なりたい」
ガル「俺はみんなの役に立つ便利な特殊能力を身に付ける力を」
『わかった、第10レベル呪文解放にはそれぞれ40レベル到達がきっかけになる……神人は戦士50レベルに到達すれば道が開けよう……そして特殊能力取得に副作用のない身体を与える……それではこの4人に、大いなる…………呪いあれ!』
「「「「ぐああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
……
……
……
……
……
意識を取り戻した俺達は、直径1cm程の多数の玉を見つけた。
カーズ「これがカレアスの宝玉だな、情報通りだ……集めよう……」
宝玉……その数
オリハルコン、1個
プラチナ、4個
金、12個
銀、24個
銅、40個
鉄、80個
木、160個
ガル「これで強力なマジックアイテムが造れるんだな?」
カーズ「ああ、その通りだ どんなアイテムにしようか……」
ランデイヤ「バックルが良いなバックル……名前は……そうだ! ビックリバックルなんてどうだい?」
アーサー「流石 ランディ ナイス センス」
カーズ「…………まぁ 名前は私が考えておくよ……それにしても『大いなる呪い』ってのは聞いてなかったよ」
ガル「どんな呪いか判るか?」
カーズ「今なら判るけど……安住の場所が持てない呪いだね……永久的に解除不可能な……」
ランデイヤ「ランダム転移かい?」
カーズ「今は判らないな……」
ガル「ディメンションバックがたくさん必要になるな……」
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それから数10年たち……
俺達は『大いなる呪い』のダメージを受け始めていた……
理由は歳を重ねると、人は1ヶ所に落ち着きたくなる性質があるようだ。だが、俺達は約1年~3年のペースで異世界に転移してしまう。
さらに、肉体は呪文の『アンチエイジング』で20代~30代の身体を維持しているが、精神が老い始めて来た……色々な出来事に感心が薄くなってきたのだった。
そこで俺達は対策を考えた……心を若く保ち、異世界転移をプラス思考で受け止められる精神を持てるようになるには……
それが『融合』だった。
融合術の開発は、カーズに任せれば楽勝だった。
ただ問題だったのは、対象になる『融合体』……
融合して、性格とか微妙に変化して俺達の仲がギクシャクするのは避けたい……
だから100%相性の合致する『融合体』を探す……しかし、その作業も意外にも楽な物で、8年程で4人全員融合に成功した。
それからは、生きてることが凄く楽しくなった。
子供の遊びを真似てみたり、1から格闘技を学んでみたり、魔王を倒して英雄になってみたり、逆に魔王と偽って世界を混乱に陥れたりもした。
そして、次回融合は4人の中で最後の1人が融合してから100年経つとシグナルが発するように設定した。
そうこうしているうちに俺達は4回目の融合が完了した。
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「それが、今の俺達なんだ……どうだマーニャ……こんな人外な俺達の仲間になる覚悟はあるか?」
マーニャは「ビックリはしたけど、なんの問題も無いわ。だってお兄ちゃんとずっと一緒に居たいだけだもん……でも、融合ってとんでもない術だよね? 副作用ってないの? 」
「ああ、ある……術後は暫く弱体化する……あと、色々と大人気無くなってしまう……まぁ若くなるんだからしょうがないよな……」
香織も ガルの『大人気無い』発言に納得したように頷いている。
「なんで、マーニャも香織ちゃんも大丈夫そうなの? 今の話からすると僕は550~600歳くらいの お爺ちゃんだよ?」ランディはかなりショックを受けている。
「何言ってるんだランディ……ランディは融合したてだから20歳だぞ……」ガルは慰めているようだ。
マーニャは更に質問する。
「ねぇ、お兄ちゃん達4人は、凄く仲良し何でしょ? 何でバラバラになってるの?」
「えっとな、俺達4人集まると、ハシャギ過ぎてしまってな、たった1人の子供を助けるために、1国を崩壊した事があってな、むちゃくちゃしない様に、単独行動もしているんだよ、だかな、結局1年しない内に集まって無茶するんだけどな……ビックリするぞう、あいつら……ランディが女を2人も連れてきたら……」
いたずらっ子の様な笑みを浮かべるガルであった。
ランディがマーニャを見て話かける。
「実はこの話、僕も初めて何だよ……理由はね僕は融合前のランデイヤの記憶が無いんだ……まぁだからって弱っちい以外なんの問題も無いけどね、色々楽しいし、香織ちゃんも居る……で、マーニャ……君も着いて来るかい? この呪われた楽しい人生に……」
「うん! ついてく!」
こうして、速答したマーニャは『銀』バックルを受けとり、儀式を済ませて正式にランディの配下(仲間に)なった。
しかし、この話を部屋の外で聞いていた存在をガル以外は気づかないでいた。
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夜……リリス視点
私、聞いちゃいけない事を聞いていたのかな……
リリスはガルのぶっちゃけ話を盗み聞きしていたのだ。
(リリス、リリス聞こえるか?)
突然もう1人のリリスが頭の中で話かけてきた。
「えっ、リリス!? 何で……?」
(どうやら封印に綻びが出来ておる様だの。夜だけは会話が出来るようじゃ……)
「そっか……でも、丁度良かった。リリスも聞いたでしょ? ランディ達の事……私、どうしたら良いかな?」
(妾に聞くまでも無かろうに……リリスも妾もランディとならば一生離れたく無いと思うがの)
「でも、お母さんは……」
(さて、それが問題だの……まあ今は普通に過ごすと良い、別れの時は、恐らくだいぶ先のはずじゃ)
「うん、わかった。アリガト、リリス……おやすみ」




